大正海老ってどんな海老？
旬の時期にどう食べれば一番おいしい？
――そんな疑問にお答えします。大正海老は、甘みと歯ごたえを兼ね備えた高級食材で、地域ごとにさまざまな名前で呼ばれるのも特徴です。
本記事では、旬の時期や味わいの魅力、目利きのコツや仲間の海老との違いを紹介。さらに、相性の良い料理や栄養素、英語表記までを網羅しました。和食調理師として25年以上の経験から、家庭でも安心して楽しめる調理ポイントをやさしく解説します。特別な日の献立や旬を感じる一皿に、ぜひ取り入れてみてください。
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大正海老の旬 ～おいしい時期～
大正海老の主な旬は【秋から冬（10月～1月）】にかけてです。
身がふっくらと太り、甘みや旨みが最も引き立つ時期とされています。
地域や漁獲状況によっては年間を通して流通しており、安定した品質が魅力のエビでもあります。
下のカレンダーでは、1年を通じた大正海老の流通・旬の傾向をひと目で確認できます。
大正海老
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
現役和食調理師のヒント
寒くなる季節、特に11月頃の大正海老は刺身でも火入れでも甘みが際立ちます。煮物や天ぷらにすると、ぷりっとした食感と香ばしさが格別ですよ。
季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
大正海老とは ～特徴・味わい・用途～
大正海老（たいしょうえび）は、クルマエビ科に属する大型のエビで、主に東シナ海などで水揚げされます。体長は20～25cmほどになり、ややずんぐりとした体型が特徴です。
名前の由来は、大正時代に操業していた「大正組」という業者がこのエビを流通させたことに由来するとされ、「高麗海老（こうらいえび）」という別名もあります。また、東シナ海や朝鮮半島沿岸で獲れることから「コウライエビ（高麗海老）」とも呼ばれ、現在もこの名前で流通することがあります。
見た目はクルマエビに似ていますが、体表に縞模様がなく、尾の部分だけが黒っぽいのが特徴。発色はやや淡く、身はホワイト系エビの中ではやや濃い色をしています。
味わいとしては、クルマエビほどの高級感はないものの、甘みのあるやわらかな肉質で美味しいエビとして親しまれています。特に越冬した雌が持つ赤いミソ（内臓部分）は、濃厚な旨味があり、珍重されます。
大正海老（Chinese prawn）は一般的に冷凍で流通しており、生の状態ではほぼ市場に出回っていません。これは漁獲後すぐに船上凍結されることが多いためです
価格も手ごろで比較的入手しやすく、車海老の代用品としても人気です。
海老のサイズの見方をまとめたページはこちらを参考にしてください→海老のサイズは世界基準（Shrimp size）
味わい
甘みがあり、柔らかい肉質で美味しい海老である。
越冬を終えた雌が持つ赤いミソはうまみが強い。
調理用途・料理例
刺身や寿司ネタとしてはもちろん、加熱調理にも適しており、天ぷら、塩焼き、煮付け、炒め物、エビチリなど幅広い料理に活用できます。
特に加熱することで甘みが際立ち、ぷりぷりとした食感が楽しめるため、和洋中を問わず重宝される海老のひとつです。
現役和食調理師のヒント
大正海老は火を通すとふわっとした甘みが引き立ちます。値段の割に使い勝手が良く、和食でも洋食でも万能です。
大正海老の選び方～目利き～
大正海老は主に冷凍品として流通しており、生の状態で店頭に並ぶことはほとんどありません。そのため、選ぶ際は以下のポイントを参考にしましょう。
- パッケージに霜がついていないものを選ぶ
霜が多いものは一度解凍された可能性があり、品質が落ちている可能性があります。 - 「船上凍結」や「急速冷凍」と表示されたものを選ぶ
鮮度が落ちる前にすばやく凍結された証で、品質が高い傾向にあります。 - 解凍品は殻の色が黒ずんでいないかチェック
保存状態が悪いと殻が黒ずみ、身にも影響が出ていることがあります。 - 解凍品はドリップ（汁）に注意
加熱前にドリップが多いと身がパサつきやすくなります。冷蔵庫でゆっくり解凍するとドリップを抑えられます。
おかみさんの一言
冷凍の大正海老は、解凍の仕方ひとつで味が大きく変わります。
冷蔵庫でじっくり時間をかけて解凍し、加熱しすぎないことがプリッとした食感を保つコツです。
大正海老とよく合う食材
| 相性の良い食材 | 組み合わせ例・解説 |
|---|---|
| だし 椎茸 | 椀物、含め煮、茶碗蒸しなどで、エビの甘みが引き立つ |
| ブロッコリー アスパラガス レモン にんにく 白ワイン | バターソテー、アヒージョ、レモンバター焼きなどで爽やかな旨味 |
| ネギ 生姜 チンゲンサイ 豆板醤 | エビチリ、炒め物で風味が際立つ。淡泊なエビに香味野菜が好相性 |
| パン粉 大葉 | フライ、かき揚げ、エビ団子でボリューム感アップ |
| 白味噌 大根 春菊 | 味噌汁、潮汁などで甘みと旨味が溶け出す |
現役和食調理師のヒント
大正海老はクセが少なく上品な甘みがあるため、香味野菜や柑橘、だしとの相性が抜群です。
和洋中どの料理でも使いやすく、下処理をしっかりすればプリッとした食感を活かしたメイン食材として活躍します。
大正海老とよく合う調理法
| 調理法 | 特徴・活かし方 | 向いている料理例 |
|---|---|---|
| 焼く | シンプルに焼くことで甘みと香ばしさが際立つ | 殻付き塩焼き グリルレモン焼き |
| 揚げる | 衣のサクサク感と海老のぷりぷり感が絶妙 | 海老フライ 天ぷら かき揚げ |
| 茹でる | 身が締まり旨味が凝縮される。サラダや酢の物に | エビサラダ 冷製お浸し 酢の物 |
| 炒める | 香味野菜と一緒に炒めると香りとコクがUP | エビチリ エビマヨ 中華炒め |
| 蒸す | 火の通りが優しく、ふっくらと仕上がる | 茶碗蒸し 蒸し海老シュウマイ |
| 煮る | 殻付きのまま煮ることで出汁が濃厚になる | 煮物 味噌汁 ブイヤベース |
現役和食調理師のヒント
大正海老は加熱しても身が固くなりにくく、特に揚げ物や焼き物で甘みが引き立ちます。
炒める・蒸す・煮るといった調理も万能で、家庭料理から高級料理まで対応できる万能食材です。
大正海老の栄養素（食品成分表）
大正えび（生）
可食部100ｇ当たり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 55 | % |
| エネルギー | 89 | ㎉ |
| 水分 | 76.3 | g |
| タンパク質 | 21.7 | g |
| 脂質 | 0.3 | g |
| 食物繊維（総量） | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 200 | ㎎ |
| カリウム | 360 | ㎎ |
| カルシウム | 34 | ㎎ |
| マグネシウム | 45 | ㎎ |
| リン | 300 | ㎎ |
| 鉄 | 0.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.61 | ㎎ |
| マンガン | 0.02 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | — | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA（レチノール） | 6 | ㎍ |
| ビタミンA（β-カロテン） | 4 | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE（トコフェロールα） | 1.8 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.03 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.04 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.4 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.07 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 2.1 | ㎍ |
| 葉酸 | 45 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.61 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
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大正海老の英語表記
| 表記の種類 | 表記内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 大正海老 |
| 発音記号 | /ˈtʃaɪ.niːz prɔːn/ |
| 英語表記 | Chinese prawn（チャイニーズ・プローン） |
| 学名 | Penaeus chinensis Fenneropenaeus chinensis |
「Chinese prawn」は直訳すると「中国の海老」という意味で、朝鮮半島や中国沿岸原産のエビを指します。
「チャイニーズ・プローン」と読みますが、国内ではあまりなじみのない呼び方です。
和食の現場では「大正海老」や「コウライエビ」として認識されていることが多いです。
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
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