春を感じる一品「筍の土佐煮」。
筍のシャキッとした歯ごたえに、かつお節の香りと出汁の旨味が染み込む上品な煮物です。
「味が薄い」
「香りが飛ぶ」
「かつお節がダマになる」
といった失敗も多い料理。
原因は、調味料を入れる順番と火を止めるタイミングにあります。
現役調理師の結論は――
👉 「味醂とかつお節は“最後に入れる”」。
このひと手間で、香りを閉じ込めた上品な味わいになります。
旬の筍を活かした、春の定番煮物です。
よくある失敗と原因
- 味が薄い → 煮込み不足または調味料の比率違い
- 味が濃い → 煮詰めすぎ・火を止めるタイミングの遅れ
- 香りが飛ぶ → かつお節を早く入れすぎた
- 苦味がある → 水煮の下処理不足
- 焦げる → 強火で放置 or 混ぜ不足
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 筍の水煮 | 約300g | 主素材。春の香りと食感を楽しむ |
| 削り節 | 適量 | 香りと旨味を加える(仕上げ用) |
| 調味料 | 分量 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 出汁 | 300cc | 6 | ベースの旨味 |
| 薄口醤油 | 20cc | 0.4 | 風味と塩味を整える |
| 濃口醤油 | 20cc | 0.4 | コクと照りを与える |
| 砂糖 | 15g | 0.3 | 甘味と旨味のバランスを取る |
| みりん | 50cc | 1 | 照りと香りを加える(後入れ) |
| 料理酒 | 50cc | 1 | 筍の香りを引き立てる |
下処理

- 筍の水煮:食べやすい大きさに切り、一度湯通しして水にさらす(薬品臭さを除く)
- 削り節:フライパンで乾煎りし、手で揉んで細かくする(焦げ注意)

現役和食調理師のヒント
削り節は細かくすると均一に味が絡み、見た目も上品に仕上がります
作り方

- 鍋に調味料を入れる(中火)
筍を鍋に入れ、出汁・醤油・砂糖・酒を加える(みりんと削り節は後)。
🔸 合図:「筍全体が煮汁に浸かる」程度が目安。 - 煮る(強火~中火)
火にかけ、アクを取りながら中火で煮る。
出汁が少なくなったら、みりんを加える。
🔸 合図:「鍋の中に小さな泡が立ち始めたら」弱火に。
落とし蓋をして10分ほど煮含める。 - 香りづけ(火を止める直前)
火を止める直前に削り節を加え、サッと混ぜる。
🔸 合図:「削り節が汁を吸って軽く沈んだら」すぐ火を止める。
余熱で香りを移す。 - 盛り付け
器に高く盛り付け、上から煮汁を少しかけて照りを出す。

現役和食調理師のヒント
筍の土佐煮は、出汁の香りと鰹節の香りを“層にして重ねる”料理です。火を止めてから加える鰹節が、味全体を包み込むように香りを閉じ込めます。
失敗しない3つのコツ
- みりんとかつお節は最後に入れる(香りを飛ばさない)
- 筍は湯通し+水さらしで薬品臭さを抜く
- 煮詰めすぎず、出汁が1/3残る程度で止める

現役和食調理師のヒント
土佐煮は「香りを足す煮物」。筍の香りを引き立てるために、鰹節はあえて最後に入れます。
保存方法
- 冷蔵保存:汁ごと密閉容器に入れ、3日程度保存可能。
- 冷凍保存:香りが落ちるため不向き(冷蔵がおすすめ)。
- 弁当活用:汁気をよく切って詰めると香りが長持ち。
相性の良い料理・献立

- 主菜:鶏の照り焼き・鰆の西京焼き
- 副菜:菜の花の辛子和え・筍ご飯
- 汁物:若布と豆腐の味噌汁
旬と豆知識
筍の旬は春(3月〜5月)。
食物繊維が豊富で、腸内環境を整える効果があります。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【筍の栄養ページ】へ。
現役和食調理師のコメント
筍の土佐煮は「香りの重ね方」が命。
最初に煮含めて旨味を入れ、最後に削り節で香りを閉じ込める。
火を止めたあとの“余熱”で味がまとまり、筍の歯ごたえも残ります。
焦らず、静かな火で香りを育てましょう。
