暑くなってくると特に注意が必要なのが「食中毒」です。
この記事では、夏に増える細菌性食中毒を中心に、症状・原因菌・潜伏期間・予防法までを網羅的に解説します。
✅ よくある症状は?
✅ どの菌が危ない?
✅ どうやって防げる?
調理師歴25年の視点から、現場で実際に注意しているポイントも紹介。
「家庭でできる予防法」とともに、すぐに役立つ情報をお届けします。
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代表的な食中毒(一覧)
腸炎ビブリオ菌
症状:腹痛・下痢・嘔吐
原因食品:刺身・漬物
潜伏期間:8~15時間
備考:
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サルモネラ菌
症状:発熱・腹痛・下痢
原因食品:生卵、鶏肉
潜伏期間:6~72時間
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カンピロバクター
症状:発熱・腹痛・下痢
原因食品:生水、鶏肉
潜伏期間:30時間~6日
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ボツリヌス菌
症状:麻痺・呼吸困難
原因食品:缶詰・はちみつ
潜伏期間:2時間~8日
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ウエルシュ菌
症状:腹痛・下痢
原因食品:煮物・スープ
潜伏期間:8~22時間
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黄色ブドウ球菌
症状:下痢・嘔吐
原因食品:おにぎり・弁当
潜伏期間:1~6時間
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セレウス菌
症状:下痢・嘔吐
原因食品:焼き飯・煮物
潜伏期間:30分~16時間
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病原大腸菌
症状:腹痛・下痢・血便
原因食品:生肉・野菜
潜伏期間:
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ふぐ中毒
症状:麻痺・呼吸困難
原因食品:河豚の内臓
潜伏期間:30分~3時間
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エルシニア
症状:発熱・腹痛
原因食品:豚肉・飲料水
潜伏期間:2~3日
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リステリア
症状:発熱・筋肉痛・流産
原因食品:チーズ、サラダ
潜伏期間:24時間~数週間
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ノロウイルス
症状:微熱・下痢・嘔吐
原因食品:牡蠣・二枚貝
潜伏期間:1~3日
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貝毒
症状:麻痺・しびれ
原因食品:ルーム貝・帆立
潜伏期間:ー
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植物性食中毒
症状:嘔吐・神経症状
原因食品:毒キノコ・青梅
潜伏期間:ー
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科学性食中毒
症状:腹痛・しびれ
原因食品:漂白剤・ヒスタミン
潜伏期間:ー
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症状から探す(逆引き一覧)
▼ 激しい腹痛・水様性の下痢
- 腸炎ビブリオ
┗ 海鮮・刺身関連、激しい腹痛 - カンピロバクター
┗ 生焼け鶏肉、数日後に下痢と腹痛 - サルモネラ
┗ 卵・鶏肉、発熱も伴いやすい - 病原性大腸菌(O157など)
┗ 水のような下痢〜血便も
▼ 発熱を伴う下痢・腹痛
- サルモネラ
- カンピロバクター
- 病原性大腸菌(O157など)
※ 発熱+下痢は「細菌性」を疑うべきサイン
▼ 食後“数時間以内”に症状が出る
- 黄色ブドウ球菌(1〜5時間)
- セレウス菌(嘔吐型:1〜6時間)
- ボツリヌス菌(12〜36時間)※重症
▼ 生もの・刺身を食べた後に症状
- 腸炎ビブリオ(特に夏)
- ノロウイルス(冬〜年間)
- アニサキス(激痛・食中毒扱いではないが多発)
▼ 鶏肉・焼き鳥・低温調理後に症状
- カンピロバクター
- サルモネラ
- 病原性大腸菌
▼ 加熱したのに食中毒?(再加熱・作り置き)
- ウエルシュ菌(カレー・煮込み・スープ類)
┗ 作り置き・鍋を冷やしきれない時に増えやすい - セレウス菌(炒飯・ピラフ)
潜伏期間から探す(逆引き一覧)
食中毒は「症状が出るまでの時間(潜伏期間)」によって原因となる菌をかなり絞り込むことができます。特に 発症の早さ=毒素型の可能性が高い ため、食後から何時間・何日で症状が出たかが非常に重要です。
🕒 発症まで 1〜5時間以内で症状が出た
→ 毒素型の食中毒の可能性が高い
- 黄色ブドウ球菌(1〜5時間)
┗ 弁当・おにぎり・菓子パン
┗ 急激な嘔吐
👉 詳しく見る - セレウス菌(嘔吐型:1〜6時間)
┗ ピラフ・炒飯・作り置きご飯
┗ 嘔吐中心
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※ この時間帯の発症は ほぼ「毒素型」。
🕒 発症まで 6〜12時間
- サルモネラ(6〜48時間)
┗ 卵、鶏肉、食肉
┗ 発熱+下痢
👉 詳しく見る - 腸炎ビブリオ(12〜24時間)
┗ 海鮮・刺身
┗ 激しい腹痛
👉 詳しく見る
※ この時間帯は “細菌性” の典型。
🕒 発症まで 12〜24時間
- 腸炎ビブリオ(12〜24時間)
- サルモネラ(6〜48時間)
- セレウス菌(下痢型:8〜16時間)
┗ スープ・煮物・米飯
※ 食後 “1日以内” の発症は海鮮・卵・鶏肉が原因になりやすい。
🕒 発症まで 1〜2日(24〜48時間)
- サルモネラ
- 病原大腸菌(O157など)
┗ 激しい腹痛・血便
👉 詳しく見る - ウエルシュ菌(6〜24時間)
┗ カレー・シチューの作り置き
🕒 発症まで 2〜7日
→ ここは カンピロバクターの代表領域
- カンピロバクター(1〜7日)
┗ 鶏肉の生焼け、焼き鳥、低温調理
┗ 発熱+下痢
👉 詳しく見る
※ 1〜7日ほど幅が大きいが、鶏肉関連はほぼこれ。
食中毒とは?仕組みと原因

食中毒とは、食品に付着・混入した 細菌・ウイルス・自然毒・化学物質 などが体に入ることで、下痢・嘔吐・腹痛・発熱 などの症状を引き起こすことを指します。
主な原因は次の3つです。
- 細菌・ウイルス(もっとも多い原因)
- 自然毒(フグ毒・毒キノコ・貝毒など)
- 化学物質(ヒスタミン、漂白剤など)
細菌は 気温・湿度が高い夏(6〜9月)に増えやすく、ノロウイルスなどのウイルスは 冬(11〜2月)に流行しやすい のが特徴です。家庭でも飲食店でも起こり得るため、まず「どんな食中毒があるか」を知ることが予防の第一歩になります。
食中毒の種類(4分類)

食中毒は原因によって大きく4つの種類に分けられます。代表的なのは「細菌性」「ウイルス性」ですが、魚介類や植物による自然毒性、化学物質が原因となる科学性もあります。
細菌性食中毒(感染型/毒素型)
細菌性食中毒は、6〜9月の高温多湿な季節に特に多く見られます。以下の2つに分けられます。
- 感染型: 摂取した細菌が腸内で増殖して症状を引き起こす(例:腸炎ビブリオ、カンピロバクター)
- 毒素型: 食品中で細菌が作った毒素を摂取することで発症(例:ボツリヌス菌、セレウス菌)
自然毒食中毒(動物性/植物性)
自然界に存在する毒によって発生する食中毒です。フグや貝類などの動物由来、毒キノコや青梅などの植物由来に分けられます。加熱しても無毒化されないものもあり、知識不足による事故が多いのが特徴です。
ウイルス性食中毒(ノロウイルスなど)
冬場(11〜2月)に多く発生し、ノロウイルスが代表的です。わずかな量でも感染力が高く、手洗いや調理器具の衛生管理が重要です。人から人への二次感染にも注意が必要です。
科学性食中毒(ヒスタミン・添加物など)
誤って摂取した有害化学物質(ヒスタミン、漂白剤など)や、使用が禁止された添加物によるものです。食材の管理や加工工程でのミスが原因となることが多く、業務用食品で注意が必要です。
特に注意すべき食中毒菌とは?
食中毒を引き起こす菌やウイルスは多くありますが、その中でも 「重症化しやすい」「感染力が強い」「加熱しても防げない」 など、特に注意すべき菌・ウイルス がいくつか存在します。
注意したい理由とは?
- 重症化しやすい(子ども・高齢者・妊婦は特に注意)
- 感染力が非常に強い(少量でも発症)
- 加熱に強い菌や毒素がある
- 食卓でよく使われる食材に含まれることが多い
特に注意が必要な菌・ウイルス一覧
| 菌・ウイルス名 | 注意すべき理由 |
|---|---|
| カンピロバクター | 少量でも感染。鶏肉や焼き鳥などで多発。 |
| サルモネラ菌 | 卵・生肉などで注意。子どもは重症化しやすい。 |
| 腸管出血性大腸菌(O157など) | ベロ毒素を持ち、死に至ることも。二次感染にも注意。 |
| ノロウイルス | 冬場に流行。非常に感染力が強く、アルコールでは死滅しない。 |
| ボツリヌス菌 | 毒素型で最も危険な菌。缶詰や真空パックなどで発生しやすい。 |
現場からのアドバイス
肉類・魚介は加熱不足が最大のリスク。中心温度74℃1分が基本
見た目や臭いでは安全性は判断できない
食べた直後に症状が出るとは限らない(数日〜1週間の潜伏期間もあり)
“生”に近い調理法(レア・低温調理)には特に注意
家庭でできる予防対策【3原則】

食中毒を防ぐために、家庭で実践できる基本は
「つけない・ふやさない・やっつける」の3原則。
これは調理現場でも必ず守られている、大切な基本ルールです。
つけない
菌を持ち込まない、広げないことが第一歩。
- 調理前・トイレ後は必ず手洗い(指の間・爪の間まで)
- 肉や魚を切った包丁・まな板はしっかり洗浄・消毒
- 生の食材とサラダなどの非加熱食材を分けて扱う
- 食材の保存は密閉容器に入れて冷蔵保存
- エコバッグ・買い物カゴも定期的に洗浄
ふやさない
温度管理がポイント。常温放置は危険です。
- 調理後の食品はすぐ冷蔵庫へ(目安2時間以内)
- 食品は10℃以下、できれば5℃以下で保存
- お弁当・作り置きはしっかり冷ましてから保存
- 冷蔵庫は詰め込みすぎず、適切な温度管理を
やっつける
加熱が最強の対策。中心温度を意識しましょう。
- 加熱は中心温度75℃以上で1分以上が基本
- 冷凍食品も表示通りにしっかり加熱
- お湯で洗う・漂白剤などの殺菌処理も有効
- 台ふきんやスポンジは定期的に煮沸・交換

現役和食調理師のヒント
調理師として意識しているのは、「ちょっと面倒でも習慣にすること」
とくに暑くなる季節は、朝のお弁当づくりや夕食の作り置きなど、油断が重なるとリスクが一気に高まります。冷却グッズや除菌スプレーなどの衛生用品も、家庭に一つあると安心です。
参考HP→厚生労働省/食中毒
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