明日葉の旬

あしたばの旬は2月から5月ごろ
明日葉の旬は、冬の寒さが緩み始める2月から5月頃まで。 その中でも、新芽が最も柔らかく、香りが一段と高まる3月と4月が、まさに「盛り(さかり)」の時期です。 一年中手に入る食材ではありますが、この春の時期にしか味わえない「柔らかさ」と「風味」の良さは、格別のものがあります。
板場からの独り言:切り口に宿る「旬の力」
25年以上、数えきれないほどの野菜を扱ってきましたが、明日葉ほど生命力の強さを肌で感じる食材は他にありません。特に旬の走りである2月、そして最盛期の3月頃の明日葉は、茎を切り落とした瞬間に鮮やかな黄色の汁がじわりと滲み出ます。
これこそが、旬のエネルギーが凝縮されている証拠。この時期のものは筋っぽさがなく、お浸しにしても口当たりが非常に滑らかです。板場では、このほろ苦さを「春の息吹」として大切に料理に仕立てています。
冬が解け、春が動き出す「2月・3月の旬食材」
明日葉が芽吹き始めるこの季節、板場には春の訪れを告げる仲間たちが他にも勢揃いします。明日葉の苦味を引き立てる食材や、今しか出会えない貴重な山の幸を一覧にまとめました。献立のヒントに、ぜひ覗いてみてください。
2月の旬食材一覧:寒さを耐え抜き、甘みを蓄えた主役たち
3月の旬食材一覧:香りと彩りが一気に溢れ出す旬の宝箱
明日葉とは~解説~

- 英語で「Ashitaba」
- セリ科シシウド属の植物
- 名前の由来は「葉を摘んでも明日には芽が出る」と言われるほどの生命力があることから
- 香りと味に独特のクセがある
- 爽やかな香りがある
- サッと塩ゆですると独特の香りとクセが抜ける
- タンパク質との相性がよく、苦みを和らげることができる
- 油を使って調理すると苦みやクセが抑えられる
栄養
ビタミンB群、C、Eなどのビタミン類が豊富
カルシウム、カリウム、鉄などのミネラルが豊富
緑黄色野菜としてミネラルやビタミンが豊富に含まれる
カリウムとβ-カロテンが多く含まれている
茎を切ったときに出る黄色い汁に含まれる成分はフラボノイド
保存方法
- 乾燥に注意する
- 日持ちしないので新鮮なうちに使い切るのが良い
- 湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れ野菜室で保存する
- 軽く茹でて、水分を切り小分けして冷凍保存できる
明日葉を使った料理
- 炒め物
- おひたし
- 天婦羅
- 和え物
明日葉の栄養素
明日葉の食品成分表|日本食品標準成分表
あしたば
可食部100g当たり
| 栄養素 | 茹で | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 2 | % |
| エネルギー | 28 | 30 | ㎉ |
| 水分 | 89.5 | 88.6 | g |
| タンパク質 | 2.9 | 3.3 | g |
| 脂質 | 0.1 | 0.1 | g |
| 食物繊維(総量) | 5.3 | 5.6 | g |
| 炭水化物 | 6.6 | 6.7 | g |
| ナトリウム | 43 | 60 | ㎎ |
| カリウム | 390 | 540 | ㎎ |
| カルシウム | 58 | 65 | ㎎ |
| マグネシウム | 20 | 26 | ㎎ |
| リン | 51 | 65 | ㎎ |
| 鉄 | 0.5 | 1.0 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.3 | 0.6 | ㎎ |
| 銅 | 0.13 | 0.16 | ㎎ |
| マンガン | 0.92 | 1.05 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | — | – | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 5200 | 5300 | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 2.7 | 2.6 | ㎎ |
| ビタミンK | 380 | 500 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.07 | 0.10 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.16 | 0.24 | ㎎ |
| ナイアシン | 0.8 | 1.4 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.10 | 0.16 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 75 | 100 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.45 | 0.92 | ㎎ |
| ビオチン | – | – | ㎍ |
| ビタミンC | 23 | 41 | ㎎ |
明日葉(あしたば)の注目栄養素
明日葉の栄養価で最も驚くべきは、そのバランスの良さと濃さです。特に注目していただきたい4つのポイントをまとめました。
桁違いの「ビタミンA(β-カロテン)」
明日葉に含まれるビタミンA(β-カロテン)は、生で5300μgと圧倒的です。 これは、他の緑黄色野菜と比較しても非常に高い数値です。ビタミンAは、夜間の視力維持を助けるとともに、皮膚や粘膜の健康維持をサポートしてくれる、健やかな毎日に欠かせない栄養素です。▶ビタミンAの働きと効率的な摂り方はこちら
身体の土台を作る「ビタミンK」と「マンガン」
骨の健康維持に深く関わるビタミンK(500μg)や、様々な代謝をサポートするマンガン(1.05mg)が豊富に含まれています。 これらは、年齢を重ねても力強く、活動的な毎日を過ごしたい方をしっかりと支えてくれる成分です。
▶ビタミンKの重要性と健康への関わりについて
▶マンガンの役割と不足させないコツとは?
スッキリを支える「食物繊維」と「カリウム」
100gあたり5.6gもの食物繊維を含んでおり、これは野菜の中でもトップクラスの量です。 さらに、身体の巡りを整えるカリウム(540mg)も豊富。この2つの組み合わせが、内側からのスッキリを助け、重だるさを感じない軽やかなコンディション作りをサポートします。
▶食物繊維の働きと上手な付き合い方はこちら
▶カリウムの重要性と健康への関わりについて
低カロリーで高タンパク
これだけの栄養が詰まっていながら、エネルギーはわずか30kcal。それでいて、タンパク質もしっかり含まれているのが、明日葉が「スーパーフード」と呼ばれる理由の一つです。

現役和食調理師のヒント
油と一緒に摂るとビタミンAの吸収率が上がるため、天ぷらにして食べるのは、味・栄養ともに最高に理にかなった調理法と言えます。
まとめ
明日葉は「今日と明日」の元気を支える万能野菜
「今日摘んでも、明日には新しい芽が出る」と言われるほど生命力に溢れた明日葉。その魅力を改めて振り返ります。
旬は2月〜5月
特に3月と4月の新芽は柔らかく、独特の香りとほろ苦さが一番楽しめる時期です。
野菜の女王
ビタミンA(β-カロテン)やビタミンK、食物繊維が驚くほど豊富。茹でても栄養が逃げにくいのが強みです。
調理のコツ
油と一緒に摂ると栄養の吸収が良くなるため、天ぷらはもちろん、ツナや胡麻と和えるのもおすすめです。
この時期にしか味わえない、明日葉の力強い風味をぜひ食卓に取り入れてみてください。
調理師の休息:一品に頼って「完璧」を手放す
板場で25年以上、毎日完璧な料理を追求してきましたが、家庭の台所では全く別の話をしています。「家族のために、もっと栄養のあるものを作らなきゃ」 「品数を増やして、見た目も綺麗に整えないと……」
そんな風に、自分を追い込んでいませんか? 明日葉のように栄養がギュッと詰まった食材を一つ知っていれば、実はそれだけで十分なのです。「これ一品で栄養はバッチリだから、あとは手抜きでいい」。そう思えるだけで、キッチンに立つ心はぐっと軽くなります。
料理を「義務」にして自分を苦しめるのは、今日で終わりにしましょう。プロの視点から、台所での「正しい手抜きの作法」をお伝えします。
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