柚子の爽やかな香りと、酢のまろやかな酸味が調和した「柚香酢(ゆこうす)」。
出汁とみりんを合わせて仕上げることで、酸味に丸みと深みを持たせた和の合わせ酢です。
酢の物、焼き魚、鍋料理、冷しゃぶ、そして炊き合わせの仕上げまで、香りと酸味で料理の完成度を上げる万能調味料として活躍します。現役和食調理師が香りを飛ばさない火入れと、味がブレない黄金比を解説します。
味が決まらない原因
- 酢を入れるタイミングが早く、酸味が飛んでしまう
- みりんを煮切らず、アルコール臭が残る
- 柚子の皮を煮込みすぎて苦味が出る
- 出汁が多くて味がぼやける
- 一晩寝かせず、味がなじんでいない
黄金比|2つの選べる比率
| タイプ | 比率(出汁:醤油:みりん:酢) | 特徴 |
|---|---|---|
| 万人向け黄金比 | 1:1:1:1 | 酸味と旨味のバランスが良く、あらゆる料理に合う |
| プロ寄り黄金比 | 1:0.8:1:1.2 | 酢をやや多めにして、香りを立たせた上品な味わい |
その理由
柚香酢は「出汁の旨味」「酢の酸味」「柚子の香り」の三位一体で成立します。
酸味を強めることで、冷たい料理や脂のある魚でも香りが引き立ちます。
材料

| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 出汁 | 100cc | 酢の酸味をやわらげ、全体をまとめるベース |
| 薄口醤油 | 50cc | 塩味と旨味を整え、色を淡く上品に仕上げる |
| 濃口醤油 | 50cc | 味に厚みと香ばしさを加える |
| みりん | 100cc | 甘味と照りを与え、味に丸みを持たせる |
| 穀物酢 | 100cc | 酸味の中心。香りを引き締める |
| 柚子 | 1/2個(輪切り) | 柑橘の香りと軽い苦味がアクセントになる |
作り方(よくわかるレシピ)
- みりんを煮切る(アルコールを飛ばす)
鍋にみりんを入れ、中火にかける。
→ ふつふつと沸いたら弱火にして1〜2分。アルコール臭が消えたら火を止め、冷ます。 - 調味料と柚子を合わせる
粗熱が取れたら、出汁・醤油・酢を加えてよく混ぜる。
薄く輪切りにした柚子を入れ、一晩置く。
→ 柚子の香りが全体に広がり、まろやかに。 - 漉す(香りと澄みを整える)
翌日、ガーゼやキッチンペーパーで静かに漉す。
→ 雑味を除き、澄んだ黄金色の香酢に仕上げる。
失敗しない3つのコツ

- 酢は加熱後に加える(酸味と香りを保つ)
- 柚子は厚く切らず、白い部分を避ける(苦味防止)
- 一晩寝かせて香りを全体になじませる
使い道
| 相性の良い料理 | 用途・一言 |
|---|---|
| 焼き魚(鰆・鯖・鮭) | 酸味で脂を切り、香りで上品に仕上げる |
| 鍋・冷しゃぶ | 酢をベースにしたぽん酢代わりに |
| 蒸し野菜・おひたし | 柚子の香りで爽やかに |
| 炊き合わせ・酢の物 | 旨味と酸味の調和が活きる |
保存方法(必須)
- 冷蔵保存:密閉容器で7〜10日
→ 柚子を漉したあとは澄んだ状態で保存 - 冷凍保存:不可(香りと風味が変化)
- 清潔な容器使用が必須:煮沸またはアルコールで除菌すると◎
応用・アレンジ
| アレンジ | 方法 | 用途例 |
|---|---|---|
| さっぱり仕立て | 酢を1.2倍、みりんを0.8倍に | 冷奴や白身魚の刺身に |
| コクを出す | 煮切り酒を小さじ1加える | 焼肉やステーキソースに |
| 香りを強める | 柚子皮を千切りにして加え、一晩寝かす | 鍋つゆや酢味噌のベースに |
現役和食調理師のひと言
柚香酢は「火入れ」「寝かせ」「漉し」の3工程で香りが決まります。
みりんをしっかり煮切り、酢は最後に加えることで、酸味と香りの輪郭が整います。
柚子の香りは控えめに、ほんのり立ちのぼる程度が理想。
冷しゃぶや焼き魚に使うと、驚くほど味が引き締まります。
