かつお節の香りと出汁の旨味、そして酢の酸味が調和した「土佐酢」。
酢の物や南蛮漬け、黄身酢の調整などに欠かせない和食の基本タレです。
「酸っぱすぎる」「味が決まらない」と感じるのは、出汁と酢のバランスが崩れている証拠。
黄金比で配合するだけで、上品で角の取れた酸味に仕上がります。
今回はプロが使う2つの比率と、香りを逃さない火入れのコツを紹介します。
味が決まらない原因
- 酢の割合が多すぎて酸味が立ちすぎる
- 出汁の量が少なく、まろやかさが不足している
- みりんを煮切らず、アルコールの風味が残る
- かつお節を煮すぎて、苦味や雑味が出る
- 熱いうちに保存して香りが飛ぶ
黄金比|2つの選べる比率

| タイプ | 比率 (出汁:薄口:みりん:酢) | 特徴 |
|---|---|---|
| 万人向け黄金比 | 6:1:1:2 | 酸味と旨味のバランスがよく、食材を選ばない |
| プロ寄り黄金比 | 6:1:1:3 | 酸味をやや強めに、魚介や脂のある料理を引き締める |
理由
酢は温度で香りと酸味が変化します。温かい料理では酸味を控えめに、冷たい料理ではやや強めにするのが基本。
プロは食材温度に合わせて酢の割合を調整します。
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 出汁 | 150cc | 酸味を包み込む旨味のベース |
| 薄口醤油 | 25cc | 全体の塩味と色を調整 |
| みりん | 25cc | 甘味と照りを与え、酸味をまろやかにする |
| 穀物酢 | 50〜75cc | 味を引き締める酸味の主役 |
| かつお節 | 5g | 旨味と香りを加える |
作り方(よくわかるレシピ)

- 鍋に調味料を入れる
出汁・薄口醤油・みりん・酢を鍋に合わせる。 - 火を入れる
中火で温め、沸騰直前で火を弱める。
→ みりんのアルコールを飛ばし、香りを立たせる。 - かつお節を加える
火を止め、すぐにかつお節を入れる。
→ 煮すぎず「沈むまで待つ」が合図。 - 漉す・冷ます
かつお節が沈んだら、キッチンペーパーなどで静かに漉す。
粗熱を取ってから保存容器へ。
→ 熱いまま保存すると香りが飛ぶので注意。
失敗しない3つのコツ
- かつお節は沸騰中に入れない(苦味が出る)
- 酢は最初から入れてOK(まろやかになる)
- 香りを残したいなら冷めるまで蓋をしない
使い道

| 相性の良い料理 | 用途・一言 |
|---|---|
| もずく酢 わかめ酢 | 酢の物の定番。酸味を整えるベースに。 |
| 南蛮漬け 揚げ浸し | 酸味で油を切る。爽やかに仕上げたいときに。 |
| 焼き魚 酢締め | 香りを添えて、脂を引き締める。 |
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器で約1週間
→ 香りを逃さないよう、清潔な瓶で保存 - 冷凍保存:不向き(香りが落ちる)
- 再使用時:軽く常温に戻すと風味が復活
応用・アレンジ
- 酢を米酢にすると、よりまろやかな味に
- 酢を黒酢にすると、香り高くコクのある仕上がりに
- 砂糖少量(5g)を加えると、酸味がまろやかに
▶米酢 こめず(rice vinegar)
▶黒酢 くろず(Black vinegar)
現役和食調理師のひと言
土佐酢は“酢の物の命”ともいえる基本の合わせ酢。
かつお節の旨味を活かすために、決して煮立てすぎないことが大切です。
味見の段階で「少し酸っぱい」と感じるくらいが、冷めた時にちょうど良くなります。
