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やさしい旨みと香り豊かな「だし」が特徴の浅利(あさり)は、和食に欠かせない貝類のひとつ。
味噌汁や酒蒸し、パスタなど幅広い料理に使われ、季節を問わず食卓に登場する人気食材です。
本記事では、浅利の旬の時期や特徴・食感、相性の良い食材・調理法を、和食調理師として25年以上の経験をもとにわかりやすく紹介。
栄養価や保存方法、目利きのポイントまで、料理に役立つ情報を網羅しています。
浅利の旬~おいしい時期~
あさり
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
浅利(あさり)の旬は、春が中心です。早いところでは1月ごろから流通し始めます。
春は産卵前で身がふっくらと太り、もっとも旨みが増す季節とされています。
地域や年によっては秋(9〜10月)にも身が戻りはじめることがありますが、春ほどの安定した味わいは期待しにくい場合もあります。

現役和食調理師のヒント
一番のおすすめはやはり春。味噌汁や酒蒸しにすれば、浅利ならではの香りと濃厚なだしが引き立ちます。秋は当たり外れもありますが、身がしっかりしていれば炊き込みご飯にも◎
浅利とは ~解説~
浅利(あさり)は、日本の沿岸に広く分布する二枚貝の一種で、マルスダレガイ科に属します。日本では古くから親しまれてきた食材で、だしの旨みが強く、和洋中問わず幅広い料理に使える万能食材です。
潮干狩りの主役としても知られ、春先の産卵期前には身が太り、味も濃くなるため、特に美味しい季節とされています。
味・食感の特徴
和風はもちろん、パスタやアクアパッツァなど洋風料理にも合う
火を通すとプリッとした食感になり、噛むほどに甘みと旨みが広がる
だしがよく出るため、味噌汁・スープ・炊き込みご飯に最適
- 昔はほとんどが国産だったが、今は中国、韓国の輸入物が多い
- 冷凍むきアサリ、冷凍殻付きアサリが流通している
- 値段は産地よりも大きさで決まる

現役和食調理師のヒント
あさりの旨みは“だし”に出ます。煮汁を活かす料理、例えば味噌汁や酒蒸しが定番ですが、煮汁を炊き込みご飯に再利用するのもおすすめ。料理の幅がぐんと広がりますよ。
おいしくするためのコツ
- 海水濃度(3%)の海水で砂抜きする(冷暗所で2~3時間程度)
- 砂抜きは粗目のザルに入れて行う(吐いた砂をまた吸うのを防ぐ)
- 水から茹でると「ダシは良く出るが、身が縮む」
- 湯から茹でると「ダシはそんなに出ないが、ふっくらした身になる」
- 冷凍するときはそのまま容器に入れて冷凍するとよい
- 長期冷凍するときは乾燥を防ぐため、水を張って冷凍する
- 解凍するときは凍ったまま調理に使う
浅利の目利き
新鮮な浅利(あさり)を選ぶポイントは、「殻の状態」と「動きのある生きた貝かどうか」を見ることです。特に砂抜き前の状態で購入する場合は、元気に生きているかどうかが大切です。
殻付きのあさりを選ぶポイント
| チェック項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 殻の色・模様 | 模様がはっきりしてツヤがあるものが新鮮 |
| 殻の状態 | しっかり閉じているもの、または触るとすぐ閉じるもの |
| 臭い | 海水のようなにおいがあるもの(生臭さが強いものは避ける) |
冷凍あさりの場合
- 貝の割れや欠けがないもの
- 解凍しても身が縮まず、汁が濁っていないものが良品

現役和食調理師のヒント
貝殻が「ぱっくり開いたまま動かない」あさりはすでに死んでいる可能性が高く、火を通しても口が開かないことがあります。調理前にはもう一度塩水で砂抜きしておくと安心です。
浅利の保存方法
浅利(あさり)は鮮度が落ちやすい食材ですが、適切に保存すれば美味しさを保ったまま使うことができます。以下に冷蔵・冷凍それぞれの保存方法をご紹介します。
冷蔵保存(買ってきた当日〜翌日まで)
- 砂抜き後の浅利を、殻付きのまま新聞紙などで包む
- ボウルや保存容器に入れ、冷蔵庫のチルド室で保存(0〜4℃目安)
- 乾燥しないよう、軽く湿らせた新聞紙やペーパーで包むと◎
✅ 冷凍保存(長期保存用)
- 砂抜き後の浅利を殻ごと軽く水洗いし、水気を拭き取る
- ジッパー付き袋や密閉容器に平らに並べて冷凍
- 使用時は凍ったまま加熱調理(味噌汁・酒蒸し・パスタなど)

現役和食調理師のヒント
冷凍あさりは「凍ったまま鍋に入れる」のがコツ。自然解凍すると旨みが流れ出てしまうので、味噌汁や酒蒸しに使うときはそのまま加熱がおすすめです。
浅利と相性の良い食材・食べ合わせ
浅利(あさり)は、だしの旨みが豊富で、さまざまな食材と調和しやすい貝類です。シンプルな味つけにもよく合い、和風・洋風・中華まで幅広い料理に使われます。
✅ 相性の良い食材一覧
| 食材 | 相性の理由・調理例 |
|---|---|
| ねぎ しょうが | 臭みを和らげ、風味を引き立てる(味噌汁・酒蒸し) |
| だいこん 白菜 | あさりのだしを吸って、煮物や汁物に最適 |
| 米(ごはん) | 旨みが染みる炊き込みご飯・あさりご飯が定番 |
| にんにく オリーブオイル | 洋風のパスタやスープに。ボンゴレやアヒージョに活躍 |
| バター 白ワイン | コクと香りを加え、ムニエル風や蒸し料理にぴったり |
| 日本酒 みりん | 酒蒸しや煮物の風味づけに最適。素材の味を引き出す |

現役和食調理師のヒント
あさりの旨みを活かすには、シンプルな味つけで「だし」を味わう料理がおすすめ。例えば、だしを吸ったご飯や大根、味噌汁など、素材の風味と一緒に楽しむとより美味しく仕上がります。
浅利の地方名
浅利(あさり)は日本全国で食べられており、地域によって多少異なる呼び名や分類がされることもあります。
浅利そのものには大きな地方名のバリエーションは少なく、混同されやすい他種(ハマグリやバカガイなど)との違いを含めて紹介することがポイントです。
| 呼び名 | 解説 |
|---|---|
| 浅利(あさり) | 全国共通で使われる標準和名・商品名 |
| マルアサリ | 通常の浅利よりやや大型。西日本での呼称例も |
| シオフキ バカガイ | 見た目が似ていて混同されがちな別種の貝 |
| クマモトアサリ | 熊本県産などでブランド化されたあさりの名称 |
※流通名としては「国産あさり」「中国産あさり」「熊本あさり」など、産地を冠した名称で販売されることが多くなっています

現役和食調理師のヒント
「熊本あさり」などはブランド化されていて、粒がそろい、味に深みがあります。パック詰めの際には、産地表示をチェックして選ぶと良いですよ。
浅利の栄養素(食品成分表)
あさり
| 栄養素 | 蒸し | 生 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 60 | 70 | % |
| エネルギー | 32 | 29 | ㎉ |
| 水分 | 89.5 | 90.3 | g |
| タンパク質 | 4.9 | 5.7 | g |
| 脂質 | 0.8 | 0.7 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | 0.4 | 0.4 | g |
| ナトリウム | 790 | 800 | ㎎ |
| カリウム | 130 | 140 | ㎎ |
| カルシウム | 64 | 66 | ㎎ |
| マグネシウム | 94 | 92 | ㎎ |
| リン | 79 | 82 | ㎎ |
| 鉄 | 2.1 | 2.2 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.9 | 0.9 | ㎎ |
| 銅 | 0.05 | 0.05 | ㎎ |
| マンガン | 0.10 | 0.07 | ㎎ |
| ヨウ素 | 59 | 56 | ㎍ |
| セレン | 35 | 35 | ㎍ |
| クロム | 3 | 3 | ㎍ |
| モリブデン | 8 | 8 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 3 | 2 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | 20 | 14 | ㎍ |
| ビタミンD | 0.1 | 0.1 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.4 | 0.4 | ㎎ |
| ビタミンK | 1 | 1 | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.01 | 0.01 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.15 | 0.16 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.2 | 1.3 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.02 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 45.2 | 44.8 | ㎍ |
| 葉酸 | 8 | 11 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.21 | 0.37 | ㎎ |
| ビオチン | 20.9 | 21.6 | ㎍ |
| ビタミンC | – | 1 | ㎎ |
| 栄養素 | 含有量(蒸し) | ひとこと評価 |
|---|---|---|
| ビタミンB12 | 45.2 µg | 貝類らしく突出して多い。造血・神経機能に重要。 |
| マグネシウム | 94 mg | 貝類の強み。筋機能・代謝を支える。 |
| 鉄 | 2.1 mg | 動物性由来で吸収率も比較的良い。 |
| セレン | 35 µg | 抗酸化に関与。海産物の中でも良水準。 |
| ヨウ素 | 59 µg | 甲状腺ホルモンに必須。海産物特有の多さ。 |
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浅利の英語・漢字表記

| 項目 | 表記 |
|---|---|
| 漢字 | 浅蜊(浅利) |
| 読み方 | あさり |
| 英語表記 | short-neck clam(ショートネック・クラム) |
| 発音記号 | [ˈʃɔːrt.nɛk klæm](ショートネック・クラム) |
| 学名 | Ruditapes philippinarum(ルディタペス・フィリッピナラム) |
📌 英語表記の補足
- 「short-neck clam」は、浅利の英語名として日本産あさりを指す際によく使われます。
- 海外では「Japanese littleneck clam」や「Manila clam(マニラクラム)」という名前でも流通しており、アジア原産のアサリとして扱われることもあります。
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