冬瓜のそぼろ餡|プロが教える“よくわかるレシピ”

煮物

やさしい味わいととろみのある餡が魅力の「冬瓜のそぼろ餡」。
冬瓜の透き通るような見た目に、鶏の旨味をまとわせた上品な一品です。

ただし、「冬瓜が硬い」「とろみがダマになる」「味がぼやける」といった失敗も多い料理。
原因は、下茹での加減と餡を仕上げるタイミングにあります。

現役和食調理師の結論は――
👉「冬瓜は少し硬めで火を止め、余熱で仕上げる」。

このひと手間で、形を保ちながら味がしっかり染み込みます。
冷やしても温かくてもおいしい、季節を問わず楽しめる万能煮物です。


よくある失敗と原因

  • 冬瓜が硬い → 下茹で不足
  • 冬瓜が崩れる → 火を入れすぎ
  • 餡がダマになる → 水溶き片栗粉の入れ方が速い
  • 味がぼやける → 塩加減不足または下味の弱さ
  • 味が濃い → 煮詰めすぎ or 分量間違い

材料

材料分量役割
冬瓜300g主素材。淡白な味で出汁をよく吸う
鶏ひき肉150g餡の旨味とコクを出す
生姜適量香りづけ・臭み消し
調味料分量割合役割
出汁400cc20旨味のベース
薄口醤油20cc1上品な塩味と香り
みりん40cc2甘味と照りを加える
5g0.25味の引き締め役

★鶏ひき肉の下味(150gに対して)

調味料分量割合役割
薄口醤油5cc1下味・香りづけ
みりん10cc2甘味と照り
5cc1臭みを取る

下処理

  • 冬瓜:ワタを取り、皮を厚めに剥いて3cm角に切る。皮目に細かく十字の切り込みを入れる。
     塩を軽く擦り込み、下茹で時に柔らかく仕上げる準備をする。
  • 鶏ひき肉:酒・みりん・醤油を合わせた鍋で炒り煮にし、下味をつけておく。
     ※ひき肉を炒めすぎるとパサつくため、中火でほぐすように。
  • 生姜:すりおろしておく。仕上げに加えると香りが立つ。

作り方(プロの合図つき)

  1. 冬瓜を下茹でする(中火)
    鍋に湯を沸かし、塩をひとつまみ入れる。
    冬瓜を加え、竹串がスッと通る程度まで茹でる(約7〜8分)。
    🔸 合図:「角に透明感が出てきたら」火を止める。
    茹で上がったら氷水に落とし、粗熱を取る。
  2. 出汁で煮含める(中火→弱火)
    鍋に出汁・薄口醤油・みりん・塩を入れ、冬瓜を加えて火にかける。
    弱火で静かに煮含める。
    🔸 合図:「冬瓜がうっすら飴色に透けてきたら」火を止める。
    一度火から下ろして味をなじませる。
  3. そぼろ餡を仕上げる(中火)
    ②の鍋に鶏そぼろを入れて沸騰させ、アクを取る。
    火を止め、水溶き片栗粉を少しずつ加えながら混ぜる。
    🔸 合図:「とろみがつき始めたら」再度中火にして1分ほどゆっくり混ぜる。
    最後におろし生姜を加えて香りを添える。

現役和食調理師のコメント

冬瓜は“冷まして味を含ませる”と本領を発揮します。
火を入れすぎると崩れるので、少し硬めで止める勇気が大切。
餡のとろみは、火を止めてから入れるのが合図。
静かに仕上げることで、冬瓜の透明感と上品な味わいが生きてきます。


失敗しない3つのコツ

  • 冬瓜は硬めで止めて余熱仕上げ
  • 水溶き片栗粉は火を止めてから少しずつ
  • 冷ますと塩味が強く感じるため、味付けはやや薄めに

保存方法

  • 冷蔵保存:汁ごと密閉容器に入れ、3日程度。
  • 冷凍保存:餡ごと冷凍し、食べる際に弱火で温め直す(約2週間)。
  • 冷やし煮として:冷やすと透明感が増し、夏場にもおすすめ。

相性の良い料理・献立

  • 主菜:鰆の西京焼き鶏の照り焼き
  • 副菜:枝豆とひじきの白和え冬瓜の皮のきんぴら
  • 汁物:とうもろこしのすまし汁

旬と豆知識

冬瓜は夏が旬の野菜。
名前の「冬」は、保存がきくことから由来しています。
カリウムが豊富で、体の余分な水分を排出し、むくみ解消や体の熱を取る効果も。
▶ 詳しくは【旬の野菜カレンダー】・【冬瓜の栄養ページ】へ。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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