セレベス(赤芽芋)は、芽が赤いのが特徴の里芋で、地域によって「赤芽芋」と呼ばれることもあります。味はほくほく感と粘りがほどよく、煮物や汁物に向く品種です。この記事では、セレベスとは何か、赤芽芋との違い、特徴や旬、おいしい使い方を調理師がやさしく解説します。
赤芽芋とは|解説

- インドネシアのセレベス島から伝わったとされる(別名セレベス)
- 名前の「赤芽」は、茎の芽(付け根)が赤く色づくことから名付けられました。
- 芽が赤いのが特徴で「赤芽芋」「赤目芋」「大吉芋」と呼ばれる里芋
- 赤芽芋(あかめいも)は、里芋の一種で、茎の付け根が赤紫色になるのが特徴
- 小芋も大きく、収穫量が多い
- 里芋特有のヌメリが少なく、加熱するとホクホクした食感になる
- ホクホクとした食感が楽しめるので煮物によく合う
- 一般的には「セレベス(Celebes)」という品種名で流通しており、肉質はややねっとりとして煮崩れしにくく、煮物や汁物に向いています。
- 皮を厚めに剥いて水から下茹でする
- なるべく丸々しているものを選ぶとよい
- 赤芽芋はアク抜きすることで格段においしくなる
セレベスと赤芽芋の違い
「セレベス」はサトイモの品種名で、その中でも 芽(茎)の部分が赤いタイプが「赤芽芋」 と呼ばれます。つまり 赤芽芋はセレベスの一種 で、呼び名が地域によって使い分けられているだけです。
・セレベス=品種名(赤芽芋を含む広い名称)
・赤芽芋=セレベスの中でも赤い茎を持つタイプ
・味や食感はほぼ同じで、ホクホク感と粘りのバランスが特徴
料理では、煮物・おでん・汁物に使われ、普通の里芋より形崩れしにくいのが利点です。
赤芽芋の旬|おいしい時期

セレベスの旬は11月と12月
里芋の中でも「晩生(おくて)」の品種であるセレベスは、秋が深まる頃から冬にかけてが最も美味しい時期です。カレンダーで色分けした通り、セレベスの「本当の旬」は11月と12月です。この時期は掘り立ての新鮮なものが市場に出回り、セレベス最大の特徴である「ホクホクとした食感」と、赤芽芋ならではの清々しい香りを一番強く楽しめます。
1月・2月は「貯蔵」で美味しさが変わる
年を越した1月や2月になると、畑から収穫されたものを温度管理して保管した「貯蔵品」が主流になります。調理師としての視点でお伝えすると、この時期のセレベスは旬の盛りとはまた違った良さがあります。
甘みが深まる
貯蔵されることでデンプンが糖に変わり、コクのある甘みが増していきます。
煮崩れしにくい
余分な水分が程よく抜けているため、形を綺麗に残したい煮物料理には、実はこの時期の貯蔵品が非常に扱いやすいのです。
掘り立ての香りとホクホク感を楽しむなら年内に、しっとりとした甘みと煮物の美しさを重視するなら年明けに、といった具合に時期ごとの個性を使い分けるのがプロの楽しみ方です。
里芋と一緒に煮ると美味しい「あの食材」も今が旬ですよ、と伝えることで、自然にクリックを誘います。セレベスと一緒に煮物にすると最高な『あの根菜』や、脂の乗った冬の魚も今がまさに旬です。今夜の献立のヒントに、ぜひチェックしてみてください。
11月の旬食材一覧:冬の始まりに味わいたい逸品
12月の旬食材一覧:忘年会や正月準備に欠かせない味覚
赤芽芋の下ごしらえ
- 赤芽芋をよく洗い土を落とす
- 表面を乾かす(皮が剥きやすくなる)
- 赤芽芋の皮を少し剥く
- 赤芽芋の表面に塩をまぶし、ぬめりをとる
- 米のとぎ汁に酢を少々入れ、赤芽芋をサッと茹でる
保存方法
常温保存(短期)
泥付きのままであれば、風通しのよい冷暗所で保存が可能です。
直射日光や高温多湿を避けて、新聞紙などに包んで保存すれば 3〜5日程度もちます。
冷蔵保存(要注意)
里芋類は 冷蔵に弱く傷みやすいため、冷蔵保存は基本的におすすめされません。
どうしても必要な場合は、皮付きのまま新聞紙で包み、野菜室で2〜3日程度に留めましょう。
冷凍保存(下処理後)
皮をむいて下茹でしてから冷凍するのがベスト。
冷凍しても味や食感の劣化は少なく、約1か月保存可能です。
主な品種群
- セレベス
- 大吉芋
- 赤目大吉
赤芽芋と相性の良い食材
- セレベス × 鶏肉
→ だしとの相性が良く、やわらかく煮込むことで旨みが染み込む。 - セレベス × 豚バラ肉
→ セレベスのねっとり感と豚の脂がよく合い、甘辛煮にするとご飯が進む一品に。 - セレベス × こんにゃく
→ 歯ごたえのあるこんにゃくと対照的な食感が楽しめ、煮物にアクセントを加える。 - セレベス × にんじん
→ 彩りがよく、どちらも煮崩れしにくいため煮物に最適。甘みのバランスも良い。 - セレベス × 長ねぎ
→ ねぎの香味とセレベスの素朴な風味が相性抜群。味噌汁やいも煮に。 - セレベス × 味噌
→ 風味の強い味噌と赤芽芋のほっくり感がよく合い、田楽や味噌煮にぴったり。 - セレベス × 生姜
→ 生姜の香りが芋の土っぽさを和らげ、煮物に清涼感をプラス。 - セレベス × 柚子
→ 仕上げに添えることで香りが立ち、上品な一皿に。煮物や汁物におすすめ。
セレベスの栄養素
セレベスの食品成分表|「日本食品標準成分表
あかめいも(水煮)セレベス
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 水煮 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 25 | 0 | % |
| エネルギー | 80 | 77 | ㎉ |
| 水分 | 76.4 | 77.5 | g |
| タンパク質 | 2.2 | 2.1 | g |
| 脂質 | 0.3 | 0.3 | g |
| 食物繊維(総量) | 2.3 | 2.2 | g |
| 炭水化物 | 19.8 | 19.1 | g |
| ナトリウム | – | 0 | ㎎ |
| カリウム | 660 | 510 | ㎎ |
| カルシウム | 18 | 17 | ㎎ |
| マグネシウム | 29 | 24 | ㎎ |
| リン | 97 | 82 | ㎎ |
| 鉄 | 0.6 | 0.6 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.7 | 0.8 | ㎎ |
| 銅 | 0.15 | 0.12 | ㎎ |
| マンガン | 0.32 | 0.31 | ㎎ |
| ヨウ素 | 1 | – | ㎍ |
| セレン | – | – | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | 24 | 20 | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.6 | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.10 | 0.08 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.03 | 0.02 | ㎎ |
| ナイアシン | 1.7 | 1.5 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.21 | 0.16 | ㎎ |
| ビタミンB12 | – | – | ㎍ |
| 葉酸 | 28 | 23 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.48 | 0.38 | ㎎ |
| ビオチン | 3.0 | 2.7 | ㎍ |
| ビタミンC | 6 | 4 | ㎎ |
セレベスは、里芋の中でも特にホクホクとした食感が特徴ですが、栄養面でも非常に優秀です。100gあたり80kcalとヘルシーながら、身体のコンディションを整える成分がバランスよく含まれています。特に注目していただきたい3つの栄養素について解説します。
お腹の調子を整える「食物繊維」
セレベスには100gあたり2.3g(生)の食物繊維が含まれています。 この数値は里芋類の中でも安定しており、あの独特のホクホク感を生み出す源でもあります。日々のスッキリとしたリズムを維持したい方や、食事の満足感を高めたい方に欠かせない栄養素です。▶食物繊維の働きと効率的な摂り方はこちら
代謝をサポートする「ビタミンB6」
エネルギーの活用を助けるビタミンB6(0.21mg)が含まれているのも、セレベスの強みです。 ビタミンB6は、タンパク質を効率よく利用するために必要な栄養素で、毎日の活力を保ち、健康的な体作りを意識している方を内側からサポートしてくれます。▶ビタミンB6の重要性と健康への関わりについて
身体の働きを助ける「モリブデン」
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、モリブデン(24µg)という微量ミネラルもしっかり含まれています。 モリブデンは、体内の様々な酵素の働きを助ける「仕事人」のようなミネラルです。健やかな毎日を過ごすためのベース作りとして、旬の時期にしっかり取り入れたい成分です。▶モリブデンの役割と不足させないコツとは?

現役和食調理師のヒント
成分表を比較して分かる通り、セレベスは「生」と「水煮」で栄養価があまり変わりません。これは、セレベスが煮崩れしにくく、栄養が芋の中にしっかり留まる性質を持っているからです。
赤芽芋(あかめいも)の英語・漢字表記

「赤芽芋(あかめいも)」は、里芋の一種で、茎の付け根が赤紫色なのが特徴。
英語圏では一般的に「taro(タロイモ)」に分類されるが、日本で流通している「セレベス(Celebes)」という品種名がそのまま使われることもあります。「セレベス」という名はインドネシアの旧称「セレベス島(現スラウェシ島)」に由来。
まとめ
セレベス(赤芽芋)で冬の食卓を豊かに
独特のホクホク感と、赤い芽が特徴のセレベス。その魅力を改めて振り返ります。
- 旬は11月〜2月
年内の「掘り立て」はホクホク、年明けの「貯蔵品」は甘みが強く煮崩れしにくいのが魅力です。 - 栄養面も優秀
食物繊維やビタミンB6など、日々の健康を支える成分が凝縮されています。 - 調理のコ
ぬめりが少なく扱いやすいため、煮物はもちろん、コロッケやサラダなど幅広い料理で活躍します。
冬の寒さの中で甘みを蓄えたセレベスは、この時期にしか味わえない特別なご馳走です。
調理師の知恵:忙しい夜を救う「セレベス」の活用術
セレベスのように「煮崩れしにくい」食材は、実は忙しい現代人の強い味方です。一度にまとめて煮ておけば、味が染みてさらに美味しくなり、数日間にわたって食卓を支えてくれます。現役の調理師として25年以上、数千回と献立を考えてきましたが、毎日一から完璧に作る必要はありません。
「仕事で疲れて、キッチンに立つ気力すら残っていない……」 「でも、レトルトばかりではなく、少しは身体に良いものを食べたい」そんな葛藤を抱えているなら、プロが実践している「賢い手抜き」と「ストックの技術」を取り入れてみてください。
▼残業続きで、夕飯作りを10分で終わらせたい方へ セレベスの煮物のような「ストック」をどう活用すれば、帰宅後すぐに温かい食卓を囲めるのか。調理・購入・備蓄の3つの視点から、プロのコツを伝授します。▶残業後の夕飯は10分で完成。作る・買う・ストック術【調理師が解説】
