食用菊とは?栄養・種類・旬・食べ方まで徹底解説【調理師監修】

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食用菊の旬 ~おいしい時期~

食用菊の旬は9月〜11月ごろの秋です。特に10月は品種・産地ともに豊富で、
市場やスーパーでも見かけやすくなる季節です。

最も多く出回るの品種
黄色系:阿房宮(あぼうきゅう)
紫系:もってのほか(延命楽)

食用菊

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食用菊とは ~解説~

食用菊 しょくようぎく(Edible chrysanthemum)

食用菊(しょくようぎく)は、観賞用ではなく「食べるために品種改良された菊の花」です。一般的に「黄菊」や「もってのほか(紫菊)」などの苦味や香りが穏やかな品種が使われます。
花びらだけを食べるのが基本で、酢の物、おひたし、和え物などに用いられ、独特の香りとシャキッとした食感が特徴です。

  • 食用菊は観賞用のきくと同じ菊の仲間
  • 菊の一種で、特に食用として栽培されている菊を指す
  • 標準和名は「ショクヨウギク」で食菊、料理菊とも呼ばれる
  • 観賞用に比べ、食用は苦みが少ない
  • 花びらが大きくなるように品種改良された物がある
  • 栽培が盛んで一年中出回るが旬であるが、秋物は香りのよさが違う
  • 醤油に花弁を散らして彩り・香りを楽しむ食べ方もある
  • 冷凍物や乾燥物も売られている

食用菊の保存方法

保存方法別のまとめ

保存方法状態保存期間の目安ポイント・注意点
冷蔵保存(生)花びらを外して軽く湿らせたペーパー+密閉袋2〜3日乾燥に弱いので密閉必須。加熱前提で早めに使用
茹でて冷蔵酢を少し加えて軽く茹でてから保存約3日加熱で色止め+保存性アップ。タッパーに入れる
冷凍保存下茹でした花びらを冷凍約1ヶ月小分けして冷凍すれば長期保存が可能
酢漬け・甘酢漬け調味液に漬ける1週間〜10日彩り・風味が長持ちし、お弁当にも便利

食用菊はとてもデリケートな食材で、水分の蒸発や傷みによる変色が早いのが特徴です。
基本的には入手後1〜2日以内に使うのが理想ですが、下処理をすることで保存期間を延ばすことができます。

特におすすめなのが、酢を加えてさっと茹でてから保存する方法
→ 菊の色鮮やかさを保ちつつ、風味も損なわれにくくなります。

主な品種

✅ 品種一覧と特徴(代表的な食用菊)

品種名特徴・用途
阿房宮(あぼうきゅう)鮮やかな黄色最も流通量が多い。花びらが肉厚で香りやや強め。酢の物やおひたしに。
もってのほか(延命楽)赤紫〜ピンク系新潟県・山形県の代表品種。香りと苦味が控えめで上品。酢の物や菊ごはんに。
岩泉菊淡い黄色岩手県など東北地方で栽培。やわらかな花弁で彩りがよい。
小菊系(未登録品種含む)白〜薄紫など加工用・飾り用が多い。苦味が強いものもあり、用途限定。

✅ 解説

食用菊は、品種によって「色・香り・苦味・花弁の大きさ」が異なります。
特に人気があるのは、黄色系の「阿房宮」と紫系の「もってのほか」。

  • 阿房宮は黄色くて香りが立ち、料理のアクセントや酢の物の主役に
  • もってのほかは「食べるなんてもってのほか」と言われたほど上品で、
    香りも穏やかで菊初心者におすすめの品種です。

色だけでなく、味や食感の好みで品種を選ぶのがポイントです。


✅ カラーバリエーションまとめ

主な品種味・香りの傾向
黄色阿房宮、岩泉菊やや香り強め・苦味あり。華やかさ重視。
紫・ピンクもってのほか香りマイルドでクセが少ない。上品な味。
白・淡色系小菊・飾り菊飾り向き。食用にはやや苦味が強い傾向。

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現役和食調理師のヒント

食用菊は「色」だけでなく「香りや苦味」も品種によって異なります。
料理の内容や見た目に合わせて、使い分けるのがプロの選び方です。

食用菊と相性の良い食材

  • 酢の物(定番)
    ┗ 菊ときゅうり、しめじ、わかめなどの三杯酢和え
  • おひたし・和え物
    ┗ 菊とほうれん草の白和え、えのきと菊のポン酢和え
  • 吸い物・茶碗蒸し
    ┗ 湯葉・豆腐・菊をあしらった上品な椀もの
  • ご飯もの
    ┗ 菊の花びらを混ぜ込んだ菊ごはん(酢飯も可)
  • 天ぷら
    ┗ 菊の花びらをかき揚げ風に揚げて、香ばしさを楽しむ

食用菊は「主張しすぎない上品な香り」が魅力。
脇役として料理を引き立てる、和のアクセント食材として重宝します。

食用菊の栄養素 ~食品成分表~

食用菊はその見た目の美しさだけでなく、栄養価も意外と高いのが魅力です。
特に、β-カロテンやカリウム、食物繊維が豊富で、ヘルシー志向の方に人気があります。また、含まれるポリフェノールや苦味成分には、香りや風味だけでなく、野菜のような栄養的役割もあるとされています。

きく 花びら
可食部100g当たり

栄養素ゆで単位
廃棄率015%
エネルギー2125
水分92.991.5g
タンパク質1.01.4g
脂質g
食物繊維(総量)2.93.4g
炭水化物5.76.5g
ナトリウム12
カリ140280
カルシウム1622
マグネシウム912
リン2028
0.50.7
亜鉛0.20.3
0.040.04
マンガン0.240.36
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
ビタミンA(レチノール)
ビタミンA(β-カロテン)6167
ビタミンD
ビタミンE(トコフェロールα)4.14.6
ビタミンK1011
ビタミンB10.060.10
ビタミンB20.070.11
ナイアシン0.20.5
ビタミンB60.040.08
ビタミンB12
葉酸4073
パントテン酸0.150.20
ビオチン
ビタミンC511
参照「「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」」

菊の花びらはビタミンE・葉酸・食物繊維がポイント。生はカリウム・ビタミンC・葉酸が高め、ゆでは色が冴えて食べやすいのが長所。茹では酢少々+超短時間で色と香りを残し、仕上げは酢の物や白和えで栄養と風味を活かすのがコツ。

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食用菊の漢字・英語表記と読み方

「食用菊」は、漢字でそのまま「食用菊」と書き、「しょくようぎく」と読みます。
英語では主に Edible chrysanthemum(食用の菊) と訳されますが、Garland chrysanthemum(春菊)と混同されることもあるため注意が必要です。
日本でいう「食用菊」は、欧米圏では一般的ではないため、英語で説明する場合は
“Chrysanthemum cultivated for culinary use in Japan.”のように補足すると丁寧です。
(日本で食用に栽培されている菊)

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現役の和食調理師/おかだ けんいち(調理歴25年以上)

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