姿は巨大で堂々、そして食卓では「寿司ネタの王様」
黒鮪(クロマグロ/本鮪) は、日本人にとって特別なマグロです。冬場に脂がのった大トロはとろける旨み、赤身はさっぱりとした深い味わい。まさに「マグロの最高峰」と呼ばれる理由がここにあります。
でも、こんな疑問はありませんか?
黒鮪(クロマグロ)の旬っていつ?
メジマグロやコシナガマグロとの違いは?
英語での表記は?海外ではどう呼ばれているの?
クロマグロの栄養素はどう?
このページでは、そんな疑問に答えながら クロマグロの旬、特徴、相性の良い食材や調理法、栄養素 を、現役和食調理師の視点でわかりやすく解説します。
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黒鮪(クロマグロ)の旬
成魚(クロマグロ/本鮪)の旬
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
若魚(メジマグロ/ヨコワ)の旬
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | ⑨ | ⑩ | ⑪ | ⑫ |
|---|
クロマグロは日本近海から大西洋・地中海にかけて広く分布する大型のマグロで、旬の時期は地域や魚の成長段階によって異なります。
主な旬の時期
- 成魚(クロマグロ)
冬(12月~2月)が最も脂がのり、特に正月前後は「寒マグロ」として最高の味わいを誇ります。大トロの脂は甘みが強く、とろける食感。赤身も旨みが濃くなります。 - 若魚(メジマグロ/ヨコワ)
夏から秋(6月~10月)が旬。体長30〜50cmほどで、脂は少なくあっさりとした赤身の味わいが楽しめます。価格も手頃で家庭でも人気。

現役和食調理師のヒント
『冬はクロマグロ』という固定観念を捨て、産地・時期で選んでみると、例年より早い脂乗りのクロマグロに出会えることもありますよ。
黒鮪とは ~特徴と味わい~

クロマグロは、スズキ目サバ科に属する世界最大級の海水魚で、体長3m、体重500kgを超える個体も確認されています。漢字では「黒鮪」や「黒真黒」と表記され、流通名としては「本鮪(ほんまぐろ)」 が一般的です。寿司や刺身に欠かせない存在であり、その圧倒的な味わいから「マグロの王様」と呼ばれています。
日本は世界一のマグロ消費国
日本は世界一のマグロ消費国で、世界の水揚げ量の約55%を消費しています。国産天然のクロマグロは冬が旬とされますが、需要に対して漁獲量が追いつかず、希少価値が高いため高級魚として扱われています。現在は冷凍や輸入、さらには養殖によって、一年を通して楽しめるようになりました。
部位ごとの違い
クロマグロは、頭から尾にかけて「上(かみ)」「中(なか)」「下(しも)」に区分され、それぞれ身質が異なります。
- 大トロ:腹の上部にあたり、脂が最も多く濃厚でとろける味わい。
- 中トロ:腹の中〜下部。赤身と脂のバランスがよく、ほどよいコク。
- 赤身:背中側の部分。さっぱりとしつつも旨みが濃い。
天然・養殖・冷凍の違い
天然クロマグロ:まろやかでコクがあり、旨みが強い。
養殖クロマグロ:脂がしっかりのり、白っぽく柔らかい身質
冷凍クロマグロ:保存・解凍方法で味が大きく左右される。

現役和食調理師のヒント
クロマグロは部位ごとに“別の魚か?”と思うほど味わいが違います。お寿司屋さんで“今日は赤身、次は中トロ”と食べ比べると、まるでフルコースのような贅沢を味わえますよ。
黒鮪の地方名
クロマグロは成長段階や地域によって呼び名が変わる「出世魚」です。特に若魚は地方ごとにさまざまな呼称があり、寿司屋や市場でも耳にすることがあります。
- カキノタネ:幼魚の呼び名。小型のクロマグロを指す。
- マメジ:幼魚~若魚。豆のように小さいことから。
- ヨコワ:関西地方での若魚の呼び名。横に細長い体型から。
- シビコ:関東での若魚の呼び方。
- コシビ:シビの小さいもの(若魚)。
- シビ:関東ではクロマグロを「シビ」と呼ぶことが多い。
- メジマグロ:体長30〜50cmほどの若魚。全国的に広く使われる呼び名。
- クロシビ:成魚のクロマグロを指す呼び方の一つ。
黒鮪の目利き(鮮度の見分け方)

クロマグロは高級魚だからこそ、鮮度や品質の見極めが重要です。購入するときには以下のポイントをチェックしましょう。
鮮度の見分け方
| チェックポイント | 良い状態 | 注意すべき状態 |
|---|---|---|
| 身の色 | 鮮やかな赤色や深紅色 | 黒ずみ・茶色っぽい |
| 血合い | 鮮やかでハリがある | くすんで色あせている |
| 脂の照り | 自然な光沢があり艶やか | 乾いている・白っぽすぎる |
| ドリップ(汁) | パックに汁が出ていない | 水分が多く流れ出ている |
| 身の締まり | 指で押すと弾力がある | 柔らかすぎて戻らない |
冷凍もの
しっかりと色が鮮やかで、霜がついていないものを選ぶ。
解凍方法で味が変わるため、「流水解凍」「氷水解凍」など丁寧に行うことが大切。

おかみさんの一言
市場やスーパーで“脂の照りと赤身の色”をチェックするだけでも、ぐっと良いマグロに出会えますよ。高級魚だからこそ、見極めの目を養いたいですね。
黒鮪と相性の良い食材

| 食材 | 組み合わせの理由・使い方例 |
|---|---|
| わさび | 刺身や寿司の定番。辛味が脂をさっぱりさせ、旨味を引き立てる。 |
| 醤油 | 赤身の旨味を際立たせる万能調味料。漬けにすると保存性もアップ。 |
| 大葉 | 香りが強く、さっぱり感をプラス。巻き物や刺身の添えに最適。 |
| 酢飯 | 酸味がクロマグロの脂をバランスよく中和し、寿司で真価を発揮。 |
| 味噌 | 味噌漬け焼きでしっかりした旨味と香ばしさをプラス |
| にんにく | マグロ丼(ごま油・醤油漬け)、ソテー、ステーキなど香ばしさと食欲をそそる風味アップ |
| 柚子 すだち | 脂が強い部位に爽やかな酸味を添えることで、後味を軽やかにする。 |

現役和食調理師のヒント
クロマグロは脂がのっている分、香りや酸味のある食材を合わせると、口の中で調和がとれて食べやすくなりますよ。
黒鮪に合う調理法

| 調理法 | 理由 |
|---|---|
| 刺身・寿司 | 赤身はさっぱり、トロは脂の甘み。素材の旨さを最も活かせる。 |
| 漬け(ヅケ) | 醤油やごま油に漬けることで旨味が凝縮し、ご飯にも合う。 |
| 炙り たたき | 表面を軽く炙ると香ばしさが加わり、脂の甘みが際立つ。 |
| ステーキ ソテー | 赤身は加熱で旨味が濃縮。にんにく醤油やバターとも好相性。 |
| 照り焼き | 甘辛いタレが脂とよく絡み、ご飯が進む味わいに。 |
| 煮付け | 脂が強いため、あっさりした部位やメジマグロ向き。 |
| フライ 天ぷら | 脂が多く揚げ物には不向き。重たく感じやすい。 |

おかみさんの一言
クロマグロは生や炙りで味わうのがやっぱり一番。でも、家庭ではステーキや照り焼きにすると“ごちそう感”が出て楽しめますよ。
黒鮪の栄養素 ~食品成分表~
クロマグロは「高たんぱく・高脂質」の魚で、部位によって栄養バランスが大きく異なるのが特徴です。赤身は脂質が少なく、たんぱく質や鉄分、ビタミン類が豊富で、ヘルシーながら栄養価が高い部位です。大トロや中トロは脂質が多く、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸をしっかり含んでおり、コレステロール対策や血流改善などに役立つ成分を摂取できます。
また、クロマグロはビタミンB群(B1・B2・B6・B12)が豊富で、疲労回復や代謝アップに効果的。鉄や亜鉛などのミネラルも多く含まれており、貧血予防や免疫力のサポートに期待できます。
くろまぐろ(生)天然
可食部100g当たり
| 栄養素 | 脂身 | 赤身 | 単位 |
|---|---|---|---|
| 廃棄率 | 0 | 0 | % |
| エネルギー | 308 | 115 | ㎉ |
| 水分 | 51.4 | 70.4 | g |
| タンパク質 | 20.1 | 26.4 | g |
| 脂質 | 27.5 | 1.4 | g |
| 食物繊維(総量) | – | – | g |
| 炭水化物 | 0.1 | 0.1 | g |
| ナトリウム | 71 | 49 | ㎎ |
| カリウム | 230 | 380 | ㎎ |
| カルシウム | 7 | 5 | ㎎ |
| マグネシウム | 35 | 45 | ㎎ |
| リン | 180 | 270 | ㎎ |
| 鉄 | 1.6 | 1.1 | ㎎ |
| 亜鉛 | 0.5 | 0.4 | ㎎ |
| 銅 | 0.04 | 0.04 | ㎎ |
| マンガン | – | 0.01 | ㎎ |
| ヨウ素 | – | 14 | ㎍ |
| セレン | – | 110 | ㎍ |
| クロム | – | – | ㎍ |
| モリブデン | – | – | ㎍ |
| ビタミンA(レチノール) | 270 | 83 | ㎍ |
| ビタミンA(β-カロテン) | – | – | ㎍ |
| ビタミンD | 18.0 | 5.0 | ㎍ |
| ビタミンE(トコフェロールα) | 1.5 | 0.8 | ㎎ |
| ビタミンK | – | – | ㎍ |
| ビタミンB1 | 0.04 | 0.10 | ㎎ |
| ビタミンB2 | 0.07 | 0.05 | ㎎ |
| ナイアシン | 9.8 | 14.0 | ㎎ |
| ビタミンB6 | 0.82 | 0.85 | ㎎ |
| ビタミンB12 | 1.0 | 1.3 | ㎍ |
| 葉酸 | 8 | 8 | ㎍ |
| パントテン酸 | 0.47 | 0.41 | ㎎ |
| ビオチン | – | 1.9 | ㎍ |
| ビタミンC | 4 | 2 | ㎎ |
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黒鮪の英語表記

クロマグロは漢字で 「黒鮪」「黒真黒」 と表記されます。市場や流通では「本鮪(ほんまぐろ)」という名称が一般的で、高級寿司店や鮮魚店でもこの呼び名が使われます。
英語では Bluefin tuna(ブルーフィン・トゥーナ) と呼ばれ、国際的にも高級魚として知られています。
発音記号は [ˈbluːfɪn ˈtuːnə] で、日本語カタカナでは「ブルーフィン・トゥーナ」と表記されます。
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