ぜんまいとは?旬・特徴・栄養・食べ方を調理師がやさしく解説|保存方法・英語表記付き

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春の山菜として知られる「ぜんまい」
どんな味?
あく抜きは必要?
どうやって食べるの?

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

ぜんまいは、春の山野に自生する多年草で、ほろ苦さと独特の香りが特徴の山菜です。
旬は4月〜5月頃で、ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含み、整腸作用やデトックス効果が期待できます。
食べる際はアク抜きと下ごしらえが必須で、煮物・ナムル・炒め物・おひたしなど、幅広い料理に活用できます。

この記事では、ぜんまいの特徴・旬の時期・アク抜き方法・保存法(冷蔵・冷凍・乾燥)・栄養素・相性の良い食材・英語表記まで、調理師の視点でわかりやすく解説します。
春の味覚「ぜんまい」を、おいしく安全に楽しみましょう。


📌 このページでわかること

  • ぜんまいの特徴・味わい
  • 旬の時期と選び方
  • アク抜き・下ごしらえのコツ
  • 冷蔵・冷凍・乾燥の保存法
  • 栄養素と食べ合わせ
  • 英語・漢字表記

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ぜんまいの旬~おいしい時期~

ぜんまい

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

ぜんまいとは?~解説~

ぜんまいは、ゼンマイ科ゼンマイ属の多年生シダ植物で、
日本では本州から九州までの里山や山地、亜高山帯に広く自生しています。
春になると、くるりと巻いた**若芽(新芽)**が顔を出し、これが山菜として食用にされます。


🔹 生態・特徴
多年草のシダ植物
で、湿り気のある斜面や沢沿いに群生。
雄株・雌株がある
 - 雄株:綿毛が多く、ざらついた手触りで食用にはあまり向かない
 - 雌株:茎が太く、表面がなめらかで食味が良いとされる
春の若芽は「山菜の代表格」として親しまれ、食用の際はアク抜きが必須です。


🔹 味わい・食感
ほのかな苦味と山菜特有の香り
があり、自然の恵みを感じる上品な風味。
茹でてもクタクタにならず、わずかにコリッとした歯ごたえが残るのが特徴。
素朴でやさしい味わいが、煮物や和え物などに良く合います。


🔹 食用文化・活用例
日本では、おひたし・煮物・炒め物・ナムルなどに使われ、特に春の季節料理として人気があります。韓国では「고사리(ゴサリ)」と呼ばれ、ナムルやビビンバの具材として欠かせない存在です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

ぜんまいは、春の山菜らしいほろ苦さと香りが魅力。
下ごしらえでしっかりアクを抜くと、素材の風味がぐっと引き立ちます。
煮物やナムルなど、味をじっくり染み込ませる料理がおすすめです。

ぜんまいのアク抜き・下ごしらえのコツ

ぜんまいは、強いアク(苦味・渋み)を含むため、適切なアク抜き(下ごしらえ)が欠かせません。丁寧に処理することで、やさしい風味と食感を楽しめます。

下ごしらえ

① 下準備

  1. ぜんまいの綿毛を手でやさしく取り除く(気になる場合)
  2. 長すぎる場合は、食べやすい長さに切る

② 熱湯で下ゆで

  1. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、小さじ1(1Lあたり)の重曹を加える
  2. 沸騰した湯にぜんまいを入れ、1~2分ほどサッと茹でる
  3. すぐに火を止め、熱湯ごとフタをして一晩おく(約8時間)
     → ゆっくり冷ますことでアクが抜け、やわらかくなる

③ 翌日、水洗い

  1. 翌朝、水を捨ててきれいな水で洗う
  2. 再びきれいな水に数時間さらす(2~3回水を替える)
     → 苦味やえぐみがやわらぐ

あくぬきのポイント

ポイント解説
重曹の量多すぎると苦味が残る。1Lに小さじ1が目安。
ゆで時間長く茹ですぎると風味が失われるので短時間でOK。
冷ます時間一晩ゆっくり冷ますと、やさしくアクが抜ける。
水さらし翌日に数回水替えをして、えぐみをしっかり抜く。
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現役和食調理師のヒント

ぜんまいはアク抜きが命
ゆっくり冷ますことで、独特の苦味がやわらぎ、風味が引き立ちます
強火でグラグラ煮るのではなく、じんわり冷ますのがコツです。

保存方法

【冷蔵保存】

  • アク抜き後、水に浸して密閉容器で保存(毎日水替え)
  • 保存期間は約2〜3日
  • 注意点:早めに使い切る。香りやぬめりに注意

【冷凍保存】

  • アク抜き後、サッと下ゆで → 水気を切って1回分ずつラップ → 密閉袋で冷凍
  • 保存期間は約1か月
  • 注意点:水分をしっかり拭き取る。再冷凍不可

【乾燥保存】

  • 下ゆで後に風通しの良い場所で数日干し、カラカラに乾かす
  • 保存期間は約半年〜1年
  • 注意点:湿気を避けて保存。戻すときは半日〜一晩かける
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現役和食調理師のヒント

冷蔵は“すぐ使う、冷凍は1か月以内に使う、乾燥は長期保存したいとき。
乾燥させると旨味が凝縮して、煮物にしたときに格段に美味しくなります。

ぜんまいと相性の良い食材

食材例相性の理由・使われ方
油揚げ
厚揚げ
豆腐
甘辛く煮付けた際に、豆のコクとぜんまいの淡い苦味が調和。例:ぜんまいと厚揚げの煮物
たけのこ
人参
食感や風味の変化を持たせられる。例:ぜんまいと筍の煮物
干し椎茸旨味(グルタミン酸)が加わって味に深みが出る。五目煮に椎茸を使う例あり
こんにゃく煮物でのつなぎ・かさ増しに使われる。食感のコントラストになる
豚肉甘辛味との相性がよく、程よいコクを与える例もあり
わらび同じ山菜同士で風味が調和し、煮物などで組み合わせられる

ぜんまいの栄養素(食品成分表)

ぜんまい 若芽
可食部100g当たり

栄養素ゆで単位
廃棄率0%
エネルギー17
水分94.2g
タンパク質1.1g
脂質0.4g
食物繊維(総量)3.5g
炭水化物4.1g
ナトリウム2
カリウム38
カルシウム19
マグネシウム9
リン20
0.3
亜鉛0.4
0.10
マンガン0.22
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)420
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)0.5
ビタミンK34
ビタミンB10.01
ビタミンB20.05
ナイアシン0.7
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸59
パントテン酸0.12
ビオチン
ビタミンC2
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」
栄養素含有量(ゆで)ひとこと評価
食物繊維(総量)3.5 g山菜の中でも豊富。腸内環境の改善に役立つ。
β-カロテン420 µg抗酸化作用があり、体内でビタミンAに変換。
葉酸59 µg細胞の生成・造血に関与。春の山菜らしい特徴。
ビタミンK34 µg骨の健康維持・血液凝固に関わる。
マンガン0.22 mg酵素の働きを助けるミネラル。野菜類として良水準。

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

ぜんまいの英語・漢字表記

「ぜんまい」は、という漢字で表されます。
古くから春の山菜として親しまれており、巻き状の若芽が特徴です。
ぜんまいの英名はJapanese royal fernまたはJapanese flowering fernとなります。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで【食×英語】野菜と果物180種の英単語&漢字一覧表まとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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