山椒の実の下処理と保存|塩漬け・醤油漬け・佃煮の作り方を調理師が解説

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初夏のほんの短い時期だけ出回る青山椒(実山椒)。ピリッとした辛みと爽やかな香りが持ち味ですが、そのままでは日持ちしません。でも、下処理をして塩漬けや醤油漬けにしておけば、一年を通じてその香りとしびれを楽しめます。

この記事では、調理師歴25年の私が、実山椒の基本の下処理(あく抜き)から、塩漬け・醤油漬け・ぬか床・佃煮といった保存食の作り方までを、順を追って解説します。旬や相性の良い料理、保存のコツもまとめました。

山椒の実の下処理と保存・加工レシピ

初夏のほんの短い時期に出回る青山椒(実山椒)は、下処理をして保存食にしておけば、一年を通じて楽しめます。ここでは、基本のあく抜きから、塩漬け・醤油漬け・ぬか床・佃煮まで、調理師の視点で解説します。ピリッとした辛みと爽やかな香りを、季節を越えて味わいましょう。

青山椒(実山椒)の下処理・あく抜き

まずは、すべての保存食の土台になる下処理です。青山椒は生のままだと辛みとえぐみが強いので、下ゆでしてあくを抜きます。

手順

  1. 実についた小枝を、手やはさみで取り除く(かたい枝だけ取れば十分。やわらかい軸は残してよい)
  2. 水を2〜3回替えながら洗い、汚れを落とす
  3. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を少々加える
  4. 実山椒を入れ、中火で6〜8分ゆでる(指の腹で潰せるくらいのやわらかさが目安)
  5. ざるにあげ、冷水にとる
  6. 水を替えながら、30分〜1時間ほど水にさらしてあくを抜く
  7. ざるにあげ、水気をしっかり拭き取る
調理師
調理師

辛さとしびれは、水にさらす時間で調整できます。ピリッと強めが好きなら短めに、まろやかにしたいなら長めにさらします。収穫からの鮮度でかたさが違うので、実際に一粒食べて、ゆで加減とさらし時間を決めるのが確実です。

下処理した実山椒はこのあとの保存食に使うほか、そのまま冷凍しておけば、凍ったまま少量ずつ料理に使えて便利です。冷凍で半年〜1年ほど保存できます。

山椒の実の塩漬け

もっともシンプルで、アレンジがきく保存食です。薬味や味のアクセントに幅広く使えます。

材料

  • 下処理した実山椒 100g
  • 塩 20g(実の重量の20%程度)

作り方

  1. 下処理して水気をしっかり拭いた実山椒と塩を混ぜ合わせる
  2. 清潔な保存容器に入れる
  3. 冷蔵庫で保存する
調理師
調理師

塩をしっかり効かせると長持ちします。使うときは、そのまま刻んで薬味に、または塩を洗い流して料理に加えます。冷蔵で数か月、小分け冷凍ならさらに長く保存できます。

山椒の実の醤油漬け

ご飯のお供や冷奴、和え物の風味づけに重宝する、常備菜の定番です。「山椒 しょうゆ」で探す人にもおすすめの一品です。

材料

  • 下処理した実山椒 100g
  • 醤油 100ml
  • 酒 大さじ2(煮切っておく)

作り方

  1. 酒を小鍋で軽く煮立たせ、アルコールを飛ばす(煮切り)
  2. 煮切った酒と醤油を合わせ、冷ます
  3. 下処理した実山椒を保存容器に入れ、調味液を注ぐ
  4. 冷蔵庫で数日おいて味をなじませたら食べ頃
調理師
調理師

漬け込んだ醤油自体も「山椒醤油」として使えます。冷奴や刺身、炒め物にひと垂らしすると、爽やかな香りとしびれが加わります。実と醤油、両方を活用できるのがこの保存食の良いところです。冷蔵で半年ほど日持ちします。

ぬか床に山椒を入れる

ぬか床に実山椒を加えると、香りづけと風味の引き締めになります。「ぬか床 山椒」で探す人にも役立つ使い方です。

下処理した実山椒を、ひとつかみぬか床に混ぜ込むだけです。山椒の爽やかな香りがぬか床全体に移り、漬けた野菜がぐっと上品な味わいになります。防腐を助ける働きもあるとされ、昔から夏のぬか床によく使われてきました。

調理師
調理師

入れすぎると香りが強くなりすぎるので、最初は少なめから。塩漬けにした実山椒を使う場合は、ぬか床の塩加減を見ながら調整してください。

ちりめん山椒・佃煮

下処理した実山椒があれば、定番のちりめん山椒や佃煮も手軽に作れます。

ちりめん山椒はちりめんじゃこと実山椒を醤油・みりん・酒でさっと炒り煮にするだけ。佃煮は昆布などと一緒に甘辛く煮含めます。どちらもご飯が進む常備菜で、冷蔵で1〜2週間ほど保存できます。

調理師
調理師

実山椒は香りが飛びやすいので、炒め煮の仕上げに加えて手早く仕上げるのがコツです。長く煮すぎず、香りを残すことを意識してください。

これらの保存食を仕込んでおけば、旬を過ぎても一年中、山椒ならではの香りとしびれを楽しめます。青山椒を見かけたら、ぜひ下処理から挑戦してみてください。

山椒の旬~おいしい時期~

木の芽・花山椒の旬は3月から5月ごろ

旬カレンダー(1月〜12月)※色が付いている月が旬の目安です。

青山椒・山椒の旬は6月から7月ごろ

旬カレンダー(1月〜12月)※色が付いている月が旬の目安です。

割山椒の旬は10月から11月ごろ

5月の旬食材をまとめて把握するなら、この保存版一覧表が便利です▶【保存版】5月|旬の野菜と果物【一覧表】

山椒とは?~野菜の解説~

山椒の写真。旬や特徴、栄養について解説します。
山椒。旬の時期や栄養素については本文で詳しく解説しています。

山椒(さんしょう)は日本原産のミカン科サンショウ属の植物で、古くから香辛料や薬味として親しまれてきました。
特徴は爽やかで刺激的な香りピリッとしびれる辛さ(サンショオールという成分による) です。
利用できる部位は幅広く

春の若葉(木の芽)
初夏の若い実(青山椒)
秋に完熟した実(赤山椒)
乾燥させて粉にした粉山椒

などがあり、料理によって使い分けられます。特に、青山椒は煮物や佃煮に、粉山椒はうなぎの蒲焼きや汁物の薬味として欠かせません。実の外皮を用い、中の種は取り除くのが一般的です。

山椒の木は 雌雄異株(雄株と雌株があり、実をつけるのは雌株のみ)で、日本各地に在来品種が存在します。地域によって香りや辛みが微妙に異なるのも魅力です。

栄養面では・・・
食物繊維や鉄・カルシウム・カリウム・マグネシウムといったミネラル類、ビタミンB群(B1・B2・ナイアシンなど)が含まれています。また、香りやしびれのもととなるサンショオールやリモネンといった香気成分も豊富です。使用量は少量でも風味が強く、料理のアクセントとして重宝されています。

相性の良い食材

食材の種類相性の理由
うなぎ脂の強さを山椒の香りと辛味が引き締める
鶏肉脂の旨みと山椒の清涼感が好相性
牛肉
豚肉
脂のコクをさっぱりさせ、香りを引き立てる



さわら
青魚や川魚のクセを和らげる
豆腐淡泊な味に香りを添えてアクセントに
ご飯
麺類
シンプルな味に香りと辛味が映える
漬物塩味や酸味に香りが調和する
なす
ごぼう
野菜の甘みや土っぽい香りと好相性
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

山椒は、魚介の脂やクセを和らげてくれる“香りの名脇役”です。特に青魚や川魚は、山椒をひと振りするだけでぐっと上品な味わいに変わります。使いすぎず、「あと一口食べたくなる香り付け」 がコツですよ。

山椒とよく合う調理法

調理法具体的な料理例
焼き物うなぎの蒲焼き+粉山椒
焼き鳥の山椒添え
煮物ぶり大根+粉山椒
鯖の味噌煮
炊き込みご飯山椒ご飯
佃煮を混ぜた炊き込みご飯
漬物
佃煮
山椒の実の醤油漬け
ちりめん山椒
汁物味噌汁
貝汁
吸い物に粉山椒
揚げ物天ぷらの薬味
唐揚げの仕上げ
発酵食品山椒味噌
山椒醤油漬け
中華料理麻婆豆腐
回鍋肉に粉山椒
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

山椒は、「脂を切る」「旨みを引き立てる」 という役割が得意です。加熱すれば香りはやや飛びますが、粉山椒や青山椒を仕上げに加えることで、料理の印象がぐっと変わります。使い方次第で和食だけでなく中華にも応用できる万能調味料ですよ。

保存方法:木の芽・山椒の実・粉山椒

木の芽(山椒の葉・若芽)の保存方法

  • 冷蔵保存(短期)
    まず葉を傷めないようやさしく洗い、水気をよく切ってキッチンペーパーで包みます。保存袋やラップに入れ、野菜室など湿度が高めで冷温な場所で保存します。こうすると乾燥を防ぎ、香りや色合いを保ちやすくなります。
  • 冷凍保存(中長期)
    使いやすいように小分けして保存します。葉を洗って水気を切った後、ラップで空気をできるだけ抜いて包み、冷凍庫へ。使うときは凍ったまま刻んだり、加熱調理にそのまま使うことができます。
  • 乾燥して粉にする
    葉を天日または低温でじっくり乾燥させ、完全に水分が飛んだらすり鉢やミルで粉末にします。粉山椒と同様に保存できます。こうすると、長期間香りを保てます

山椒の実の保存方法(青山椒・熟した実)

  • 下処理(アク抜き)
    収穫した実はまず葉や枝を取り除き、ざっと洗います。次に塩入りの熱湯で茹でてから冷水にさらしてアクを抜き、水気をよく切る工程が基本です。
  • 冷凍保存(最も一般的)
    下処理後に水気をできる限り拭き取り、ジッパー付き保存袋などに空気を抜いて小分けにして冷凍保存します。こうすると香りや風味を長く保つことができ、1年程度持たせる例もあります。
  • 乾燥・粉山椒に加工
    青実を天日干ししてしっかり乾燥させ、実が割れて種が飛び出すようになったら種を取り除き、外皮を粉砕して「粉山椒」にします。こうすれば長期保存が可能です。
  • 佃煮・醤油漬けなど保存食化
    下処理した実を醤油漬けや甘辛の煮汁で調理して佃煮にして保存する方法もあります。こうすれば冷蔵庫で数ヶ月保存でき、調味料としてすぐ使える状態になります。

粉山椒(粉末)の保存方法

  • 密閉保存が基本
    粉山椒は、空気や湿気に触れると香りが飛びやすいため、できるだけ密閉できる容器(瓶・ビン・密閉袋など)で保存することが重要です。
  • 冷蔵 or 冷凍保存
    できれば冷蔵庫または冷凍庫で保存するのが望ましく、冷温環境であれば風味の劣化を抑えることができます。
  • 使い切る目安
    風味が徐々に落ちていくため、購入または作成後は 3か月以内 に使い切ることが推奨されています。

山椒の栄養素(食品成分表)

さんしょう(粉)香辛料
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー375
水分8.3g
タンパク質10.3g
脂質6.2g
食物繊維(総量)g
炭水化物69.6g
ナトリウム10
カリウム1700
カルシウム750
マグネシウム100
リン210
10.0
亜鉛0.9
0.33
マンガン
ヨウ素32
セレン6
クロム21
モリブデン19
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)
ビタミンK
ビタミンB10.10
ビタミンB20.45
ナイアシン2.8
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸
パントテン酸
ビオチン27.0
ビタミンC
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

100g基準だが“ふりかけ量”で換算すると…

粉山椒はスパイスなので摂取量はごく少量(例:ひとふり約0.3g)です。実際の摂取相当は以下のイメージ。

  • エネルギー:約1.1 kcal(375 kcal × 0.003)
  • 炭水化物:約0.21 g(69.6 g × 0.003)
  • カリウム:約5.1 mg(1,700 mg × 0.003)
  • カルシウム:約2.25 mg(750 mg × 0.003)
  • 鉄:約0.03 mg(10.0 mg × 0.003)

ポイント整理

  • 100g当たりではカリウム・カルシウム・鉄などのミネラルが非常に高い水準。
  • ただし実使用量は微量のため、栄養摂取への寄与は限定的。粉山椒は主に香り・辛み付け(風味付与)が役割
  • ナトリウム10 mg/100gと塩分はほぼ気にしなくてよいレベル。

さんしょうの漢字・英語表記

漢字表記:山椒
英語表記:Japanese pepper / Japanese prickly ash
発音記号:/dʒæpəniz ˈpɛpər/
読み方:ジャパニーズ・ペッパー

時期や形状による英語表記

春の若葉
(木の芽)
young sansho leaves
kinome
青山椒
(未成熟実)
green sansho berries
green sansho
young berries
赤山椒
(成熟実)
red sansho berries
ripe sansho
粉山椒sansho powder
ground sansho

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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