エッチュウバイ(白バイ)とは?旬・食べ方・下処理を調理師が解説【毒性や安全性も】

ざるに乗せた2つの白バイガイ(エッチュウバイ) TOP
上品な甘みが特徴のエッチュウバイ(白バイ)は、日本海沿岸で人気の高い巻き貝です。
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市場で「バイ貝」として並ぶ貝の中には、「エッチュウバイ(白バイ)」と呼ばれる種類があります。ぷりっとした食感と上品な甘みが魅力で、刺身や煮付けとして人気の巻き貝です。

「唾液腺に毒があるって本当?」
「どうやって下処理すれば安全?」

といった疑問を持つ方も少なくありません。白バイは自然毒の報告が少ない安全性の高い貝ですが、下処理や加熱方法を誤ると食中毒リスクが高まるため、注意点を知っておくことが大切です。

この記事では、現役和食調理師の視点でエッチュウバイ(白バイ)の特徴・旬・下処理方法・毒性の有無・おすすめの食べ方を分かりやすく解説します。安全においしく味わうためのポイントを、ぜひ参考にしてください。

※「バイ貝」「あずきバイ」「白バイ」という名前は地域や市場によって混同されることがあります。
正式な分類では、標準和名「バイ(Babylonia japonica)」と市場で“白バイ”として流通する「エッチュウバイ(Buccinum striatissimum)」は別種です。

エッチュウバイ(白バイ)とは?

エッチュウバイ(白バイ)がたくさん並んだ様子
市場で「白バイ」と呼ばれるエッチュウバイ。石川県や富山県で多く水揚げされます。

エッチュウバイ(越中バイ)は、正式には「エッチュウバイ(学名:Babylonia japonica)」と呼ばれる巻き貝で、白バイとも呼ばれます。
北陸地方を中心に水揚げされ、市場では「バイ貝」として並ぶことが多いですが、実際には黒バイや他の種類と混同されることもあります。身は淡いベージュ色で、上品な甘みと歯ごたえが特徴。刺身や煮付け、酒蒸しなど、さまざまな料理に使われる人気の貝です。
 └ 🔗 標準和名バイ(あずきバイ)についてはコチラ

旬の時期と主な産地 

バイ貝(エッチュウバイ)の旬は、春から初夏(4〜6月)にかけて。
この時期は産卵前で身がふっくらと太り、特に
富山湾や石川県、山陰地方(鳥取・島根)などの日本海沿岸で多く水揚げされます。
秋から冬にかけても漁がありますが、身がやや締まり、味わいはさっぱりとした印象。刺身で食べるなら春〜初夏、煮付けや酒蒸しなど火を通す料理は冬場がおすすめです。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

エッチュウバイの特徴と味わい

白バイガイの白ワイン蒸し(上品な仕上がり)
柔らかく甘みのある白バイは、ワイン蒸しなどでも旨味が引き立ちます。

白バイ(エッチュウバイ)は、身がやわらかく上品な甘みがあるのが特徴です。加熱しても硬くなりにくく、刺身でも煮付けでも旨味がしっかり感じられます。

一方で、アズキバイ(小豆バイ)はやや小ぶりで食感がしっかりしているのが特徴。煮付けや炊き込みご飯など、火を通す料理に向いています。

見た目の違いは殻の色にも表れ、白バイは淡いベージュ色で滑らか、アズキバイは赤褐色で縞模様が濃いのが目印です。

どちらも甘みがあり美味しい貝ですが、
白バイは繊細な味わい、アズキバイは旨味とコクを楽しむタイプと覚えると良いでしょう。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

刺身なら白バイ、煮付けならアズキバイ」と使い分けのコツを書くと滞在時間が伸びやすいです。

エッチュウバイの下処理と安全な食べ方

エッチュウバイ(白バイ)を調理する際に注意したいのが、唾液腺(だえきせん)と呼ばれる部分です。この部位には「テトラミン」という神経性の毒素が含まれており、取り除かずに食べるとめまいや吐き気などを引き起こすことがあります。

下処理の基本は以下の通りです。

  1. 貝殻を割り、身を取り出す
  2. 貝柱(足の部分)を切り離す
  3. 殻の内側中央あたりにある乳白色の袋状の部分(唾液腺)を取り除く
  4. よく洗ってから加熱または調理へ

一般的に、市場で販売されている白バイや煮付け用のバイ貝は、唾液腺が除去済みのものが多く、
家庭で扱う際は「下処理済み」かどうかを確認してから調理すると安心です。

参考資料▶厚生労働省テトラミン

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現役和食調理師のヒント

白バイは生のままでも刺身で楽しめますが、湯通ししてから冷やす「洗い」にすると、歯ごたえが増して旨味も引き立ちます。唾液腺さえきちんと除けば、安全に美味しく食べられます。

エッチュウバイのおいしい調理法

おでんに盛り付けられた白バイガイ
白バイはおでんや煮付けでも人気。やわらかな身に出汁がしっかり染み込みます。

バイ貝は、甘みと旨味が強く、火を通しても硬くなりにくいのが特徴です。そのため、刺身・煮付け・酒蒸し・炊き込みご飯など、幅広い料理に向いています。

調理法特徴・ポイント
刺身
洗い
新鮮な白バイならではの上品な甘みとコリコリ感。湯通しして氷水で締めるとさらに美味。
煮付け砂糖と醤油をやや濃いめに。旨味が染み込みやすく、冷めても味が落ちにくい。
酒蒸し身がやわらかく、香りが引き立つ。食べ過ぎ防止にもおすすめ。
炊き込みご飯出汁と貝の旨味が重なり、風味豊かな一品に。唾液腺の除去は必須。
焼き物焼きすぎると身が固くなるため注意。香ばしさを楽しむ程

 └ 味付けと火加減のポイントを紹介。

エッチュウバイの栄養素

エッチュウバイは、一般的な「バイ貝」と同じ分類に含まれ、栄養成分値は「バイ貝(生)」を参考にしています。
主な栄養素には、タンパク質・マグネシウム・ビタミンB12・亜鉛・カリウムなどが多く含まれ、
貝類の中でも高タンパク・低脂質・ミネラル豊富な食材です。

栄養素単位
廃棄率55%
エネルギー81
水分78.5g
タンパク質16.3g
脂質0.6g
食物繊維(総量)g
炭水化物3.1g
ナトリウム220
カリウム320
カルシウム44
マグネシウム84
リン160
0.7
亜鉛1.3
0.09
マンガン0.04
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)2.2
ビタミンK
ビタミンB10.03
ビタミンB20.14
ナイアシン1.3
ビタミンB60.11
ビタミンB124.3
葉酸14
パントテン酸1.02
ビオチン
ビタミンC2
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
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