春から初夏にかけて旬を迎える白身魚「伊佐木(いさき)」
やわらかく上品な脂がのったその身は、刺身や塩焼き、煮つけにも向いており、家庭でも料亭でも重宝される魚です。
この記事では、いさきの旬の時期や特徴、おいしい食べ方、相性のよい食材、目利きのコツまで、和食調理師として25年以上の経験をもとにわかりやすく解説します。
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伊佐木の旬
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いさきの旬は5月〜7月。とくに6月は産卵前で脂がのり、もっともおいしい時期とされています。

現役和食調理師のヒント
旬のいさきは、皮目に香ばしさがあるため「塩焼き」や「皮を活かした刺身(湯引き)」がおすすめです。
伊佐木とは ~解説~

伊佐木(いさき)は、スズキ目イサキ科に属する海水魚で、体長は30〜40cmほど。体は銀白色で、若魚には体側に黒い縞模様が見られますが、成魚になると薄れていきます。
脂のりがよく、クセのない上品な白身は刺身や塩焼き、煮付けなど幅広い調理法に対応。ほどよい弾力とふっくらした食感で、初夏の高級魚としても親しまれています。
- スズキ亜目イサキ科イサキ属の魚
- 産卵期は6~9月
- 成長で45㎝程度になる
- 20~30㎝の物が一番おいしいとされる
- 5~7月の梅雨時期が一番おいしいとされる(麦わらイサキ・梅雨イサキと呼ばれる)
- 夜行性で夜になると水面近くまで浮上する
- 「値賀咲(ちかさき)」「紀州イサキ」と呼ばれるブランドイサキがある
値賀咲
=長崎県小値賀島周辺で手釣り、活〆されたもの。撒き餌をしないので生臭くない)
紀州イサキ
=紀州灘で手釣り、活〆されたもの
伊佐木の地方名
いさきは日本各地で水揚げされる魚で、地域によって呼び名が異なることもあります。
| 地域 | 呼び名 |
|---|---|
| 関西地方 | バンドウ |
| 長崎県 | シマ、シマイサキ |
| 高知県 | ヒラコ、シマイオ |
※若魚(小型)を「シマイサキ」と呼ぶ地域もあります。
伊佐木の目利き
いさきを選ぶ際は、以下のポイントを確認すると鮮度の良いものを見分けやすくなります。
| チェックポイント | 見分け方 |
|---|---|
| 目 | 黒目がはっきりし、澄んでいるもの |
| 体表 | 銀白色が鮮やかでツヤがあるもの |
| 体の張り | しっかりと弾力があるものが新鮮 |
| エラ | 鮮やかな赤色でぬめりが少ないもの |
| 縞模様 | 若魚はくっきりした縞が目安(成魚は縞が薄い) |

現役和食調理師のヒント
新鮮ないさきは皮目がきれいに焼き上がるので、皮付きのまま塩焼きや炙り刺身にすると美味しさが際立ちます。
伊佐木と相性の良い食材
白身でクセがなく、皮目に旨味のあるいさきは、和の香味野菜や酸味・コクのある調味料と相性が抜群です。
| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| 大葉 | 刺身に添えると爽やかな香りで風味アップ |
| 梅干し | 煮付けや焼き物に加えて臭み消し&さっぱり感を演出 |
| 長ねぎ | 焼き魚や煮付けに添えると甘みが引き立つ |
| ごぼう | 煮付けの香りと食感のアクセントに最適 |
| 柚子胡椒 | 塩焼きや蒸し料理の薬味としてピリ辛のアクセントに |
伊佐木に合う調理法
いさきは皮にうま味があり、身もやわらかくクセがないため、刺身から焼き物・煮物・蒸し物まで幅広い調理に向いています。
| 調理法 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 塩焼き | ◎ | 皮目の香ばしさと脂の甘みが際立ち、旬のいさきに最適 |
| 刺身(湯引き) | ◎ | 身がしっとりしており、皮を湯引きすることで旨味を引き出せる |
| 煮付け | ○ | 甘辛い味付けとよく合い、皮も崩れにくい |
| 蒸し物 | ○ | ふっくら仕上がり、上品な白身の味を楽しめる |
| 揚げ物(唐揚げ) | △ | 小型のいさきや骨付きで使うと良いが、やや身がくずれやすい |
| 酢の物 | × | 生食に向くが、酢との相性はあまり良くない |

現役和食調理師のヒント
いさきの刺身は皮を残して「湯引き」にすることで、皮下の脂と香りが活きてきます。焼き物では軽く飾り包丁を入れると皮が反らず、見た目も美しくなります。
伊佐木の栄養素(食品成分表)
いさき(生)
可食部100g当たり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 45 | % |
| エネルギー | 116 | ㎉ |
| 水分 | 75.8 | g |
| タンパク質 | 17.2 | g |
| 脂質 | 5.7 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 160 | ㎎ |
| カリウム | 300 | ㎎ |
| カルシウム | 22 | ㎎ |
| マグネシウム | 32 | ㎎ |
| リン | 220 | ㎎ |
| 鉄 | 0.4 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.6 | ㎎ |
| 銅 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | – | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 41 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | 15.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.9 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.06 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.12 | ㎎ |
| ナイアシン | 4.0 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.31 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 5.8 | ㎍ |
| 葉酸 | 12 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.77 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | – | ㎎ |
| 栄養素 | 含有量 | 一般的な特徴 |
|---|---|---|
| ビタミンD | 15.0 µg | 魚類の中でもかなり高い水準。カルシウム吸収を助け、骨の健康維持に重要。 |
| ビタミンB12 | 5.8 µg | 魚に多く、貧血予防や神経機能の維持に役立つ。高含有。 |
| タンパク質 | 17.2 g | 良質なたんぱく源として優秀。アミノ酸バランスが良い。 |
| リン | 220 mg | 骨や歯の形成に関わるミネラル。魚全般に豊富だが、この値も高め。 |
| カリウム | 300 mg | 体内の塩分バランスを整える。魚の中でも中~やや高水準。 |
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現役和食調理師のヒント
いさきはDHA・EPAも豊富で、脂ののった旬の時期には栄養価がさらにアップします。刺身や蒸し物で調理すれば、栄養素を逃しにくいです。
いさきの漢字・英語表記

| 項目 | 表記 |
|---|---|
| 漢字 | 伊佐木・伊岐魚・鶏魚 |
| 英語名 | Chicken grunt |
| 発音記号 | [ˈtʃɪkɪn ɡrʌnt] |
| カタカナ表記 | チキン・グラント |
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