「摘果スイカ(てきかすいか)」って食べられるの?
見た目は小さくて未熟、なんだか青臭そう…と思う方も多いのではないでしょうか。
実は、摘果スイカは食べられます!
サラダや漬物、天ぷらなど、調理次第でシャキシャキとした食感とさわやかな風味が楽しめる食材です。
この記事では、調理師が実際に摘果スイカを使って7種類のレシピを実験。
気になる味の感想や、おすすめの食べ方もあわせて紹介します。
「捨ててしまうのはもったいない…」と思っていた方は、ぜひ参考にしてみてください。
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まずは食べてみた!摘果スイカの実食レポ

まずは、厚めにスライスしてそのまま生で食べてみました。
見た目の印象どおり、少し青臭さはありますが、思っていたほど強くはなく、
後味にはほんのりとした自然な甘みを感じます。
次に水にさらしてから食べてみると、
青臭さがかなり和らぎ、よりさっぱりとした風味に。
さらに、薄くスライスして水にさらすことで、
青臭さはほとんど気にならず、きゅうりや冬瓜のような爽やかな食感になります。
皮の部分は厚めに切るとどうしても口に残りますが、
薄くスライスすればまったく気になりません。
種もほとんど目立たず、すりおろしたときに少し見える程度で、
口当たりを邪魔することはありませんでした。
火を通す調理では少し注意が必要です。
加熱すると皮の存在感が強くなり、食感もやや硬くなるため、
生食や浅漬け向きの食材と言えるでしょう。

現役和食調理師のヒント
生のままでも食べられますが、薄くスライスして水にさらすのが一番おすすめ。
青臭さが抜けて、さっぱりした食感が楽しめます。
摘果スイカのレシピ
実際に食べてみたところ、摘果スイカは青臭さを抑えればおいしく食べられることが分かりました。そこで、調理師としてさまざまな調理法を試し、サラダ・漬物・天ぷらなど9種類のレシピを作ってみました。
ここでは、生の食感を活かしたレシピを中心に、
家庭でも簡単に試せる食べ方を紹介します。
冷蔵庫に眠っている摘果スイカを、ぜひおいしく活用してみてください。
サラダ

ポイント
薄くスライスして水にさらすことで、青臭さが抜けてシャキシャキ感がアップ。
ドレッシングやマヨネーズとの相性も良く、きゅうり感覚で使える。
簡単レシピ
①摘果スイカをよく洗い、ヘタを切り落とす
②薄くスライスし、水に5分さらす。
③水気を切って、トマト・レタスなどと一緒に盛り付け。

現役和食調理師のヒント
水にさらしてから使うことで青臭さがほとんどなくなり、きゅうりや冬瓜に近いさっぱり感が楽しめます。シャキシャキしてほんのり西瓜の甘みを感じます
キムチ

ポイント
発酵の風味が青臭さをカバーし、辛味と酸味が摘果すいかの青臭さを解消してくれる
簡単レシピ
①摘果スイカをよく洗い、ヘタを切り落とす
②食感がほしいので皮は残し、少し厚めに切る(約1㎝)
③摘果スイカを塩もみして10分置く。
④半日ほど冷蔵庫でなじませる。

現役和食調理師のヒント
1時間程度漬け込むとシャキシャキした食感がのこり、後味にほのかな甘みがある。最後の甘みがスイカ感を味わえる
酢漬け

ポイント
さっぱりした味わいで日持ちも良い。夏の常備菜におすすめ。
簡単レシピ
①サラダ同様、良く洗い、薄くスライス、
②塩を当て、10分
③水気を絞って調味液につける
水:酢:砂糖=1:1:0.7(+レモン少々)

現役和食調理師のヒント
摘果スイカは酢とよく合います。酢の物の付け合わせに使えます。焼き魚の横に添えるのもアリです。
天ぷら

ポイント
天ぷらにすることで青臭さは気にならなくなる。スイカの水分が多すぎて、時間がたつとべたつく。
簡単レシピ
①よく洗い、ヘタを落とす
②皮はそのままで1㎝程度にスライス
③打ち粉をして、180度の油で天ぷらにする
④塩で食べる

現役和食調理師のヒント
揚げたてがサクっとして美味しい、青臭さは気にならないが皮が少しの残るので工夫が必要。スイカらしさがあまりない。
揚げ出し風スイカ

ポイント
出汁との相性は良いが、皮の厚みを薄く調整すると食べやすい。
簡単レシピ
①一口大にカットして、皮目にに格子状に切目を入れる
②片栗粉をまぶし、180度の油で揚げる
③出汁をかける(出汁:醤油:味醂=16:1:1程度)
④大根おろし、生姜、かつお節を天盛り

現役和食調理師のヒント
摘果すいかの揚げ出汁はあわない。不味いわけでもないが、スイカ感が損なわれるので価値が薄れる。
照り焼き

ポイント
焼いた摘果すいかを甘ダレであじつけ。
簡単レシピ
②厚さ1㎝程度の輪切りにする(皮目は切り込みを入れる)
②油を引いたフライパンで焼く
③醤油、砂糖、味醂で味付け
(醤油:砂糖:味醂=2:1:1程度)

現役和食調理師のヒント
タレの乗りが悪く、イマイチ。青臭さは抜けるので、炒め物にはいいかもしれないなぁという印象。
漬物2種類

ポイント
どうせ作るなら、2種類の漬物を。ごま油風味、酢風味。下ごしらえは同じです。
簡単レシピ(下ごしらえ)
①よく洗い、ヘタを落とす
②1㎝程度の厚さに切る
③塩を当て、重しをして一晩寝かす
④水分を絞る
☆酢ベース(画像左)
①酢・味の素で味を調整
※塩分が足りない時に塩を足す

現役和食調理師のヒント
特に難しいわけではなく、下ごしらえしたスイカに酢を入れていくだけ。酸味が決まったら味の素を少々入れて整える。
胡麻油ベース(画像右)
①胡麻油・大蒜で味を調整
②すり胡麻を乗せる
※にんにくは香り付け程度にする
※塩分が足りない時に塩を足す

現役和食調理師のヒント
こちらも簡単。大蒜を少々入れ、ごま油をまぶす。ごま油の入れすぎには注意が必要です。
【結果】
両方ともいい感じに仕上がる
パリパリと食感も良く、青臭さも気にならない
摘果とは?~用語の解説と背景~
最後に、「摘果スイカ」の“摘果(てきか)”という言葉について簡単に説明します。
「摘果」とは、スイカや果物などの栽培で、実の数を間引く作業のこと。
すべてを育てると栄養が分散してしまうため、品質の良い実を残すために一部を摘み取るのが目的です。
この間引かれた未熟な実が「摘果スイカ」と呼ばれ、まだ小さいながらも食材として利用可能です。
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