【冬が旬】エイは食べられる?味・部位・おいしい食べ方を現役調理師が解説

生のエイ(鱏)が丸ごと1匹並んだ画像 魚介類
冬が旬のエイ。新鮮な個体は表面にツヤと透明感があり、淡白で上品な味わいです。
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エイ(えい)は、冬から春にかけて旬を迎える魚で、淡白ながら独特の旨みと弾力を楽しめます

「食べられるの?」
「どんな味?」

と疑問を持つ人も多いですが、実はヒレや肝などの部位は古くから食用とされ、煮付け・唐揚げ・味噌煮など多くの料理に使われてきました。

この記事では、エイの旬の時期・味の特徴・食べられる部位・調理法を、現役和食調理師がやさしく解説します。
臭みを抑える下処理のコツや、アカエイを中心とした種類ごとの違いも紹介しますので、家庭でも安心しておいしく楽しめます。

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現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

えいは意外と知られていませんが、ひれのゼラチン質や肝の濃厚な旨みはプロの料理人にも好まれる食材。鮮度や下処理がポイントになります。

えいの旬 おいしい時期

干して並べられたたくさんのエイ(干物)
冬から春が旬。寒風で干すことで旨味が凝縮し、酒肴や煮物にも最適です。

アカエイ、ナルトビエイ(全国)

カスベ(北海道・東北地方

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

アカエイ類(関東・関西沿岸)
夏から初秋(6~9月)にかけて浅海に移動するため漁獲量が増え、鮮度の良いものが出回る時期。このタイミングが刺身や寿司、煮付けにも適しています。

カスベ(北海道・東北)
主に冬〜春(10月〜翌6月)にかけて漁獲されますが、特に冬期(12〜1月)になると身が締まり食感・旨味ともに最良。骨ごと食べられる煮付けや煮こごりが地元家庭で愛されています。

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アカエイ類は刺身用なら氷詰め・当日水揚げ品、カスベは煮付け用途でも骨付きで煮えるほど身がしっかりしているものを選ぶと◎。

えいとは ~解説~

炙ったエイヒレを皿に盛り付け、マヨネーズを添えた料理
炙りエイヒレは香ばしく、ぷるぷるした食感が特徴。淡白な旨味とコクを楽しめます。

えいとはどんな魚?
えい(鱏)はサメと同じ軟骨魚類に属する海水魚で、体が扁平(平たい)のが特徴です。胸びれと胴体が一体化したような形をしており、腹側にエラを持つことから、海底近くを泳いで生活しています。

日本近海では、シビレエイ目・ガンギエイ目・トビエイ目など複数の種類が確認されており、なかでも食用として多く利用されるのはアカエイです。浅い海や河口付近に多く生息し、全国各地で漁獲されています。

また、北海道や東北地方では「カスベ」と呼ばれるガンギエイ類が食文化として根づいており、煮付けや煮こごりなどに利用されます。多くのエイには尾に毒針(尾棘)があり、調理の際には必ず取り除かれています。流通するものは安全に処理された個体ですので、安心して食べられます。


味と食感の特徴

えいの味は淡白でクセが少なく、上品な旨みがあります。部位によって食感が異なり、料理に合わせて使い分けることで、さまざまな味わいが楽しめます。

  • ヒレ(エイヒレ)
    ゼラチン質を多く含み、ぷるぷるとした食感。
  • 軟骨部
    コリコリとした歯ごたえがあり、煮物や汁物に向いています。
  • 身肉部分
    やわらかく、煮る・揚げる・炒めるなど多様な調理に使えますが、加熱しすぎると煮崩れしやすいため注意が必要です。
  • 肝(きも)
    鮮度の良いものはクリーミーで濃厚な味わいがあり、酢味噌和えや塩焼きに利用されます。
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えいは下処理次第で“高級魚に劣らない味”になります。特に肝は鮮度が良ければ刺身で提供されることもあり、通好みの部位ですね。

主な種類と特徴

種類特徴・利用傾向
アカエイ日本各地で最も一般的な食用種。切り身や煮付け用として利用され、冬に旨みが増す。尾棘は除去済みで流通。
ガンギエイ類(カスベ)北海道〜東北地方で多く水揚げされ、煮物・干物・煮こごりに利用される。ゼラチン質が多く、コラーゲン豊富。
ナルトビエイ西日本の内湾に生息。唐揚げや煮物として利用されることもあるが、流通量は少なめ。

可食部と用途

部位主な料理・用途特徴・注意点
エイヒレ干物
焼き物
唐揚げ
煮付け
骨付きでも柔らかく、ゼラチン質の食感が魅力。干物にすると旨味が凝縮。
軟骨煮物
汁物
煮こごり
コリコリとした歯ごたえを残す調理がポイント。
身肉煮付け
味噌煮
炒め物
淡白で上品な味。短時間加熱でふっくら仕上がる。
酢味噌和え
塩焼き
鮮度が非常に重要。臭みが出やすいため、下処理を丁寧に行う。
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えいは加熱時間が長すぎると身が締まり、臭みも出やすくなります。下処理でぬめりをしっかり取り、生姜や味噌、酢などの香味を加えると、素材の持つ淡白な旨味を最大限に引き出せます。

えいの選び方(目利きのポイント)

えいは部位によって流通形態が異なりますが、どの形でも鮮度と臭みの有無が重要です。特に「ひれ」「肝」「切り身」それぞれでチェックすべきポイントを以下にまとめました。

項目良い状態の目安
表面のぬめり適度なぬめりが残っていて、薄く透明感があるもの
色調・くすみの有無白身やヒレはくすまず明るく、弾力・ツヤがあるもの
弾力・身の引き締まりしっかり弾力があり、手で押しても沈まないもの
切り身部の切断面・血合い血合いがきれいで、変色していない切り口
ヒレ・尾・縁部の特徴アカエイではヒレ・尾・縁辺に黄色〜橙色を帯びることが見られる
切り身の厚み・重み切り身が薄すぎずある程度厚み・重量感があるもの
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えいはとくに“におい”と“見た目の透明感”が大事です。水揚げから時間が経つとアンモニア臭が出やすいので、購入したらできるだけ早く調理するのが基本です。肝を扱う場合は、加熱用・刺身用の区別が明記されたものを選びましょう。

えいと相性の良い食材

カスベ(エイ)の煮物
生姜で臭みを抑え、優しい味に仕上がります。

えいはクセの少ない淡白な魚ですが、部位によってはゼラチン質や濃厚な肝もあるため、香味・酸味・食感のアクセントになる食材とよく合います。

食材組み合わせの理由・使い方例
生姜煮つけや唐揚げの臭み消しとして最適。肝との相性も良く、風味を引き立てる。
味噌えいの肝やひれを味噌煮にするとコクが深まる。北海道の郷土料理にも。
大根えいの煮つけに加えると、煮汁の旨みを吸い、さっぱりした口当たりに。
ポン酢肝の刺身や唐揚げに合わせて臭みを抑え、後味をさっぱりさせる。
長ねぎ煮つけや鍋に加えると甘みが出て、えいの旨味と相乗効果。
七味唐辛子唐揚げや煮こごりにふりかけて、ピリ辛で風味をプラス。
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現役和食調理師のヒント

えいは下処理さえ丁寧にすれば、クセはほとんど感じません。ただ、香味野菜や味噌、酢などと合わせることで“より安心して”食べやすくなり、食卓でも喜ばれます。

えいに合う調理法

エイの唐揚げを皿に盛り付けた料理
揚げることで外は香ばしく、中はふっくら。淡白な味わいを引き立てる定番の調理法です。
調理法理由
煮つけ骨ごとやわらかくなり、ゼラチン質のうま味が際立つ。臭みも消えやすい。
唐揚げ表面はカリッと、中はぷるぷる食感。軟骨もコリコリと美味しく食べられる。
煮こごり煮汁のゼラチン質が固まり、冷菜として上品。地方の郷土料理にも。
味噌煮味噌のコクと相性抜群。肝も一緒に煮るとより濃厚な味わいに。
刺身新鮮な肝なら可能だが、傷みやすくリスクもあるため、産地限定で提供されることが多い。
焼き物身が乾きやすく、旨味が飛びやすいため一般的ではない。
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現役和食調理師のヒント

えいは火を入れることでゼラチン質の魅力が引き立つ魚。唐揚げや煮つけは“骨ごと味わえる”調理法としておすすめです。肝は扱いに注意が必要ですが、産地での新鮮なものは極上の味です。

えいの栄養素 ~食品成分表~

えい(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー79
水分79.3g
タンパク質19.1g
脂質0.3g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム270
カリウム110
カルシウム4
マグネシウム18
リン170
0.9
亜鉛0.5
0.04
マンガン0.01
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)2
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD3.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.7
ビタミンK
ビタミンB10.05
ビタミンB20.12
ナイアシン2.5
ビタミンB60.25
ビタミンB123.7
葉酸3
パントテン酸0.55
ビオチン
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
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えいの英語・漢字表記

スティングレイ(stingray)の英語カード
えいの英語表記は “Stingray”。メニューや英語学習にも使える基本表現です。
表記内容
漢字
ひらがなえい
英語表記stingray
学名の例Dasyatis akajei(アカエイ)
発音記号[ˈstɪŋ.reɪ](スティング・レイ)

“stingray” はトビエイやアカエイを含む総称で、サメと同じ軟骨魚類を指します。

日本では特定の種を「アカエイ」「ナルトビエイ」「カスベ」などと呼びますが、英語ではすべて “stingray” に分類されることが多いです。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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