ほっくりとした食感に優しい出汁の香りが広がる「長芋の含め煮」。
火を通すことで長芋の粘りがやわらぎ、ほのかな甘みと旨味が際立つ一品です。
一方で、「煮崩れた」「味がしみない」「柔らかくなりすぎた」などの失敗も起こりやすい料理。
その原因は、火加減と冷まし方にあります。
現役和食調理師の結論は――
👉「長芋は“沸騰させずに煮て、冷ますことで味を含ませる”」。
シンプルながら奥深い含め煮。素材の持ち味を生かせば、主菜にも副菜にもなる万能な一品です。
よくある失敗と原因
- 長芋が柔らかすぎる → 火が強すぎ・煮すぎ
- 味が染みない → 煮込み後にすぐ食べている
- 味が濃い → 煮詰めすぎ or 調味料の入れすぎ
- 人参が硬い → 下茹で不足
- しめじが黒っぽい → 炒めずに長時間煮た
材料
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| 長芋 | 約300g | 主素材。ホクホク食感を出す |
| しめじ | 1/2袋 | 香りと旨味を添える |
| 人参 | 1/3本 | 彩りと自然な甘味 |
調味料
下処理


現役和食調理師のヒント
火の通りが異なる食材を一度に煮る場合、固い食材から入れるのが基本。
作り方(よくわかるレシピ)
- 鍋に材料と調味料を入れる(中火)
鍋に出汁・調味料・長芋・人参・しめじを入れ、火にかける。
沸騰直前で弱火にし、静かに煮る。
🔸 合図:「鍋の縁に小さな泡が出る」状態を保つ。 - 煮含める(弱火)
アクを取りながら約10分、出汁が1/3ほどになるまで煮る。
🔸 合図:「長芋の角が透け、竹串がスッと入る」ころが止め時。
火を止め、そのまま常温で冷ます。 - 冷ます(味を含ませる)
冷める過程で味が中までしみ込む。
食べる前に軽く温め直すと、出汁の香りが再び立ち上がる。 - 盛り付け
器に彩りよく盛り付ける。
天盛りに刻み柚子や茗荷を添えると、香りが引き立つ。
現役和食調理師のコメント
含め煮は「煮る」より「含ませる」料理。
沸騰させずに静かに火を通すことで、長芋の形と食感がきれいに残ります。
煮終わった後の“冷ます時間”こそが、味を決める大事な工程です。
出汁の香りを吸わせるように、ゆっくりと冷ましてください。
失敗しない3つのコツ
- 長芋は煮すぎず弱火で
- 味をなじませるには冷ます時間を取る
- 柚子や生姜など香り野菜で仕上げると上品に
保存方法
- 冷蔵保存:密閉容器に入れ、3日程度。冷やしてもおいしい。
- 冷凍保存:長芋がやや柔らかくなるため非推奨。
- お弁当利用:煮汁をよく切り、彩り野菜を添えると華やかに。
相性の良い料理・献立

- 主菜:鰆の照り焼き・鶏の塩麹焼き
- 副菜:小松菜の煮浸し・里芋の土佐煮
- 汁物:豆腐とわかめの味噌汁
旬と豆知識
長芋の旬は秋〜冬。
でんぷん質が多く、加熱するとホクホクとした食感に変化します。
胃の粘膜を保護する成分(ムチン)を含み、消化を助ける働きもあります。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【長芋の栄養ページ】へ。
