赤鯥(アカムツ)の旬・食べ方・英語表記|現役調理師が解説

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赤鯥(あかむつ)の旬

のどぐろの旬には「2つの絶頂期」がある
「のどぐろ(アカムツ)の旬はいつ?」という問いは、実は板前の間でも「夏派」と「冬派」に分かれるほど奥が深いテーマです。

25年間にわたり市場で魚を見極めてきた経験から言えるのは、のどぐろは一年中脂が乗っている稀有な魚ですが、その中でも「脂の質」が変わる2つの絶頂期があるということです。


7月〜10月:産卵に向けた「濃厚な甘み」

夏から初秋にかけての産卵期に向けて、エサを荒食いして体に脂を溜め込む時期です。

  • 楽しみ方:
    この時期は、身の甘みが非常に強く、刺身や握りにして「白身のトロ」をダイレクトに味わうのが一番の贅沢です。
  • 特徴
    10月は夏の名残りと冬の準備が重なる時期。脂が安定しており、実は非常に質の良い個体に出会える隠れた狙い目でもあります。

11月〜2月:寒さに備えた「極上の香り」

水温が下がる冬を越すために、良質な脂肪をギュッと蓄える時期です。

  • 楽しみ方
    熱を通すことで脂の香りが一層引き立つため、塩焼きや煮付けが最高です。皮目から溢れ出す脂の香ばしさは、冬ののどぐろならではの特権です。
  • 特徴
    この時期は身がしっかり締まってくるため、焼いても身が崩れにくく、ふっくらとボリュームのある食感を楽しめます。

まとめ:旬が長いからこそ「料理」で選ぶ
のどぐろは「旬が長い」からこそ、その時々の状態に合わせた料理法を選ぶことが、美味しく食べるための最大の秘訣です。このカレンダーにある7月から翌2月までの期間であれば、どの時期に手に入れても、のどぐろらしい極上の脂を堪能できることは間違いありません。

旬の移り変わりを楽しむ:月別の魚介類ガイド
アカムツの脂が「濃厚な甘み」から「芳醇な香り」へと変化していくように、海の中は月ごとにドラマチックに主役が入れ替わります。

のどぐろが産卵直前の最もパワフルな脂を蓄える9月。この時期は、夏の名残りと秋のはしりが交差する、板前としても仕入れが非常に楽しい時期です。9月にこそ食べてほしい、厳選の魚介類をこちらにまとめています。▶9月の旬な魚介類一覧:板前が選ぶ「秋の入り口」の絶品素材

11月に入ると、のどぐろは冬の厳しい寒さに備え、脂の質をよりきめ細やかに変えていきます。この月は、カニやブリといった「冬の王様」たちが一斉に名乗りを上げる特別な時期でもあります。25年の板前人生で、特に感動した11月の味覚をこちらで紹介しています。 11月の旬な魚介類一覧:冬の到来を告げる至高の魚たち

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

赤鯥は冬の白身魚の中でも特に脂の質がよく、焼いたときの香りが格別。塩焼きや炙りにするなら、11月〜1月がベストです。

赤鯥(アカムツ)とは ~味・特徴・分類~

赤鯥 あかむつ(Blackthroat seaperch)

赤鯥(あかむつ)は、スズキ目ホタルジャコ科に属する深海魚で、標準和名は「アカムツ」です。関東以西では「のどぐろ」の名でも知られ、高級魚として全国の市場で人気があります。

名前の由来は、体の色が赤く、のど(咽頭部)の内側が黒いため「のどぐろ」と呼ばれるようになりました。

特徴と分類

特徴項目内容
分類スズキ目ホタルジャコ科アカムツ属
体長約30~40cm(大きい個体は50cmを超える)
生息域水深150~300mの深海(主に太平洋・日本海)
主な産地山陰地方、北陸、長崎、静岡など
呼び名のどぐろ、ギンムツ(混同されやすい別種あり)

味と食感の魅力

赤鯥の最大の魅力は、その上品な脂ととろけるような白身にあります。刺身で食べれば甘味が際立ち、焼けば皮目の香ばしさと脂の旨味が絶品。特に冬場は脂がのって、まさに“和食のごちそう魚”といえる存在です。

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現役和食調理師のヒント

アカムツは皮目を炙ると脂がジュワッと広がり、刺身でも塩焼きでも格別の仕上がりになります。プロの料理人の間でも“別格の白身魚”として重宝されています。

地方名

  • アカモツ
  • オオメ
  • ノドグロ
  • メッキン
  • メキン
  • アカウオ
  • メブト
  • キンギョウオ
  • ギョウスン

板前直伝:極上のアカムツを見極める「3つの急所」

「背中から尻尾まで」の厚みを確認する

のどぐろの最大の魅力は「脂」です。それを見極めるには、正面ではなく**「真上」**から魚体を見てください。

  • 合格点
    頭の後ろ(肩口)から尻尾の付け根まで、丸々と太って厚みがあるもの。
  • 要注意
    頭だけが大きく、尻尾に向かって急に細くなっているものは、脂の乗りが不十分なことが多いです。
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現役和食調理師のヒント

のどぐろは『太っているか』がすべて。丸太のように太い個体は、煮ても焼いても身がふわふわで、極上の脂が溢れ出します。

「皮の赤み」と「艶(つや)」を見る

鮮度が落ちると、のどぐろの美しい赤色は白っぽく褪せてしまいます。

  • 合格点
    全体的に鮮やかな赤色で、鏡のように光を反射する艶があるもの。
  • 要注意
    表面がカサついていたり、色が薄くぼやけているものは、鮮度が落ちて脂が酸化し始めているサインです。
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現役和食調理師のヒント

皮がピンと張っていて、ヌメりが透明なものが理想的。のどぐろは皮が薄いので、皮の状態がそのまま身の質に直結します。

「目」と「エラ」で最終確認

これはどの魚にも共通しますが、特に深海魚であるのどぐろは、目が澄んでいることが重要です。

  • 合格点
    目が黒々と澄んでいて、中心がパッチリしている。エラを覗いたときに、鮮やかな血赤色をしている。
  • 要注意
    目が白く濁っている、あるいは血走っている。エラが茶色っぽくなっているものは、刺身には向きません。

市場で差がつく「通」の選び方
のどぐろは網で獲る「底引き網」と、一本ずつ釣り上げる「延縄(はえなわ)」があります。
最高級は「釣り」
魚体に傷が少なく、ストレスがかかっていないため身質が最高です。鱗(うろこ)がびっしりと綺麗に残っているものを選んでください。
鱗の状態をチェック
のどぐろの鱗は剥がれやすいですが、それでも鱗がしっかり残っているものは、それだけ丁寧に扱われてきた証拠です。


パック越しでもわかる「買い」のサイン

  1. 尻尾の方まで丸々と太っているか?
  2. 色が鮮やかで、キラキラと艶があるか?
  3. 目が澄んでいて、鱗が剥がれ落ちていないか?

この3点を抑えれば、ご家庭でも料亭級ののどぐろを楽しむことができます。赤がくすみ、目が白く濁ってきます。脂のりも悪くなり、旨味が落ちるため避けましょう。

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現役和食調理師のヒント

購入時は“腹がやわらかくなっていないか”を軽く押して確認。柔らかい場合は内臓から傷んでいる可能性があります。お刺身や炙り用なら、鮮度は特に重要です。

アカムツと相性の良い食材・食べ合わせ

アカムツは上品な脂と旨味の強い白身魚で、あっさりした食材や香りのある素材と特に相性が良く、和食・洋食問わず幅広い料理に活用できます。

アカムツと相性の良い食材一覧

食材例合わせ方・理由
生姜
ねぎ
大葉
煮付けや蒸し物に加えると脂をさっぱりと引き立てる
すだち
ゆず
レモン
焼き物や刺身に添えると風味がアップし後味も爽やか
ごぼう
大根
人参
煮付けや鍋料理で旨味を吸って深みのある味に仕上がる
椎茸
えのき
しめじ
酒蒸しや煮物に加えると香りと食感のバランスがよい

お子様と一緒に「のどぐろ」を安心して楽しむために

板前の知恵:骨の不安を「安心」に変える下処理 のどぐろの身は非常に繊細です。せっかくの身を崩さず、かつ確実に小骨を取り除くには、プロが現場で行っている「視点」と「道具の使い道」があります。

魚を嫌いになる原因の多くは、口に当たった小骨の記憶です。お子様が一生の「魚好き」になるための、安全な食べさせ方と骨取りの秘訣を、こちらの案内で詳しく解説しています。

魚の小骨の取り方|子どもも食べやすいコツと“骨の不安”を減らす方法

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

アカムツの脂は香りがよく、すだちや大根おろしなど“引き算の食材”と合わせると、より上品に引き立ちます。煮付けにするなら、ごぼうやネギがとてもよく合います。

赤鯥の栄養素(食品成分表)

公式な【日本食品標準成分表(八訂・増補2023)】上で「アカムツ(のどぐろ)」という項目が 明確に掲載されているとは確認できていません。※参照元→のどぐろ 新潟市

栄養素単位
廃棄率%
エネルギー
水分69.7g
タンパク質19.6%
脂質12.6%
食物繊維(総量)g
炭水化物g
ナトリウム85
カリウム390
カルシウム25
マグネシウム26
リン180
0.5
亜鉛
マンガン
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)8
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD4
ビタミンE(トコフェロールα)0.9
ビタミンK
ビタミンB10.03
ビタミンB20.16
ナイアシン
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸
パントテン酸
ビオチン
ビタミンC
参照「新潟市の水産物【のどぐろ】」

漢字・英語表記・読み方

表記項目内容
漢字赤鯥(あかむつ)
通称のどぐろ(喉黒)
英語表記Blackthroat seaperch
カタカナ読みブラックスロート・シーパーチ
発音記号[ˈblækˌθrɔːt ˈsiːˌpɜːrtʃ]
学名Doederleinia berycoides
(ドーデルライニア・ベリコイデス)

「blackthroat seaperch」は直訳で「黒い喉を持つ海の鱸(スズキ)」の意味。のどぐろという日本名と対応しており、輸出品や英語圏向けのレストランメニューではこの表記が使われています

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現役和食調理師のヒント

英語圏ではまだ知名度が高くないため、和名“nodoguro”をそのまま使うこともあります。海外の日本食レストランでは “Nodoguro (Blackthroat Seaperch)” と併記されることもあります

調理師プロフィール画像
この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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