鮎並(あいなめ)とは|旬・栄養・調理法を解説【和食調理師監修】

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あいなめってどんな魚?
鮎女魚?愛魚女?鮎並?

鮎並(あいなめ)は、クセのない白身と上品な味わいで、煮つけや塩焼きに重宝される魚です。
本記事では、鮎並の旬の時期や栄養価、料理例や見分け方のポイントまで、和食調理師の視点から簡潔にまとめました。
「アイナメってどんな魚?」「栄養はあるの?」「どう食べたらおいしい?」そんな疑問をお持ちの方に役立つ内容です。

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鮎並(あいなめ)の旬

鮎並(あいなめ)は、地域によって旬の時期がやや異なります。
産卵は秋なので、秋に向けて栄養を蓄えるので、その直前がおいしいとされる。
一方、釣りのターゲットになっており、冬場のほうがよく釣れるため、冬が旬といわれることもあります。

以下のカレンダーでは、全国的な目安として月別の鮎並の旬を掲載しています。お住まいの地域や漁獲状況によっても多少前後しますので、あくまで参考としてご覧ください。

季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

鮎並(あいなめ)とは? ~特徴~

鮎並 あいなめ(Green-ling)

鮎並(あいなめ)は、スズキ目アイナメ科に属する海水魚で、体長は30〜40cmほど。北海道から九州までの沿岸に広く分布し、岩礁帯などに生息しています。

身は白身でやわらかく、ほんのり甘みがあり、クセがないのが特徴です。脂のりもよく、煮付け・塩焼き・唐揚げ・刺身など、さまざまな料理に合います。骨が少なく、子どもや高齢の方にも食べやすい魚です。

  • 「鮎並」「鮎魚女」「愛魚女」と当て字が多い
  • 関西では鮎並(あいなめ)の事を「アブラメ」北海道では「アブラコ」と呼ぶ
  • 生息する深さにより体色が違う(赤褐色、灰緑色、黄色)
  • 10~1月頃は産卵のために浅瀬にやってくるので釣り人に人気
  • 鮎並(あいなめ)は秋冬が産卵期のため、夏に養分をため込む
  • 旬を外しても常においしい魚である

鮎並に合う調理法一覧

調理法相性備考
煮物 定番。生姜と合わせて煮付けると上品な味わいに
焼き物 塩焼き・幽庵焼きなどに向く
揚げ物 唐揚げや天ぷらにしても、ふっくら仕上がる
蒸し物 酒蒸しや中華風蒸しにも合う
刺身 活〆なら刺身でも。クセのない白身が魅力
酢の物 身が崩れやすいため、加熱調理が無難
汁物 あら汁やみそ汁に。出汁がよく出る
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

鮎並は鮮度が落ちやすい魚ですが、煮付けにすると旨みが際立ちます。表面に包丁目を入れて味を染みやすくしておくと、よりおいしく仕上がりますよ。

地方名

鮎並(あいなめ)は、日本各地でさまざまな呼び名があります。特に地方の漁業文化が色濃く残る地域では、独自の方言名や俗称で親しまれています。

  • 北海道:アブラコ
  • 青森・秋田:アブラメ
  • 東北・関東:アイナメ(標準名)
  • 山陰地方:ネウ
  • 関西・四国:アブラメ、ネウ
  • 九州:アブラメ

「アブラコ」や「アブラメ」という呼び方は、身に脂がのっていることに由来するといわれています。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

市場や漁港で「アブラコ」や「ネウ」と表記されていても、アイナメと同じ魚であることが多いです。混同しやすいので、調理前に確認しておくと安心です。

鮎並の仲間

鮎並(あいなめ)は、スズキ目アイナメ科に属する海水魚で、アイナメ科の中では代表的な種のひとつです。分類上の近縁種として、以下のような魚が挙げられます。

  • クジメ(同じくアイナメ科)
    見た目はアイナメによく似ていますが、体に縦じま模様がないことで区別されます。味や使い方も近く、食用としても流通します。
  • ギンポ類・ホッケ類(スズキ目に含まれる)
    分類上はやや離れますが、同じように沿岸の岩礁に生息し、白身魚として利用されます。

鮎並の選び方

新鮮な鮎並(あいなめ)を選ぶポイントは、目・体表・腹部の張りに注目することです。

目利きのポイント

  1. 目が黒く澄んでいるもの
    白く濁っているものは鮮度が落ちています。
  2. 体表にぬめりがあり、全体にハリがあるもの
    乾燥していたり、身がたるんでいるものは避けましょう。
  3. 腹部がしっかり張っているもの
    内臓の鮮度も高い証拠です。
  4. エラが鮮やかな赤色をしている
    茶色や黒ずみがある場合は鮮度が落ちています。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

鮎並は生食できる魚でもありますが、刺身にするなら購入当日に処理し、なるべく早めに使い切るのがベストです。日を置くなら煮付けや唐揚げにすると美味しくいただけます。

鮎並と相性の良い食材・食べ合わせ

鮎並(あいなめ)は、クセのない上品な白身が特徴で、幅広い食材と相性よく調理できます。季節や調理法に合わせて、以下のような食材との組み合わせがおすすめです。

相性の良い食材

組み合わせ食材特徴・調理法
昆布
椎茸
うま味を引き立てる相乗効果があり、煮物や蒸し物に最適
柚子
すだち
かぼす
淡白な味に爽やかな酸味を加えることで、刺身や焼き物が引き締まる
味噌
酒粕
味噌煮や粕漬けにすると、身のやわらかさと風味が際立つ
生姜
ネギ
みょうが
香味野菜が魚の風味を引き立て、臭み消しにもなる
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現役和食調理師のヒント

アイナメは火を通しても身崩れしにくく、焼き物や煮物にしても上品に仕上がります。特に「煮付け+生姜+ネギ」は失敗の少ない定番の組み合わせです。

鮎並の栄養素 ~食品成分表~

あいなめ(生)

可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率50%
エネルギー105
水分76.0g
タンパク質19.1g
脂質3.4g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム150
カリウム370
カルシウム55
マグネシウム39
リン220
0.4
亜鉛0.5
0.06
マンガン
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)6
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD9.0
ビタミンE(トコフェロールα)1.7
ビタミンK
ビタミンB10.24
ビタミンB20.26
ナイアシン2.6
ビタミンB60.18
ビタミンB122.2
葉酸8
パントテン酸0.98
ビオチン
ビタミンC2
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

【現役和食調理師のヒント】

  • 脂溶性のビタミンD・Eを活かすなら、バター焼き・ムニエル・香味オイル焼きが◎。
  • 旨味は上品なので、塩焼きは皮目を乾かし気味に焼いて香ばしさを強調。煮付けは薄口ベースで身の甘さを活かす。
  • 切り身が薄い場合は片面焼き+余熱で火入れしすぎを防ぐとしっとり仕上がる。
  • 下処理で腹骨をしっかり除くと食感が向上。血合いの臭いが気になるときは塩ふり→短時間置き→酒洗いが有効。

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

鮎並の英語表記・漢字表記・読み方

表記の種類内容
漢字表記鮎並(アイナメ)
読み方あいなめ
英語表記Greenling(グリーンリング)
※主に「fat greenling(ファット・グリーンリング)」や「hexagrammos spp.(ヘキサグラモス属)」と表記されることもあります。

アイナメの英語名は一つに定まっているわけではなく、種によっては「Fat greenling」や「Japanese greenling」とも呼ばれます。また、分類学的には「Hexagrammos otakii」などの属名で表記されることもあります。

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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