長芋の含め煮|プロが教える“よくわかるレシピ”の含め煮

ほっくりとした食感に優しい出汁の香りが広がる「長芋の含め煮」。
火を通すことで長芋の粘りがやわらぎ、ほのかな甘みと旨味が際立つ一品です。

一方で、「煮崩れた」「味がしみない」「柔らかくなりすぎた」などの失敗も起こりやすい料理。
その原因は、火加減と冷まし方にあります。

現役和食調理師の結論は――
👉「長芋は“沸騰させずに煮て、冷ますことで味を含ませる”」。

シンプルながら奥深い含め煮。素材の持ち味を生かせば、主菜にも副菜にもなる万能な一品です。


よくある失敗と原因

  • 長芋が柔らかすぎる → 火が強すぎ・煮すぎ
  • 味が染みない → 煮込み後にすぐ食べている
  • 味が濃い → 煮詰めすぎ or 調味料の入れすぎ
  • 人参が硬い → 下茹で不足
  • しめじが黒っぽい → 炒めずに長時間煮た

材料

材料分量役割
長芋約300g主素材。ホクホク食感を出す
しめじ1/2袋香りと旨味を添える
人参1/3本彩りと自然な甘味

調味料

調味料分量割合役割
出汁300cc15旨味のベース
薄口醤油20cc1味をまとめる
みりん40cc2照りとまろやかさを加える
料理酒10cc0.5風味を引き立てる
少々味を引き締める

下処理

  • 長芋:皮を剥き、2cm厚の輪切りまたは半月切りにする(形が崩れにくい)。
  • しめじ:石づきを取り、小房に分ける。
  • 人参:拍子切りにし、硬い場合は軽く下茹でしておく。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

火の通りが異なる食材を一度に煮る場合、固い食材から入れるのが基本。


作り方(よくわかるレシピ)

  1. 鍋に材料と調味料を入れる(中火)
    鍋に出汁・調味料・長芋・人参・しめじを入れ、火にかける。
    沸騰直前で弱火にし、静かに煮る。
    🔸 合図:「鍋の縁に小さな泡が出る」状態を保つ。
  2. 煮含める(弱火)
    アクを取りながら約10分、出汁が1/3ほどになるまで煮る。
    🔸 合図:「長芋の角が透け、竹串がスッと入る」ころが止め時。
    火を止め、そのまま常温で冷ます。
  3. 冷ます(味を含ませる)
    冷める過程で味が中までしみ込む。
    食べる前に軽く温め直すと、出汁の香りが再び立ち上がる。
  4. 盛り付け
    器に彩りよく盛り付ける。
    天盛りに刻み柚子や茗荷を添えると、香りが引き立つ。

現役和食調理師のコメント

含め煮は「煮る」より「含ませる」料理。
沸騰させずに静かに火を通すことで、長芋の形と食感がきれいに残ります。
煮終わった後の“冷ます時間”こそが、味を決める大事な工程です。
出汁の香りを吸わせるように、ゆっくりと冷ましてください。


失敗しない3つのコツ

  • 長芋は煮すぎず弱火で
  • 味をなじませるには冷ます時間を取る
  • 柚子や生姜など香り野菜で仕上げると上品に

保存方法

  • 冷蔵保存:密閉容器に入れ、3日程度。冷やしてもおいしい。
  • 冷凍保存:長芋がやや柔らかくなるため非推奨。
  • お弁当利用:煮汁をよく切り、彩り野菜を添えると華やかに。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鰆の照り焼き鶏の塩麹焼き
  • 副菜:小松菜の煮浸し里芋の土佐煮
  • 汁物:豆腐とわかめの味噌汁

旬と豆知識

長芋の旬は秋〜冬
でんぷん質が多く、加熱するとホクホクとした食感に変化します。
胃の粘膜を保護する成分(ムチン)を含み、消化を助ける働きもあります。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【長芋の栄養ページ】へ。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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