糸撚鯛(いとよりだい)の旬と味|上品な白身の特徴・調理法・英語表記を解説

糸撚鯛(イトヨリダイ)の姿|金色の縞が美しい上品な白身魚 TOP
淡いピンク色の体に金の線が走る、美しい白身魚「糸撚鯛」
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見た目は鯛に似ていますが、より繊細で上品な味わいを持つ「糸撚鯛(いとよりだい)」
淡いピンク色の体に金色の線が走る美しい魚で、料亭でも重宝される高級魚のひとつです。

春と秋に旬を迎え、刺身・煮付け・酒蒸しなど、どんな料理でもふっくらと仕上がるのが特徴。
やさしい甘みとしっとりとした白身は、年齢を問わず好まれます。

この記事では、現役和食調理師の視点から、
糸撚鯛の旬の時期・味の特徴・おすすめの調理法・英語表記などをわかりやすく解説します。
食卓に上品な一皿を添えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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いとよりだいの旬

▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】

主な産地は長崎県・鹿児島県・高知県などの西日本沿岸で、瀬戸内海や九州周辺では定置網や底引き網で多く水揚げされます。
特に春先の「若魚」は身がやわらかく、上品な甘さを楽しめる一方、秋の糸撚鯛は脂がのって煮付けや焼き物に最適です。

現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

市場では一年中見かける魚ですが、旬を意識して選ぶことで、より豊かな風味と旨みを感じられます。

糸撚鯛(いとよりだい)とは ~解説~

糸撚鯛の旬
産地で水揚げされた新鮮な糸撚鯛

糸撚鯛(いとよりだい)は、スズキ目イトヨリダイ科イトヨリダイ属に分類される海水魚で、学名は Nemipterus virgatus
名前の由来は、体の側面に通る金色の糸のような縞模様が「撚(よ)った糸」に見えることから「糸撚鯛」と呼ばれるようになりました。

体はやや細長く、全体に淡いピンク色の光沢があり、見た目の美しさから「祝い魚」としても用いられます。見た目は真鯛に似ていますが、鯛の仲間ではなく、より繊細で淡白な白身が特徴です。

味は非常に上品で加熱しても身崩れしにくく、しっとりと柔らかい食感が持続します。
このため、料亭や割烹では「吸い物」「酒蒸し」「煮付け」「塩焼き」などに多く使われ、
白身魚の中でもクセのない旨みと美しい色合いで高く評価されています。

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現役和食調理師のヒント

糸撚鯛は、加熱するとほどよく締まりながらもパサつきにくい魚です。下処理の際に軽く塩をふって10分ほど置き、余分な水分を抜いてから調理すると、旨みが凝縮され、ふっくらと仕上がります。

糸撚鯛の地方名

糸撚鯛(いとよりだい)は、全国的に「イトヨリ」または「イトヨリダイ」の名で広く知られており、大きな地域差のない魚です。ただし、一部の地域では次のような地方名が確認されています。

地域呼び名
全国イトヨリ、イトヨリダイ
沖縄県イジュキン
沖縄県(奄美地方含む)イトヒキ
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現役和食調理師のヒント

魚屋で「イトヨリ」「イトヨリダイ」と表示されていれば、いずれも同じ魚です。
地方によって呼び方は違っても、特徴的な“金色の筋”を目印にすれば見分けは簡単ですよ。

糸撚鯛の目利き(選び方)

糸撚鯛の鮮度の見分け方
目が澄み、エラが鮮紅色のものが新鮮な糸撚鯛の証

糸撚鯛は身が傷みやすく、鮮度で味わいが大きく変わる魚です。購入時には以下のポイントをチェックすると良いでしょう。

チェック項目目利きのコツ注意点
黒目がはっきりしていて透明感があるものが良い目が白く濁っていたり曇っているものは鮮度低下のサイン
体色・模様鮮やかなピンク色、金色の縦縞がくっきりしているもの色がくすんでいたり線がぼやけていると鮮度落ちの可能性あり
エラエラの内側が鮮紅色で、ぬめりが少ないものエラが茶色く変色していたり泥臭さがあるものは避ける
身の張り・弾力手で軽く押してみて、押し返すようなハリがあるもの弾力が失われて軟らかくなっているものは鮮度が落ちている可能性あり
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

皮目には旨味が残っていることが多いので、刺身や皮霜造りに使う際は皮面の張り具合も確認しておくと、味の差が出やすいですよ。

糸撚鯛と相性の良い食材

糸撚鯛の調理例|アクアパッツア
糸撚鯛のアクアパッツア

糸撚鯛(いとよりだい)は、淡白で上品な甘みのある白身魚のため、さまざまな食材と相性が良く、和・洋問わず幅広い料理に活用できます。

食材相性が良い理由・根拠・出典
レモン酸味が魚の淡白さを引き締め、爽やかさを加える。ムニエルやソテーにレモン汁をかけて締まりを出すのは定番。
トマトイトヨリ × トマトソース「白身魚とトマトソースは相性抜群」
バタームニエルなど洋風調理の定番として使われる
オリーブオイル洋風アレンジにしばしば登場。
生姜蒸し料理・中華風アレンジに適。魚臭さを抑えつつ香りをプラス。
昆布糸撚鯛は水分を多く含むため、「昆布締め」との相性が良い
醤油
みりん
日本の魚の煮付け調味料の基本。
チーズ
クリームソース
通常は濃厚な組み合わせだが、淡白な魚との対比で相性がよい。イトヨリのドリア
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

昆布や柑橘類との相性は特に良く、さっぱりと仕上げたいときは柚子・すだち・梅干しを活用。洋風ならオリーブオイルやハーブとの組み合わせもおすすめです。

糸撚鯛に合う調理法

糸撚鯛の調理例|塩焼き
酒蒸し・ムニエルなど、糸撚鯛は多彩な調理法で楽しめます
調理法理由
塩焼き皮目の香ばしさと身の甘みが際立ち、シンプルながら味わい深い。
酒蒸しやわらかい白身がふっくら仕上がり、旨味を逃さない。
刺身新鮮なものなら上品な甘みを楽しめるが、身がやや柔らかいため好みが分かれる。
煮付け淡白な味が甘辛い煮汁とよく合う。やさしい味わいでご飯にも合う。
フライ身が崩れやすいため、加熱しすぎに注意が必要。ふわっと仕上げればおいしい。
現役和食調理師のイラスト|25年以上の経験から料理のヒントを伝えます

現役和食調理師のヒント

糸撚鯛は、火を通すとふっくらやさしい食感が楽しめる魚です。とくに「塩焼き」や「酒蒸し」は素材の味をいちばん活かせるおすすめの調理法。刺身にする場合は、皮付きのまま湯引きにすると風味が際立ちます。

いとよりだいの栄養素~食品成分表~

いとよりだい(生)
可食部100g当たり

栄養素単位
廃棄率0%
エネルギー85
水分78.8g
タンパク質18.1g
脂質1.7g
食物繊維(総量)g
炭水化物0.1g
ナトリウム85
カリウム390
カルシウム46
マグネシウム26
リン200
0.5
亜鉛0.4
0.05
マンガン0.02
ヨウ素84
セレン33
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)28
ビタミンA(β-カロテン)
ビタミンD11.0
ビタミンE(トコフェロールα)0.6
ビタミンK
ビタミンB10.04
ビタミンB20.08
ナイアシン2.3
ビタミンB60.27
ビタミンB123.0
葉酸5
パントテン酸0.50
ビオチン3.7
ビタミンC2
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

▶ 栄養の全体像を知りたい方はこちら
五大栄養素・ビタミン・ミネラルをまとめたページへ

糸撚鯛の漢字・英語表記

糸撚鯛の英語表記 Golden threadfin bream
糸撚鯛は英語で「Golden threadfin bream」と呼ばれます
表記内容
漢字糸撚鯛
ひらがないとよりだい
英語表記Golden threadfin bream
発音記号[ˈɡoʊldən ˈθred.fɪn briːm]
カタカナ表記ゴールデン・スレッドフィン・ブリーム

英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。

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この記事を書いた人
現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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