小さな体に、おどろきの旨さ。
「きびなご(黍魚子)」は、九州の食卓ではおなじみの小魚。透明感のある銀色の身は見た目にも美しく、刺身に揚げ物にと、幅広い料理で活躍します。
「旬はいつ?」
「刺身で食べられる?」
「イワシとは違うの?」
──そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
このページでは、きびなごの旬・味の特徴・おいしい食べ方・栄養・英語・漢字表記まで、調理師の視点でやさしく解説します。
はじめての方も、いつもの食卓にひと工夫したい方も、ぜひ参考にしてみてください。
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きびなごの旬
子持ちきびなご
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
初冬の旬
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

現役和食調理師のヒント
きびなごは、春(5〜6月)と冬(12〜2月)に旬を迎える小魚です。
産卵前の春は子持ちのうま味が魅力、冬は脂がのって刺身にも揚げ物にも最適です。
きびなごとは~特徴とあじわい~

きびなご(黍魚子)は、ニシン科の小魚で、成魚でも10cm前後と小ぶりなのが特徴です。
体は透明感のある銀色で、中央に青白く光る帯模様(銀帯)が一本通っているのが特徴。見た目の美しさから「海の宝石」とも呼ばれています。
味・食感の特徴
- 味わい: 上品でクセのない白身。ほのかな甘みがあり、旨味がじんわり広がる。
- 食感: 新鮮なものはプリッとしつつも柔らかく、揚げると骨まで食べられるほど。
- 用途: 刺身・酢締め・天ぷら・唐揚げ・南蛮漬けなど、和食を中心に広く利用。
とくに九州(鹿児島・宮崎・熊本)では刺身や酢味噌和えなどで日常的に食べられており、新鮮なものは頭から丸ごと生で食べられる珍しい魚です。
- 鹿児島県では郷土料理に欠かせない魚
- 身が柔らかく手で開いて簡単に刺身にできる
- 鮮度が落ちるのが早いのでなるべく早く調理する
- 鱗は塩水で洗い流す程度で流せる

おかみさんの一言
初めて見たときは「こんな小さな魚を刺身で?」って思ったけど、食べてビックリ。しっとり甘くて、酢味噌と合わせると何個でもいけちゃうんです。小鉢にちょこんと盛るだけで、食卓が華やかになりますよ。
きびなごの地方名
- キミイワシ
- ハマゴイワシ
- ハマイワシ
- カナギ
- キビナ
- キミナゴ
- ハマゴ
- スルル
- ヤス
- コオナゴ
- スリ
- スルン
- スルル
きびなごの目利き(選び方のコツ)
きびなごは鮮度が命の魚。鮮度が落ちると身がやわらかくなり、臭みも出やすいため、購入時のチェックポイントを知っておくと安心です。
新鮮なきびなごを見分けるポイント
| チェック項目 | 選び方のコツ |
|---|---|
| 体の色 | 銀色の帯がクッキリしているもの。くすんだり濁ったものは避ける。 |
| 目 | 黒目がクリアで、白く濁っていないものを選ぶ。 |
| 身のハリ | 軽く触ってしっかりとした弾力があるもの。身割れしているものはNG。 |
| におい | 海水のような清涼感のあるにおいがあるものが◎。 |
| 並び | 鮮魚売場では1尾ずつ丁寧に並べられている方が鮮度が高い傾向。乱雑なものは避ける。 |

現役和食調理師のヒント
刺身で使う場合は、銀帯が光っているかどうかが一番のポイントです。黒ずんでいたり、目が白濁していたら避けましょう。加熱用なら少し鮮度が落ちていてもOKですが、下処理の丁寧さが仕上がりを分けます。
きびなごと相性の良い食材
きびなごは淡白で上品な味わいのため、香味野菜・酸味・甘みといった食材や調味料との相性が抜群です。
特に酢味噌・生姜・大葉・甘酢などを使った和風アレンジは、九州地方の郷土料理としても知られています。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 酢味噌 | 刺身との定番組み合わせ。甘酸っぱさで魚の旨味を引き立てる |
| 生姜 | 唐揚げや南蛮漬けの臭み消し・風味づけに最適 |
| 大葉 | 銀色の見た目との相性も良く、香りが爽やか。刺身・揚げ物に◎ |
| 甘酢 | 南蛮漬けの定番。骨までやわらかく食べやすくなる |
| すし飯 | 握り寿司や押し寿司に。彩りと味のバランスが絶妙 |
| ごま | 背開きの刺身にふりかけて香ばしさをプラス |
| ねぎ | 小口切りで刺身や焼き物に。あっさり味にアクセントを添える |

現役和食調理師のヒント
特に酢味噌×生姜×大葉の組み合わせは、王道中の王道。火を通すなら甘酢と合わせて南蛮漬けに。丸ごと食べられる小魚だからこそ、香味の工夫が活きてきます。
きびなごに合う調理法
きびなごは小さくて骨がやわらかく、丸ごと食べられる魚。刺身であっさり楽しむのはもちろん、揚げ物・焼き物・南蛮漬けなど幅広く活用できます。
鮮度の高いものは生食もOK、少し時間が経ったものは加熱調理で旨味を引き出すのが基本です。
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 刺身 | ◎ | 鮮度が良ければ絶品。酢味噌と合わせて郷土料理に |
| 唐揚げ | ◎ | 丸ごと揚げて骨までおいしい。おつまみにもぴったり |
| 天ぷら | ◎ | サクッと軽い衣で、きびなごの甘みが引き立つ |
| 南蛮漬け | ○ | 酢の風味と相性が良く、常備菜にも便利 |
| 焼き物 | ○ | 串焼きやグリルで香ばしく。塩焼きでシンプルに |
| 酢の物 | △ | 鮮度が高ければOK。酸味で身が締まり、好みが分かれる |
| 煮物 | × | 身が小さく煮崩れしやすいため不向き |

現役和食調理師のヒント
刺身なら手開き→酢味噌が定番、揚げ物なら二度揚げでサクサクに。
小ぶりな魚なので短時間で調理できるのも魅力です。魚の扱いが苦手な方にもおすすめですよ。
きびなごの栄養素(食品成分表)
きびなご(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 生 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 35 | % |
| エネルギー | 85 | ㎉ |
| 水分 | 78.2 | g |
| タンパク質 | 18.8 | g |
| 脂質 | 1.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 150 | ㎎ |
| カリウム | 330 | ㎎ |
| カルシウム | 100 | ㎎ |
| マグネシウム | 34 | ㎎ |
| リン | 240 | ㎎ |
| 鉄 | 1.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.9 | ㎎ |
| 銅 | 0.10 | ㎎ |
| マンガン | 0.03 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 10.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.3 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.02 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.25 | ㎎ |
| ナイアシン | 6.2 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.44 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 8.3 | ㎍ |
| 葉酸 | 8 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.87 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 3 | ㎎ |
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おかみさんの一言
うちの孫がね、「きびなごの唐揚げなら骨まで食べる」って喜んで食べるんですよ。お魚が苦手な子でも、こういう小魚からならはじめやすいかもしれませんね。
きびなごの英語・漢字表記

きびなごは小魚であることから、英語では一般的な分類名や地方名に近い形で表現されます。料理名として紹介される場合もあります。
| 表記 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 黍魚子(きびなご) |
| 英語表記 | Banded blue sprat Silver-stripe round herring |
| 発音記号 | [ˈbændɪd blu spræt] [ˈsɪlvɚ straɪp raʊnd ˈhɛrɪŋ] |
※日本独自の食材のため、英語圏では「small sardine」や「tiny herring」と説明的に表現されることもあります。
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