八頭(やつがしら)とは?里芋との違いや栄養・選び方・保存方法を解説

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八頭(やつがしら)の旬 ~おいしい時期~

やつがしら

八頭(やつがしら)の旬は晩秋から冬(10月〜2月)にかけてです。
特にお正月料理に欠かせない縁起物として扱われることから、年末年始の時期が最も需要が高まる時期でもあります。気温が下がる晩秋から収穫が始まり、寒さとともに旨みとホクホク感が増していきます。煮崩れしにくいため、おせち料理の煮しめや煮物に最適です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

八頭は「頭が出る=出世」の意味を込めて、お正月に食べられることが多い縁起物。柔らかすぎず煮崩れにくいので、煮しめに入れると見栄えも良く、味もしっかり入ります。

八頭(やつがしら)とは ~解説~

八頭 やつがしら(Yatsugashira)

八頭(やつがしら)は、サトイモ(里芋)の一種で、「親芋と子芋がたくさんつく」特徴を持つことから「八つの頭=八頭」と呼ばれるようになりました。主に関東地方を中心に栽培されており、煮物などに重宝される和食の定番野菜です。

通常の里芋とは異なり、親芋が大きく食用になるため、親芋も子芋も一緒に調理できます。ホクホクした食感で粘りは少なく、しっかりした歯ごたえが特徴です。

八頭と里芋の違いは?

項目八頭里芋(一般的)
主に食べる部分親芋
子芋両方
子芋のみ
食感ホクホク
粘り少なめ
ねっとり
粘りあり
主な用途煮物
(煮しめなど)
汁物、煮物
和え物
栽培地関東地方が中心全国各地
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「ねばり」を求める料理には不向きですが、八頭は煮物にしても形が崩れにくく、味が染みやすいため、おせち料理やお祝い膳に向いています。

八頭の保存方法

八頭は水分を多く含むため、湿気や乾燥に弱く、適切な保存が大切です。以下のポイントを参考に、鮮度を保ちましょう。

常温保存(短期)
保存期間の目安:3〜5日程度
新聞紙などに包み、風通しのよい冷暗所に置く
芽が出やすいため、できるだけ早めに使い切りましょう

冷蔵保存(1週間以内)
泥つきのまま新聞紙に包み、ポリ袋に入れて野菜室へ
泥を落とすと傷みやすくなるため、使う直前まで洗わないのがポイントです

冷凍保存(保存期間目安:1か月)
皮をむき、下ゆでしてから冷凍保存すると、調理しやすくなります
小分けにしてラップし、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ

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下処理してから冷凍すると、煮物や汁物にすぐ使えて便利。ただし、食感は多少やわらかくなりますので、煮崩れに注意してください。

八頭の品種群|主な品種と特徴

八頭(やつがしら)は、サトイモの一種で、親芋と子芋が密着して肥大化するのが特徴です。地域によって異なる呼び名や品種があり、風味や用途にも違いがあります。

主な品種・系統

品種名特徴
八つ頭(やつがしら)親芋と子芋が一体となって大きく育つ。煮崩れしにくく、粘りがある
京いも関西で栽培される大きな品種。八頭に似ているが、やや味があっさり
唐の芋(とうのいも)主に島根県などで栽培。八頭系で、やや小ぶり。粘りが強い

※「八頭」と「八つ頭」は混同されがちですが、どちらも同様の特徴を持つサトイモ類で、地域によって呼び方が異なります。

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「八頭」はお正月料理に欠かせない煮しめなどで重宝されます。煮込んでも煮崩れしにくく、見栄えもよいため、お祝いの席に向いています。

八頭を使った料理

八頭(やつがしら)は粘りとホクホク感を併せ持つ食材で、煮崩れしにくいため、煮物をはじめとした和食でよく使われます。とくに縁起物としておせち料理に登場することが多いのが特徴です。

八頭を使った代表的な料理

料理名説明
八頭の含め煮だしと醤油でじっくり煮て味を含ませる。おせち料理の定番。
八頭の煮しめにんじん・れんこん・こんにゃくなどと一緒に煮る、正月や祝い事の定番料理。
八頭の揚げ煮下ゆでした八頭を素揚げし、だし醤油に浸す。表面は香ばしく、中はホクホク。
八頭のそぼろあんかけ茹でた八頭に鶏そぼろ入りのあんをかける、子どもにも人気の一品。

ポイント

  • 味がしみやすいよう下茹でをしてから煮るのがコツ。
  • 包丁で切ると粘りが出るため、手で割ると煮崩れを防ぎやすい
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現役和食調理師のヒント

「八頭」は食卓に縁起を込める料理として重宝されます。私は、おせちの煮しめには毎年欠かさず使っています。味を含ませるには弱火でゆっくり煮るのがポイントです。

八頭(やつがしら)の栄養素 ~食品成分表~

八頭(やつがしら)は主にでんぷんを多く含むイモ類であり、腹持ちの良い食材です。ムチンやガラクタンといった水溶性食物繊維が含まれ、胃腸へのやさしさでも知られています。

栄養のポイント

  • カリウムが豊富(640mg):塩分の排出を助け、高血圧予防にも。
  • 水溶性食物繊維を含む:ぬめり成分が整腸作用に期待。
  • 低脂質・低カロリー:煮物にしてもヘルシー。

やつがしら(水煮)球茎
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー92
水分75.6g
タンパク質2.7g
脂質0.6g
食物繊維(総量)2.8g
炭水化物20.0g
ナトリウム1
カリウム520
カルシウム34
マグネシウム39
リン56
0.6
亜鉛1.3
0.21
マンガン1.25
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン1
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)1.1
ビタミンK
ビタミンB10.11
ビタミンB20.04
ナイアシン0.5
ビタミンB60.17
ビタミンB12
葉酸30
パントテン酸0.49
ビオチン2.6
ビタミンC5
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

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八頭(やつがしら)の英語表記と漢字表記

  • 漢字表記:八頭
  • 英語表記:Yatsugashira(読みをそのままローマ字表記)
  • 英語圏での表現例:Taro root、Japanese taro(※一般的な里芋との区別がない場合が多い)

英語では「Yatsugashira」という固有名が知られていないことが多く、一般的には「Taro root」や「Japanese taro」と訳されることがあります。ただし、八頭は里芋(taro)の一種であり、特に親芋と子芋が密着して丸ごと食べられる品種であることから、調理用途や味の面で独自性があります。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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