旨みがぎゅっと詰まった「鶏肉のトマト煮」は、洋風の定番煮込み。
トマトの酸味と玉ねぎの甘み、ベーコンのコクが重なり、ごはんにもパンにもよく合う、食卓の主役になる一品です。
しかし、家庭で作ると「トマトの酸味が強すぎる」「味がぼやける」「肉がパサつく」などの悩みも。そこで本記事では、現役和食調理師が“プロの火加減と香りの合図”で失敗を防ぐコツを丁寧に解説します。基本を押さえれば、短時間でも驚くほど奥行きのある味わいに仕上がります。
よくある失敗と原因
- 鶏肉が固くなる → 強火で炒めすぎ、または煮込みすぎ
- 味が薄い → トマトの水分が多く、煮詰め不足
- 酸味が強い → ワインやトマトを煮切っていない
- 甘みが足りない → 玉ねぎの炒め不足
- 焦げつく → 強火のまま煮詰めている
材料(4人分)
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 鶏もも肉 | 2枚(約500g) | 主役。ジューシーで旨みが出やすい |
| ベーコン | 2枚 | コクと香ばしさを加える |
| 玉ねぎ | 1個 | 甘みのベース |
| 人参 | 1/2本 | 甘みと彩り |
| にんにく | 1片 | 香りのベース |
| ベイリーフ(ローリエ) | 1枚 | 香りを引き締める |
| ホールトマト(缶詰) | 1缶(400g) | 酸味と旨みの主役 |
| オリーブオイル | 大さじ2 | 香り出し |
| 塩・コショウ | 少々 | 下味と仕上げ |
| 薄口醤油 | 小さじ1〜2 | 隠し味で深みを出す |
| 赤ワイン | 50ml | 酸味とコクを調整 |
| 味の素 | 少々 | 旨みを補う(省略可) |
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下処理(均一な火通りを意識)
- 鶏もも肉
一口大に切り、塩・コショウで下味をつける。
→ 大きさを揃えることで、火の通りが均一になりパサつきを防ぐ。 - 野菜類
玉ねぎは5mm幅のスライス、人参はイチョウ切り。ベーコンも食べやすく切る。
にんにくはスライス・みじん・すりおろし、どの形でもOK。香りの強さで使い分ける。
作り方
- 香り出しをする
冷たいフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかける。
→ にんにくの周りに小さな泡が出てきたら香りが立った証拠。焦がさないように注意。 - 鶏肉を焼く
中火に上げ、鶏肉を皮目から焼く。
→ 焼き面が「きつね色」になったら裏返す。表面だけしっかり焼き、完全に火を通さなくてOK。 - ベーコン・玉ねぎ・人参を加える
しんなりするまで炒める。
→ 玉ねぎが透明になり、甘い香りが立ってきたら次の工程へ。 - ホールトマト・ベイリーフ・赤ワインを加える
ホールトマトは手で軽く潰す。強火にして沸騰させ、アルコールを飛ばす(約1分)。
→ ワインのツンとした匂いが消え、トマトの香りに変わる瞬間。 - 火を弱めて煮込む(約10分)
弱火〜中火にして静かに煮る。
→ 表面に細かい泡が立つくらいがベスト。煮詰まりすぎる前に味見をし、塩・コショウ・醤油で整える。 - ベイリーフを取り出す
香りが立ったら、苦みが出ないうちに取り出す。
失敗しない3つのコツ
- にんにくは冷たい油から入れて香りをじっくり出す
- トマトとワインは一度沸騰させて酸味を飛ばす
- 味が決まらない時は、醤油をほんの少し(和のコクが出る)
保存方法
- 冷蔵保存:粗熱を取り、密閉容器に入れて3日以内。
- 冷凍保存:1食分ずつ小分けにし、約2週間保存可能。
→ 解凍は冷蔵庫でゆっくり。再加熱時は弱火で。
相性の良い料理・献立
- 副菜:グリーンサラダ、ポテトグラタン
- 汁物:コンソメスープ
- ご飯・パン:ガーリックトースト、バターライス
- ワイン:軽めの赤ワイン(ピノ・ノワールなど)
旬と豆知識
トマトの旬は夏ですが、ホールトマト缶は年間を通して安定した品質。完熟期に収穫されるため、煮込み料理には最適です。また、鶏もも肉の脂とトマトのリコピンは相性が良く、抗酸化作用や疲労回復効果も期待できます。
現役和食調理師のひと言
トマト煮は「香りと火加減」で味が決まります。
にんにくの香りを焦がさず立たせ、トマトとワインの酸味をほどよく飛ばす。この“タイミングの見極め”がプロの味に近づく最大のポイントです。最後にほんの少しの醤油を入れることで、味に奥行きが生まれ、和食店でも通用する「和洋折衷の一皿」になります。
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