むかご(零余子)とは?栄養・旬・英語表記まで現役調理師がわかりやすく解説

ざるに盛られたむかご(零余子)|秋の味覚として親しまれる山の恵み TOP
収穫したばかりのむかご。ホクホク食感が魅力の秋の味覚です。
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秋の山で見かける小さな粒、「むかご(零余子・むかご)」をご存じでしょうか。
山芋のつるにできる赤ちゃんのような実で、素朴ながらも栗のようなホクホク感が魅力の秋の味覚です。

「零余子(むかご)」という漢字の読み方や、英語での表記(Yam bulblets)を調べる方も多く、海外の料理本などにも登場します。
栄養面ではエネルギー源となる炭水化物やカリウム、ビタミンB群などを含み、滋養食として昔から親しまれてきました。

この記事では、むかご(零余子)の意味・旬・栄養素・英語表記を、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。

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むかごの旬 ~おいしい時期~

むかごの旬は 秋(9月〜11月)
山芋のつるにできる小さな実が、秋風とともにぷっくりと育ちます。採れたては皮がやわらかく、茹でても焼いてもホクホクとした栗のような味わい。新鮮なものほど香りが良いので、旬のうちに楽しむのがおすすめです。

むかご

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

むかごは秋が本番。特に10月中旬〜11月上旬にかけてのものは粒が大きく、火を通したときのほくほく感が格別です。採れたてをすぐに塩ゆですると、自然な甘みがしっかり引き立ちます。

むかご(零余子)とは?~解説~

皿に盛られたむかご(零余子)|山芋の蔓にできる小さな球芽
山芋や長芋の蔓にできる小さな球芽が「むかご」。皮ごと食べられます。

「むかご(零余子)」とはヤマイモやナガイモのつるの途中にできる直径1cmほどの小さな球芽のことです。
植物学的には“実”や“種子”ではなく、茎の一部がふくらんでできた栄養繁殖器官で土に埋めると新しい山芋が育ちます。

収穫時期は9月〜11月頃で秋の味覚として親しまれています。主な産地は北海道・青森県・岩手県などの東北地方で、全国の生産量の多くを占めています。
むかごは皮ごと調理できるのが特徴で、塩ゆでや炊き込みご飯、素揚げなど、さまざまな料理に使えます。山芋の風味が凝縮され、ホクホクとした食感と高い栄養価が魅力です。

「むかご」には毒はありません。ただし、観賞用や海外種(例:エアーポテト/Dioscorea bulbifera)など、一部のヤマイモ類のむかごには毒性を持つものがあるため、食用として流通している種類のみを利用するようにしましょう。

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現役和食調理師のヒント

むかごは下処理がほとんどいらず、皮ごと調理できる便利な山の幸。塩ゆでや素揚げでホクホク感を楽しむのがおすすめです。

むかごの保存方法

むかごは乾燥と湿気のどちらにも弱く、状態に合わせた保存方法を選ぶのがポイントです。
採れたてのむかごはすぐに調理するのが一番ですが、長期保存も可能です。


常温保存

風通しのよい涼しい場所で新聞紙に包み、かごや紙袋に入れて保存します。直射日光と湿気を避ければ、2〜3日ほどは風味を保てます。ただし、暖かい時期は芽が出やすいため、早めに使い切りましょう。


冷蔵保存

泥や汚れを軽く拭き取り、キッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、野菜室へ
目安は約1週間。湿気がこもると傷みやすいので、袋を軽く開けておくのがおすすめです。


冷凍保存

長く保存したい場合は茹でてから冷凍します。塩ゆでしたむかごを冷ましたあと、水分をよく拭き取り、小分けして冷凍用袋へ。そのまま炊き込みご飯や炒め物に使えて便利です。保存期間は約1か月

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現役和食調理師のヒント

冷凍する前に軽く塩をふって下味をつけておくと、解凍後の風味が引き立ちます。
再加熱は凍ったまま炒めるか、炊飯器で一緒に炊くのがおすすめです。

むかごと相性の良い食材

むかごご飯ととろろ汁|山の恵みを味わう組み合わせ
むかごご飯にはとろろ汁や味噌汁がよく合います。風味を引き立てる名コンビ。
食材・調味料相性の理由・使い方
椎茸
舞茸
エノキ
うま味と香りが加わり、炊き込みご飯や煮物での相性が良い。
ごぼう
にんじん
根菜同士で土の香りや食感のコントラストが楽しめる。

銀杏
秋の味覚として組み合わせると季節感が強まる。
醤油
みりん
だし
和風の基本調味でむかごの風味を引き立てる。
にんにく+バター炒めると香ばしく、むかごのほくほく感が引き立つ。
青のり
海苔
塩炒めや和風スナック風の仕上げに風味をプラス。
油揚げ
豆類
炊き込みご飯や味噌汁の具材に自然に溶け込む。
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現役和食調理師のヒント

むかごは淡白な味わいなので、きのこやごぼうなど香りのある食材と合わせると風味がぐっと深まります。

むかごとよく合う調理法

素揚げしたむかご(零余子)|香ばしくホクホクとした食感
素揚げはむかごの旨味を引き出す定番調理法。塩をひとつまみで絶品。
調理法特徴・向き・ポイント
塩ゆで最も基本で素朴な法。むかごの自然な甘みやホクホク食感を味わえる。
炊き込みご飯ご飯と一緒に炊く定番法。むかごを最初から米と混ぜて炊き込むのがコツ
炒め物にんにく+バター、醤油風味などで風味付け。香ばしさが加わる調理法
素揚げさっと油で揚げてホクホク&カリッとした食感を出す。酒のつまみなどに最適。
煮もの醤油・砂糖・みりんで甘辛く煮て、ご飯のおかずとして。身近な味付け法。

むかご の栄養素 (食品成分表)

むかごは小粒ながら栄養価の高い山の恵みです。
特にカリウム・マグネシウム・鉄分・食物繊維などが豊富に含まれ、ミネラルバランスのよい食材として知られています。
また、エネルギー量はやや高めで、炭水化物を多く含むため主食代わりにもなるのが特徴。ホクホクとした食感の中に自然な甘みがあり、栄養と満足感を同時に得られます。

下の表はむかご100gあたりの主な栄養成分を示したものです。
実際の調理では少量(10〜20g程度)の使用が多いため、栄養値は参考としてご覧ください。

むかご (生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率25%
エネルギー87
水分75.1g
タンパク質2.9g
脂質0.2g
食物繊維(総量)4.2g
炭水化物20.6g
ナトリウム3
カリウム570
カルシウム5
マグネシウム19
リン64
0.6
亜鉛0.4
0.15
マンガン0.05
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)24
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.4
ビタミンK
ビタミンB10.11
ビタミンB20.02
ナイアシン0.3
ビタミンB60.07
ビタミンB12
葉酸20
パントテン酸0.6
ビオチン
ビタミンC9
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

むかご の英語・漢字表記

Yam bulblets(むかご)の英語カード
英語では “Yam bulblets” や “Mukago” と表記されます。海外でも注目の山の食材。
表記読み方・名称
零余子(むかご)Mukago
Yam bulbletsヤム・バルブレッツ

英語では “yam bulblets” または “yam bulbils” と表記され、どちらも山芋(yam)の蔓にできる小さな球芽を意味します。日本の食文化では「Mukago(むかご)」という言葉そのものが使われることも多く、海外のレシピサイトでもMukago rice (Japanese wild yam bulblets rice)
のように併記される例が見られます。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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