甲烏賊(こういか)の旬・特徴・食べ方を解説|相性の良い食材と調理法も紹介

甲烏賊 こういか(Golden cuttlefish) 魚介類
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肉厚で甘味のある身と濃厚な旨味が魅力の甲烏賊は、春から初夏にかけて食べ頃を迎える高級イカです。

甲烏賊(こういか)の旬はいつ?
イカと何が違うの?
どんな料理に合うの?

寿司や刺身はもちろん、煮物や揚げ物でもふっくら柔らかく仕上がり、料理人からも愛されています。この記事では、旬の時期や特徴、相性の良い食材、調理のコツまで、和食調理師の経験を交えてわかりやすく解説します。

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甲烏賊の旬

甲烏賊(こういか)は、冬から春(2月〜5月頃)がもっとも成熟して美味しくなる時期です。産卵前の成熟した親イカは身が厚く、甘味と旨味がふんだんで、刺身や煮物・焼き物にもぴったりです。
また、晩夏〜秋に漁獲される小型の新イカも人気で、寿司ネタとして重宝されています。

こういか

新いか

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甲烏賊とは ~特徴と味わい~

甲烏賊

甲烏賊(こういか)は、体内に硬い甲羅状の「甲(こう)」を持つことから名付けられた、イカ類の一種です。全長は30〜40cmほどで、胴体は丸みを帯び、背中には楕円形の甲が収まっています。この甲は浮力調整や体の保護に役立ち、釣りや漁で見つけやすい特徴のひとつです。

生態と分布

  • 主に本州中部以南の沿岸部〜瀬戸内海、九州沿岸に分布。
  • 冬から春にかけて産卵のため内湾に集まる習性があります。
  • 成熟期には胴がずっしり重く、身に旨味が凝縮されます。

味と食感

  • 身が肉厚で、甘味が強いのが最大の魅力。
  • 加熱しても硬くなりにくく、刺身・寿司・煮物・天ぷらなど幅広い料理に適します。
  • スミは濃厚で、イカスミパスタやリゾットなど洋風料理にも活用できます。

甲烏賊と他のイカの違い

墨袋の墨が濃く、料理の色付けや旨味付けにも優れています。
スルメイカやヤリイカと比べて身が厚く、歯応えよりも柔らかさと甘味を重視した味わい。
胴体に硬い甲があるため、捌く際はまず甲を外す下処理が必要です。

  • 肉厚で甘みが強く、熱を通しても硬くなりにくい
  • 下処理の済んだ冷凍品が流通している
  • 味がいいので高値で取引され高級品
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

甲烏賊は皮が厚めなので、刺身にする際は「皮引き」が必須です。皮を丁寧に引くと、口当たりがなめらかになり、甘みが際立ちます。

甲烏賊の地方名

甲烏賊は地域や漁師の間でさまざまな呼び名があります。形状や模様、漁獲時期によって呼び方が変わるのも特徴です。

呼び名主な地域補足・由来
コブイカ瀬戸内海沿岸
四国
背中に盛り上がった甲があることから
墨イカ全国各地濃く大量の墨を吐くことに由来
ハリイカ九州北部
山陰
体表の硬さや張りのある姿から
真イカ西日本の一部地元で代表的な“本物のイカ”の意
紋甲イカ関東
関西
背中の模様(紋様)と甲を持つことから
新イカ全国夏〜秋に獲れる小型の若い甲烏賊の総称
ホシイカ九州南部背部の模様が星形に見えることから

甲烏賊の目利き

新鮮な甲烏賊を選ぶポイントは、色つや・目・身の張りの3つです。

  1. 色と模様がはっきりしているもの
    背中の模様(紋様)がくっきりしているほど鮮度が良い証拠です。
    時間が経つと色が薄れ、全体的に白っぽくなります。
  2. 目が澄んでいるもの
    黒目がくっきりしていて、透明感があるものを選びましょう。
    濁っている場合は鮮度が落ちています。
  3. 身に張りと弾力があるもの
    触れるとしっかりと反発があり、胴が締まっているものが良品。
    だらんと柔らかいものは時間が経っている証拠です。
  4. 臭いが生臭くないもの
    海水のような爽やかな香りが理想です。強い生臭さがあるものは避けましょう。
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現役和食調理師のヒント

甲烏賊は鮮度落ちが早いので、刺身にするなら朝水揚げされたものをその日のうちに食べるのがおすすめです。

甲烏賊と相性の良い食材

食材組み合わせの理由・使い方例
大葉刺身や和え物で香りを添え、甘味を引き立てる
生姜煮物や炒め物の臭み消し、爽やかな風味をプラス
醤油甘味とのコントラストで旨味が倍増、刺身や漬けに最適
レモン天ぷらやフライに爽やかな酸味を添え、後味さっぱり
にんにくアヒージョやパスタで旨味と香りを強化
味噌ワタと合わせて煮込むと濃厚な旨味に
青ねぎ酢味噌和えや炒め物で色味と香味を加える
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現役和食調理師のヒント

甲烏賊は和洋中どの料理にも合う万能選手。特にワタ(肝)は味噌や酒と合わせて加熱すると、濃厚な旨味ソースになり、焼き物やパスタの味付けにも応用できます。

甲烏賊に合う調理法

調理法おすすめ度理由
刺身肉厚で甘味が強く、旬の味をそのまま堪能できる
寿司ねっとりした食感と甘味がシャリと相性抜群
煮物身が柔らかく、味がしっかり染み込みやすい
焼き物香ばしさが加わり、酒肴にぴったり
天ぷら
フライ
衣のサクサク感と柔らかい身の対比が美味
蒸し物火加減が難しく、やや水分が出やすい
イカスミ濃厚なスミでパスタやリゾットに旨味と色を加える

おかみさんの一言

甲烏賊はね、身が厚くて甘みがあるから、ちょっと火を入れればそのねっとりした旨味が引き立つんです。あんまり長く火を入れすぎると硬くなりやすいから、ふんわり軽く炙るくらいがちょうど良いんですよ。

甲烏賊の栄養素(食品成分表)

こういか(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率35%
エネルギー64
水分83.4g
タンパク質14.9g
脂質1.3g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム280
カリウム220
カルシウム17
マグネシウム48
リン170
0.1
亜鉛1.5
0.45
マンガン0.02
ヨウ素4
セレン23
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)5
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)2.2
ビタミンK
ビタミンB10.03
ビタミンB20.05
ナイアシン1.3
ビタミンB60.06
ビタミンB121.4
葉酸3
パントテン酸0.52
ビオチン1.6
ビタミンC1
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

こういかは高たんぱく×低脂質で、マグネシウム・亜鉛・銅・セレンなどミネラルが充実。ビタミンEも摂れるので、オイルと合わせた調理短時間加熱で“甘みと食感”を引き立てるのがコツです。

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コウイカの英語・漢字表記

  • 漢字表記:甲烏賊
  • 英語表記:Golden cuttlefish
  • 発音記号:[ˈgoʊldən ˈkʌtəlˌfɪʃ]
  • カタカナ読み:ゴールデン・カトルフィッシュ

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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