みるがい(海松貝)の旬はいつなのでしょうか?
答えは、春から初夏(3月~6月頃)がもっとも美味しい時期とされています。
高級寿司ネタとして知られるみるがいは、コリコリとした独特の歯ごたえと、ほんのり甘みのある味わいが魅力の貝です。寿司や刺身はもちろん、和食の食材としても幅広く利用されてきました。
この記事では、みるがいの旬・特徴・地方名・目利き方法・栄養素・英語表記 まで調理師目線で詳しく解説します。寿司好きな方や旬の魚介類に興味がある方に役立つ内容になっています。
👉 また記事の最後では、実際に鮮魚宅配サービス「サカナDIY」を調理師が利用したレビューも紹介しています。みるがいをはじめ、旬の魚介を手軽に楽しみたい方は、ぜひチェックしてみてください。
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ミルガイの旬 ~おいしい時期~
みるがい
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季節ごとの旬の食材をもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。▶ 旬の野菜・魚介【年間カレンダー】
ミルガイとは ~解説~

ミル貝と呼ばれる貝の中でも、ミルガイ(本ミルガイ/ミルクイ)と白ミルガイ(ナミガイ)という2種類があり、通称の呼び名が多いため混同されやすいですが、以下の点を押さえると理解しやすくなります。
主な特徴と名前の由来
- 和名・別名
本ミルガイ(ミルクイ・ホンミル・黒ミルなど)と、白ミルガイ(ナミガイ/白ミル)があります。通称「ミルガイ」でまとめて呼ばれることも多いです。 - 形態
殻長は約15cm前後が一般的。砂泥底に潜り、水管(すいかん)が発達しているのが特徴です。水管は長く太く、黒い殻皮に覆われ、水管だけが殻から突出する形になります。殻を完全に閉じることはできません。 - 名前の由来
「ミルクイ」の名は、水管につく海藻(「ミル」と呼ぶ海藻が付着すること)から、「海松食い(みるくい)」と呼ばれるようになったと言われています。貝が“ミルを食べているように見える”ことがその由来です。実際にはミルを食べているわけではありません。
生息地・旬・流通
- 生息域
本ミルガイは北海道南部から九州までの内湾域の砂泥底に広く分布し、同じく朝鮮半島沿岸にも見られます。 白ミルガイ(ナミガイ)は全国的に浅めの砂泥地で採れる種類で、内湾を含む浅海域で捕れます。 - 旬/漁期
本ミルガイの旬は主に冬から春(11〜3月頃)で、水温が低い時期に身が締まり味が濃くなります。白ミルガイも春先が美味しいとされます。 - 流通と価格
流通量は少なく高価です。すし店や高級料亭などで使われることが多く、白ミルガイは「白ミル」として本ミルガイの代替となることがありますが、本ミルガイの方が一般には味・評価ともに上です。
味わい
- コリコリとした歯ごたえがあり、特に水管部分は食感が強く、甘み・磯の香りがあります。
- 貝特有の風味がありながら、あっさりとして食べやすく、寿司や刺身でその旨味を楽しむのが一般的。

現役和食調理師のヒント
ミルガイは「寿司ネタの王様」と呼ばれることもあるほど、上品で力強い旨みを持っています。特に水管の部分はコリコリとした歯ごたえと甘みが際立ち、シンプルに刺身や寿司で味わうのが一番おすすめです。
ミルガイとよく合う食材

| 食材・調味料/香味 | 合う理由・ポイント |
|---|---|
| 長ネギ | 香味が貝の甘みを引き立て、さっぱり感をプラスする。 |
| 生姜 | 貝の海の香りを抑え、味を引き締めるアクセントになる。 |
| レモン 柚子 | 酸味で甘みとのバランスが良くなり、味がくどくならずさっぱりとする。 |
| ワカメ | 海藻の旨みと食感がミル貝に合い、調和が取れる。ミル貝の海の風味とも親和性が高い。 |
| バター | コクと風味を足してくれる。貝の歯ごたえとのコントラストが良好。 |
| ポン酢 | 日本料理の基本。旨味・塩味を加えてミル貝の甘みを引き出す。ポン酢で酸味も添えられる。 |
| 大葉 三つ葉 | 香りが爽やかで貝の味を邪魔せず、彩りも良くなる。 |
| にんにく | にんにくの香りでコクが深まり、ミル貝の淡い味にアクセントを加える。 |
| セロリ | シャキシャキした食感と香りが甘みとの対比を作る。ミル貝の濃厚さを抑える働きがある。 |

現役和食調理師のヒント
柑橘や生姜など香味を加えると磯の香りが和らぎ、旨みがより引き立ちます。
ミルガイにおすすめの調理法

| 調理法 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 刺身 お造り | 水管部分を軽く湯通し・氷水で締めて食感を保つ。甘味と磯の風味が楽しめる。下処理でぬめりをきちんと取ることが重要。 |
| バターソテー | バターやオリーブオイルで香ばしく。ネギ・生姜・柑橘を加えることでミルガイの旨味が引き立つ。じっくり火を入れすぎないこと。 |
| 酢の物 | 柑橘類や酢を使って酸味を加える。ミルガイのあっさり感を活かす。薄切りにして他の素材と和えると軽く食べられる。 |
| 炒め煮 | 出汁・酒・みりん・薄口醤油などで煮含めるか、蒸してふんわり仕上げる。温かさで甘みが増す。 |

現役和食調理師のヒント
ミルガイは火を入れすぎると硬くなりやすいので、加熱する場合は短時間で仕上げるのがコツです。特に炒め物やソテーは「強火でさっと」が鉄則。逆に刺身では、氷水で軽く締めることでコリコリ感が際立ちます。
地方名
- ナミガイ
- ホンミル
- クロミル
- ミルクイ
- ソデフリ
- シロミル
- ウシガイ
目利き
| チェックポイント | 良い状態・目安 |
|---|---|
| 生きていること | 水管に触れたときにすぐ反応するものを選ぶ。動きが鈍いものは避ける。 |
| 水管の大きさ | 水管が太く大きいもの、水管の先端が立派でしっかりしているものが良い。 |
| 貝全体の重さ | 殻も身も厚みがあり重く感じるもの。持ってみて詰まり感・重みを感じるもの。 |
| 見た目 | 表皮が過度に乾燥していない、ぬめりすぎていない、変色や悪臭がないもの。殻・水管の色調やツヤも良いもの。 |
| サイズ | 大きいものは肉厚で味が良いが、寿司や握り用なら使いやすい大きさの水管長・身のものを選ぶ。 |

現役和食調理師のヒント
ミルガイは値段が高い分、鮮度の見極めがとても大事です。水管の張りと反応の良さは絶対にチェックしたいポイント。刺身にする場合は特に、生きていて水管が動くものを選ぶのがおすすめです。
ミルガイの栄養素 ~食品成分表~
みるがい(生)水管
可食部100g当たり
| 栄養素 | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 廃棄率 | 80 | % |
| エネルギー | 77 | ㎉ |
| 水分 | 78.9 | g |
| タンパク質 | 18.3 | g |
| 脂質 | 0.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | g |
| 炭水化物 | 0.3 | g |
| ナトリウム | 330 | ㎎ |
| カリウム | 420 | ㎎ |
| カルシウム | 55 | ㎎ |
| マグネシウム | 75 | ㎎ |
| リン | 160 | ㎎ |
| 鉄 | 3.3 | ㎎ |
| 亜鉛 | 1.0 | ㎎ |
| 銅 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | 0.16 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | ㎍ |
| セレン | – | ㎍ |
| クロム | — | ㎍ |
| モリブデン | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | – | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | ㎍ |
| ビタミンD | – | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 0.6 | ㎎ |
| ビタミンK | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | – | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.14 | ㎎ |
| ナイアシン | 2.0 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.05 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 9.1 | ㎍ |
| 葉酸 | 13 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.64 | ㎎ |
| ビオチン | – | ㎍ |
| ビタミンC | 1 | ㎎ |
| 栄養素 | 含有量 | 備考 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 18.3 g | 魚介類の中でも高め。低脂質で良質なたんぱく源。 |
| カリウム | 420 mg | ナトリウム排出を助ける働き。貝類の中でもやや多い。 |
| リン | 160 mg | 骨や歯の形成に重要。魚介類平均(150 mg前後)と同等以上。 |
| 鉄 | 3.3 mg | 魚介類では高水準。貧血予防に効果的。 |
| ビタミンB12 | 9.1 µg | 極めて多い。貝類全般に多く、神経や血液の健康維持に関与。 |
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ミルガイの英語表記

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 漢字表記 | 海松貝 |
| ひらがな/カタカナ | みるがい/ミルガイ |
| 英語表記 | geoduck clam |
| 発音記号 | /ˈɡuː.i.dʌk klæm/ |
| カタカナ読み | グイダック・クラム |
| 例文(英文) | I ordered sushi with geoduck clam at the restaurant. |
| 例文(和訳) | レストランでミルガイの寿司を注文しました。 |
英語表記についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのページで 魚介類の漢字・英語表記一覧 をまとめています。
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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)
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