肉には「牛肉」「豚肉」「鶏肉」だけでなく、「馬肉」や「ジビエ」などさまざまな種類があり、それぞれに味・脂の量・柔らかさ・栄養価といった特徴があります。
また、ステーキ・煮込み料理・しゃぶしゃぶ・焼肉など、作る料理によって最適な肉や部位は異なります。
この記事では、調理師歴25年以上の筆者が、
料理別にわかりやすく「肉の種類と特徴」「おすすめの使い方」「選び方のコツ」を解説します。
「やわらかい肉を食べたい」「ヘルシーに仕上げたい」「煮込み料理に合う肉を知りたい」など、
あなたの目的にぴったりの肉が必ず見つかります。
まずは、肉の種類ごとの特徴から見ていきましょう。
🧭 各肉の詳しい特徴はこちら
・牛肉の部位図と特徴一覧
・豚肉の部位図と特徴一覧
・鶏肉の部位図と特徴一覧
※本記事には広告が表示されます。
肉の種類と特徴

料理に使われる肉には「牛肉」「豚肉」「鶏肉」「馬肉」「ジビエ」などがあり、それぞれに味の特徴・栄養・脂の量・向いている料理が異なります。
調理師としての経験から、それぞれの肉の個性と使い方をまとめました。
| 肉の種類 | 特徴 | 向いている料理 |
|---|---|---|
| 牛肉 | コクと旨味が強く、食べ応えがある。部位によって柔らかさや脂の量が大きく異なる。鉄分・亜鉛が豊富でスタミナ料理に◎ | ステーキ 焼肉 すき焼き 煮込み料理 |
| 豚肉 | 甘みとやわらかさが特徴。ビタミンB1が豊富で疲労回復に役立つ。部位ごとの脂のバランスも良く、家庭料理に万能。 | 生姜焼き 角煮 トンカツ しゃぶしゃぶ |
| 鶏肉 | あっさりとした味でクセが少なく、部位ごとの食感が楽しい。高たんぱく・低脂肪でヘルシー志向にも人気。 | 唐揚げ 親子丼 蒸し鶏 スープ |
| 馬肉 | クセが少なく、甘みのある赤身が特徴。低脂肪・高たんぱくで鉄分豊富。生食(馬刺し)や煮込みにも合う。 | 馬刺し 焼肉 煮込み料理 |
| ジビエ | 野性味あふれる風味で肉質はしっかり。鹿は脂が少なくヘルシー、猪はコク深く旨味が強い。 | ロースト シチュー 煮込み グリル |
目的別に選ぶ!料理に合う肉とおすすめ部位
料理や健康の目的によって、最適な肉の種類や部位は異なります。
ここでは、よくあるお悩みや目的別に、どの肉を選ぶと失敗しないかを調理師が解説します。
また、一般的な牛・豚・鶏以外にも、馬肉やジビエ(鹿肉・猪肉など)といった特別な肉があります。これらは高たんぱく・低脂質でヘルシーな一方、調理にコツが必要なため、後半の「番外編」で詳しく紹介します。
やわらかい肉を食べたい
やわらかい肉を選びたい場合は、筋繊維が細かく、脂(サシ)の入りがよい部位を選ぶのがポイントです。霜降りが多い部位は、焼いてもパサつかず、とろけるような食感を楽しめます。
また、加熱しても硬くなりにくいヒレ(フィレ)やサーロイン、リブロースなどが代表的です。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:ヒレ、サーロイン、リブロース
- 豚肉:ヒレ、肩ロース
- 鶏肉:モモ、手羽先

現役和食調理師のヒント
やわらかさを活かすには、加熱しすぎないことが大切。
焼く場合は「強火でサッと」、煮る場合は「低温でじっくり」
煮込み料理に使いたい

煮込み料理には、コラーゲンや筋が多い部位が最適です。
時間をかけてじっくり煮込むことで、筋肉の結合組織が溶け、ホロホロと柔らかく旨味のある食感になります。
脂身と赤身のバランスがよい部位を選ぶと、スープや煮汁にもコクが出ます。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:スネ、肩バラ、ウデ
- 豚肉:バラ、肩ロース、スネ
- 鶏肉:モモ、手羽元、手羽先

現役和食調理師のヒント
煮込み料理は弱火で長時間加熱が鉄則。
特にスネ肉は時間をかけるほどゼラチン質が溶けて、とろけるような食感に。
ヘルシーに食べたい・脂が少ない肉を選びたい
脂質を控えめにして、たんぱく質をしっかり摂りたい方には、赤身中心の部位がおすすめです。
脂身が少ない肉はカロリーが低く、ダイエット中や健康志向の方、高齢の方にも人気。
ただし、加熱しすぎるとパサつきやすいので、調理法の工夫も大切です。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:ヒレ、内モモ、外モモ、ランプ
- 豚肉:ヒレ、モモ
- 鶏肉:ムネ、ササミ

現役和食調理師のヒント
脂が少ない肉は、しっとり加熱がカギ。ソテーや蒸し焼きで水分を逃さないのがコツ。
贈り物・ギフトにしたい

贈り物には、見た目が華やかで高級感のある部位が喜ばれます。
特に、柔らかくジューシーな部位やサシ(霜降り)の美しい部位は特別感があり、記念日やお祝いにも最適。
包装やブランドにもこだわると、より満足度の高いギフトになります。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:サーロイン、ヒレ、リブロース(高級感があり贈答向き)
- 豚肉:肩ロース、ロース(ブランド豚など)
- 鶏肉:地鶏モモ(ブランド鶏)
- ギフト用通販例:松阪牛、神戸牛、近江牛などのブランド牛

現役和食調理師のヒント
贈り物では、用途を明確にして選ぶことが大切です。
・ステーキ用 → サーロイン、ヒレ
・すき焼き・しゃぶしゃぶ用 → リブロース、肩ロース
・焼肉用 → カルビ、モモ
高級感のある肉を選びたい
高級感を感じる肉は、柔らかさ・サシ(霜降り)・旨味・ブランド性の4つがポイントです。
特に、ヒレやサーロインなどの上位部位は、きめ細かい肉質と上品な脂の甘みがあり、食べた瞬間に特別感を味わえます。
また、「松阪牛」「神戸牛」「近江牛」などのブランド牛は、贈り物にも人気が高いです。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:ヒレ、サーロイン、リブロース
- 豚肉:ロース、肩ロース(ブランド豚)
- 鶏肉:地鶏モモ(名古屋コーチン、比内地鶏など)
- ブランド例:松阪牛、神戸牛、米沢牛、イベリコ豚
▶ 【調理師が厳選】失敗しない肉通販おすすめ5選|部位別の選び方と用途

現役和食調理師のヒント
ナスはおいしい。油がよく合う食材です
番外編:特別な肉を使いたいとき(馬肉・ジビエ)
特徴と選び方
一般的な牛・豚・鶏に比べ、馬肉やジビエ(鹿・猪など)は栄養価が高く、独特の旨味を持つ特別な食材です。
高たんぱく・低脂質でヘルシーな一方、扱い方や調理法にコツが必要です。
調理師の視点から、選び方と向いている料理を紹介します。
馬肉(さくら肉)

- 特徴:赤身中心で、脂が少なくあっさり。鉄分・ビタミンB群が豊富。
- 味わい:臭みが少なく、甘みのある上品な味。柔らかい肉質。
- 向いている料理:刺身(馬刺し)、すき焼き、しゃぶしゃぶ、煮込み料理
- 調理のポイント:生食の場合は衛生管理が必須。加熱する場合はレア〜ミディアムで柔らかく仕上げる。
- 豆知識:熊本・福島・青森など、産地によって味の個性が異なる。
鹿肉
- 特徴:高たんぱく・低脂質。鉄分が非常に多く、貧血対策にも◎
- 味わい:赤身特有の濃い旨味。牛よりもあっさり。
- 向いている料理:シチュー、カレー、ロースト、グリル、低温調理
- 調理のポイント:脂が少なく乾きやすいため、マリネやソースを活用してジューシーに。
- 豆知識:北海道や長野では、冬のごちそうとして定番。
猪肉
- 特徴:脂の旨味が強く、風味豊か。コラーゲンが多く煮込み向き。
- 味わい:濃厚でコクがあり、甘みのある脂が特徴。
- 向いている料理:鍋(ぼたん鍋)、味噌煮込み、焼き物
- 調理のポイント:脂の溶け方が遅いため、しっかり加熱して旨味を引き出す。
- 豆知識:古くから冬の滋養食として親しまれてきた。

現役和食調理師のヒント
ジビエや馬肉は、通販・ふるさと納税・専門店などで購入可能です。
高たんぱく・低脂質のため、ダイエット・アスリート食・健康志向にも人気があります。
料理別に見る!おすすめの肉と部位
料理によって、適した肉の種類や部位は大きく異なります。
ここでは代表的な料理ごとに、「どの肉が合うのか」「どんな特徴が活きるのか」を調理師の視点で紹介します。
料理の目的から選びたい方は、この項目を参考にしてみてください。
ステーキ
ステーキは、肉本来の旨味・香り・食感をダイレクトに味わう料理。
そのため、繊維が細かく、適度にサシ(霜降り)が入った部位が向いています。
柔らかさと風味を両立できる部位を選ぶことで、焼くだけで極上の味わいに仕上がります。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:サーロイン、ヒレ、リブロース、ランプ
- 豚肉:ロース、肩ロース
- 鶏肉:モモ(皮目をパリッと焼くのが◎)

現役和食調理師のヒント
ステーキの美味しさは「火入れ」で決まります。焼く前に常温に戻すことがおいしく仕上げるコツです。
焼肉

焼肉は、香ばしく焼き上げた脂の旨味と肉汁を楽しむ料理。
部位によって食感や味わいが大きく異なるため、脂のり・柔らかさ・噛みごたえのバランスで選ぶのがポイントです。
カルビなどの霜降り部位はジューシー、ロースやモモはあっさりとした旨味が味わえます。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:カルビ(バラ)、ロース、ハラミ、ミスジ、ランプ、タン
- 豚肉:バラ、トントロ、肩ロース
- 鶏肉:モモ、せせり、ぼんじり

現役和食調理師のヒント
焼肉では、火加減と焼きすぎ注意!
脂の多い部位は強火でサッと焼く(焼きすぎると固くなる)
カレー・シチュー

カレーやシチューは、じっくり煮込むことで肉が柔らかくなる料理です。
時間をかけて加熱しても旨味が抜けず、コラーゲンや筋が多い部位が最適。
煮込むほどにホロホロとほぐれ、スープに深いコクを与えます。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:スネ、肩バラ、ウデ
- 豚肉:肩ロース、バラ、スネ
- 鶏肉:モモ、手羽元、手羽先

現役和食調理師のヒント
カレー・シチューは、弱火でコトコト煮込むのが鉄則。鶏の手羽元・手羽先は、骨付きの出汁がスープに深みをプラス
しゃぶしゃぶ・すき焼き
しゃぶしゃぶやすき焼きは、薄切り肉をさっと加熱して柔らかく味わう料理です。
肉質がきめ細かく、脂のりがよい部位を選ぶことで、とろけるような食感と深い旨味を楽しめます。脂の甘みとタレ・出汁の相性がポイントです。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:リブロース、肩ロース、サーロイン、モモ
- 豚肉:ロース、肩ロース、バラ
- 鶏肉:モモ、ムネ

現役和食調理師のヒント
すき焼きは、最初に肉を焼いてから割下を加えると香ばしさUP。さらに卵黄でコクを引き立てます。
丼もの・弁当
丼ものやお弁当では、冷めても美味しい・タレが絡みやすい・柔らかさが保てる部位がポイントです。脂身と赤身のバランスがよく、旨味がしっかりしている肉を選ぶと、時間が経っても満足感があります。また、薄切り・細切れなどの形状にすると調理しやすく、タレともなじみやすいです。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:モモ、バラ(牛丼・焼肉丼・すき焼き丼)
- 豚肉:ロース、肩ロース、バラ(生姜焼き・かつ丼)
- 鶏肉:モモ、ムネ(親子丼・照り焼き・唐揚げ弁当)

現役和食調理師のヒント
お弁当では、汁気を飛ばして味を濃いめにすると、時間が経っても美味しさキープ。
野菜と合わせたバランス弁当にすれば、彩り・栄養面も◎。
ダイエット・ヘルシー料理

ダイエットや健康志向の方には、脂肪が少なく高たんぱくな部位が最適です。
赤身中心の部位は低カロリーで、筋肉維持や代謝アップにも効果的。
ただし、脂が少ない分パサつきやすいので、しっとり加熱する調理法を選ぶことが大切です。
おすすめの肉・部位
- 牛肉:ヒレ、内モモ、外モモ、ランプ
- 豚肉:ヒレ、モモ
- 鶏肉:ムネ、ササミ

現役和食調理師のヒント
ヘルシー料理は「水分を逃さず、柔らかく仕上げる」のがコツ。
・ムネ肉やササミは低温調理や蒸し焼きでジューシーに
その他の食肉 一覧表
| その他の食肉 | 詳しい説明 |
|---|---|
| 馬肉 | 肉の色が暗赤色を帯びていることから「さくら肉」「けとばし」などと呼ばれる。日本では熊本、長野など限られた地域で食用とされてきた。 |
| 鹿肉 | 狩猟による鹿肉はわずかでほとんどは飼育されたもの。日本での飼育はほとんどが「日本鹿」輸入ものはニュージーランドの「アカシカ」が多い。 |
| 猪肉 | 赤身の強い肉の色から「ぼたん肉」と呼ばれる。野生の猪はオーストラリア、ニュージーランドから輸入される。国産は飼育されたものが多い |
| いのぶた | 猪と豚を交配してつくられた雑種。豚のメスと猪のオスの交配が多い。猪肉よりも柔らかく、豚肉よりもコクと風味がある。 |
| 七面鳥 | 鶏肉に似た味で脂肪が少ない。旬は冬で飼育1年ほどで去勢したオスの若鶏4~5kgのものが美味しいとされる |
| くじら | 日本では学校給食にまで登場した貴重なタンパク質源であった。1988年に商業捕鯨が禁止された。 |
| 鴨 | 通常「マガモ」を指す。旬は冬。マガモのオスとアヒルのメスを交雑した一代雑種の事を「あいがも」という(野生のマガモを家畜化したものも合鴨と呼ばれる) |
現役調理師のアドバイス
肉料理をおいしく仕上げる最大のコツは、「部位の特徴に合った調理法を選ぶこと」です。
同じ肉でも、脂の量・筋の入り方・赤身の割合によって、ベストな調理法は大きく変わります。
- 柔らかさを重視するなら:ヒレやサーロインを短時間で焼く
- 旨味を引き出したいなら:スネや肩バラをじっくり煮込む
- ヘルシーに仕上げたいなら:ムネやヒレを低温でしっとりと加熱
さらに、下味や火入れの工夫が仕上がりを左右します。
塩をふるタイミング、マリネの有無、焼いた後の休ませ時間など、小さなひと手間がプロの味を作ります。
ポイントまとめ
- 部位の特徴を理解して選ぶ
- 調理法を変えるだけで、肉の魅力は何倍にも広がる
- 火加減と加熱時間は、柔らかさ・ジューシーさのカギ
- 脂が多い部位は短時間で香ばしく、赤身は低温でじっくり
「どんな料理を作りたいか」から逆算して、肉を選ぶのがプロの考え方です。
今日の献立や目的に合わせて、ぜひ最適な肉を選んでみてください。
各肉ごとの詳しい部位・特徴・おすすめ料理はこちらからご覧ください。
[牛肉の部位一覧]|[豚肉の部位一覧]|[鶏肉の部位一覧]
あわせて読みたい
▶【英語一覧】牛肉・豚肉・鶏肉の部位の名前まとめ
海外サイト・レシピでも迷わない!
▶【最新版】食中毒の種類・症状・原因一覧|予防法も徹底解説
鶏肉やひき肉の取り扱いに注意!
▶【調理師が厳選】失敗しない肉通販おすすめ5選|部位別の選び方と用途
ギフトにも最適なブランド肉や、部位別に選べる通販を紹介。贈答・ご褒美に。

