酸味・甘味・旨味のバランスが絶妙な「三杯酢(さんばいず)」。
二杯酢に甘みを加えた、和食で最も万能な合わせ酢です。
使い道は幅広く、酢の物・南蛮漬け・野菜のお浸し・海藻サラダなどにぴったり。
「酸っぱすぎる」「甘すぎる」といった失敗も、黄金比と火入れのタイミングを押さえれば防げます。現役和食調理師が、味がブレない“三杯酢の基本”を丁寧に解説します。
味が決まらない原因
- 酢・甘味・出汁の比率が崩れている
- 酢を煮立てすぎて酸味が飛んでいる
- 甘味が強すぎてぼやけた味になる
- 出汁を入れすぎて酸味が弱くなる
- 冷ましが遅く、香りが抜けてしまう
黄金比|2つの選べる比率

| タイプ | 比率 (出汁:醤油:酢:甘味) | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 万人向け黄金比 | 2:1:3:1 | 酸味・甘味・旨味のバランスが良く、誰でも作りやすい基本形 |
| ② プロ寄り黄金比 | 2:1:3:0.5 | 酸味を立たせ、素材の持ち味を引き出す上品な味わい |
その理由:
三杯酢は「酸味×甘味×旨味」の調和が命。
酢を多めにすることで食材の輪郭がはっきりし、冷製料理や魚介類により合います。
プロは“甘味を控えめ”にして、素材の甘さを活かすように仕上げます。
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 出汁 | 200cc | 酢と砂糖の角を取る旨味のベース |
| 薄口醤油 | 100cc | 塩味と旨味の要。素材の色を損なわない |
| 穀物酢 | 300cc | 酸味の中心。全体を引き締める |
| 砂糖 またはみりん | 100g (または200cc) | 酸味を和らげ、味を丸くする(好みで選択) |
作り方(よくわかるレシピ)
- 鍋に酢以外を入れる
出汁・砂糖(またはみりん)・醤油を鍋に入れて火にかける。
→ 沸騰直前まで温め、砂糖が完全に溶けるのを確認。 - 酢を加える
沸騰直前で火を止め、酢を加える。
→ 酢を煮立てないことで、酸味を残しつつカドを取る。 - 急冷する
鍋ごと氷水にあてて素早く冷ます。
→ 香りが飛ばず、味が締まる。
失敗しない3つのコツ
- 酢は沸騰前に入れる(酸味を残す)
- 甘味は砂糖ならくっきり、みりんならまろやかに
- 出汁の量で酸味の強弱を調整する
使い道

| 相性の良い料理 | 用途 |
|---|---|
| きゅうり わかめ 蟹の酢の物 | 三杯酢の定番。酸味でさっぱり仕上げる。 |
| 南蛮漬け 揚げびたし | 甘酸っぱく冷めても美味しい。 |
| しめ鯖 蛸 ホタテなど魚介類 | 酢の香りで臭みを抑え、旨味を引き立てる。 |
| 黄身酢 土佐酢のベース | 他の合わせ酢の基礎としても使える。 |
保存方法(必須)
- 冷蔵保存:清潔な瓶や容器で約1週間
- 冷凍保存:不可(酢の風味が変化するため)
- 再使用時:常温に戻してから使用。香りが戻る。
応用・アレンジ
- 酢を米酢に替えるとまろやかに
- 酢を黒酢にするとコクのある大人の味に
- 甘味をはちみつに替えると照りとコクが増す
- 少量の柚子果汁やレモン汁で爽やかな香りづけも◎
各食材の詳しい解説はコチラ
▶黒酢 くろず(Black vinegar)
▶米酢 こめず(rice vinegar)
▶蜂蜜 はちみつ(Honey)
▶柚子(ゆず/Yuzu)
現役和食調理師のひと言
三杯酢は「酸・甘・旨」の三要素が整った万能調味。
火を入れて一体感を出すことで、料亭のような滑らかで角のない味に仕上がります。
酸味を立たせたい時は酢を多め、まろやかにしたい時はみりん多めが基本。
冷たい料理ほど酸味を強くが、プロの黄金バランスです。
