家庭料理の定番「肉じゃが」。
出汁の旨味と肉のコク、野菜の甘味がひとつになった和の代表的な煮物です。
一見シンプルでも、「味が薄い」「煮崩れた」「甘すぎる」といった失敗が多い料理。
その原因は、調味料の入れる順番と火加減にあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「出汁→砂糖→酒→醤油→みりんの順番」。
甘味と旨味を先に入れて、最後に香りを整えると味が決まります。
どの家庭にもある食材で、プロの味に近づける一品です。
よくある失敗と原因
- 味がぼやける → 調味料を一度に入れている
- じゃがいもが崩れる → 火が強すぎ・混ぜすぎ
- 肉が硬い → 加熱しすぎ or 冷たいまま投入
- 甘すぎる → みりん・砂糖の入れすぎ
- 味が染みない → 冷ます工程を省いている
材料

| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 牛肉 | 約150g | 旨味とコクの主役 |
| じゃがいも | 3個 | 甘味と食感のベース |
| 玉葱 | 1個 | 甘味と香りを加える |
| 人参 | 1/2本 | 彩りとやさしい甘味 |
調味料
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 400cc | 20 | ベースの旨味 |
| 薄口醤油 | 20cc | 1 | 色を保ちながら味を整える |
| 濃口醤油 | 20cc | 1 | 香りと深みを出す |
| 砂糖 | 10g | 0.5 | 旨味を引き出す下味 |
| みりん | 30cc | 1.5 | 照りとコクを加える |
| 料理酒 | 20cc | 1 | 肉と野菜の臭みを消す |
下処理
- 牛肉:食べやすい大きさに切る。調理直前に常温に戻すと硬くなりにくい。
- じゃがいも:皮を剥いて一口大に乱切り。水にさらしてデンプンを抜く(煮崩れ防止)。
- 玉葱:皮を剥き、8~16等分の串切り。
- 人参:皮を剥いて乱切り。火の通りを揃えるため、やや小さめに。
詳しい牛肉の部位を知りたい方はコチラ▶牛肉の部位図と特徴一覧
作り方(よくわかるレシピ)

- 肉と野菜を炒める(中火)
鍋に油を少々入れ、牛肉を炒める。色が変わったらじゃがいも・人参・玉葱を加え、軽く炒める。🔸 合図:「玉葱の縁が少し透けてきたら」次へ。 - 調味料を順番に入れる(中火→弱火)
出汁→砂糖→酒の順に入れ、沸騰してアクを取る。
次に薄口・濃口醤油を加え、再びアクを取りながら中火で煮る。
最後にみりんを加え、香りと照りを整える。
🔸 合図:「鍋の縁に泡が静かに立つくらい」が理想。 - 煮含める(弱火)
落とし蓋をして、じゃがいもが踊らない火加減で10〜15分煮る。
🔸 合図:「じゃがいもに竹串がスッと通る」状態で火を止める。 - 冷ます(味を含ませる)
火を止めてそのまま10〜20分冷ますと、味が中までしみ込む。
食べる前に温め直すと一層おいしい。 - 盛り付ける
器に具材を盛り、煮汁を少量かける。
天盛りに隠元豆やグリンピースを添えると色が映える。
現役和食調理師のコメント
肉じゃがは「出汁の香りと煮詰め加減」が命。
強火で煮ると煮崩れ、弱火すぎると味が染みません。
ちょうどよい中間を探すには、“沸いているけど静か”が目安。
具材が踊らない火加減でコトコト煮ると、見た目も美しく仕上がります。
失敗しない3つのコツ
- 調味料は順番に入れる(出汁→砂糖→酒→醤油→みりん)
- 強火禁止!具材が踊らない火加減で
- 冷ます時間で味を含ませる
保存方法

- 冷蔵保存:汁ごと容器に入れて3日間。温め直すときは弱火で。
- 冷凍保存:じゃがいもが崩れやすいため非推奨。
- リメイク:残った肉じゃがは、翌日「肉じゃがコロッケ」や「卵とじ」に活用できる。
相性の良い料理・献立提案
- 主菜:鯖の塩焼き・焼き鮭
- 副菜:ほうれん草の胡麻和え・冷奴
- 汁物:豆腐とわかめの味噌汁
旬と豆知識
肉じゃがは、実は海軍発祥の洋食アレンジ。
ビーフシチューを和風に再現したのが始まりと言われています。
じゃがいもは春〜初夏の新じゃがが特におすすめ。ホクホク感があり、味の染み込みが早いです。
▶ 詳しくは【じゃがいもの旬と種類】ページへ。
